坂本龍一がきっかけで知った「こんにゃくそば」
2023年の3月に坂本龍一氏が亡くなって、すごく寂しかった。自分でも「こんなに好きだったのか!?」と驚くぐらい落ち込んで、半年ほど経った今もその寂しさは尾を引いている。
訃報があってから、坂本龍一のアルバムを聴き直したり、持っていないアルバムがあったら探して聴いたり、書いた本を買ったり、追悼特集が組まれた音楽雑誌を買ったり、テレビの特番を見たり、色々して、改めて坂本龍一って魅力的な人だなと思った。普通の感想ですみません。
これからも坂本龍一のことを折に触れて考えていくと思うのだが、そうやって坂本龍一関連の情報を拾い集めているうちにたどり着いたのが「こんにゃくそば」だったのである。坂本龍一が生前、その「こんにゃくそば」をすごく気に入っていたというのだ。住まいのあるニューヨークまで取り寄せていたほど好きだったそうだ。
「こんにゃくそば」……別に言葉として強い違和感をおぼえるようなものでもないけど、よく考えるとなんだかわからない。こんにゃくであり、そばなのか??
調べてみると、こんにゃくそばは山形県にある製麵メーカー「酒井製麺所」の人気商品らしい。こんにゃく粉をつなぎに使って作られたそばだという。
私の両親が山形県出身で、子どもの頃からよく連れていってもらったこともあり、私は山形が大好きである。山形が好きで、坂本龍一が好きで、坂本龍一が好きだという山形のこんにゃくそばのことをスルーできるわけはない。すぐに通販で購入した。
箱にはこうある。
“山形秘伝の味『こんにゃくそば』は、当社と上山市楢下の丹野こんにゃく店様との共同開発にて生まれた干しそばの逸品です。
日本の伝統食品である「そば」と「こんにゃく」の組合わせは、舌ざわり、歯応え、弾力性とも、申し分なく、当社代表商品として多くの皆様からご好評をいただいております。
当社が自信をもってお勧めする、つるつるとした独特の味覚を是非ご賞味下さい。“
ふむ、なるほど、山形県の上山市にある丹野こんにゃく(ここも有名店)とのコラボ商品として作られたものらしい。山形といえば「玉こんにゃく」が名物だし、これは山形だからこそ生まれた商品と言えるかもしれない。
ちなみに酒井製麵所の公式サイトに4代目代表の言葉が紹介されていて、こんにゃくそばについて語っている文章がいいので引用したい。
“こんにゃくそばの話かえ? だからよ、あれはよ、『丹野こんにゃく』のオヤジさんが練ったこんにゃく持ってきて、これでソバでも作ってくれってところから始まったんだな。でも、なかなかうまくいかなくって、できるまで半年以上かかったっけね。20年以上も前の話さ
田舎そばが主流の山形では絶対にウケないと思って一般の小売りはせず、丹野こんにゃくで売ってた程度。それが偶然に三越のバイヤーの目に留まったっけの
三越で置いてくれるようになり、おまけに通販番組でもとりあげてくれたもんだから、もう大変。東京や大阪の他の百貨店からも注文が舞い込み、いっぺんに全国区になったわけよ“
と、読んでいて、大好きな山形弁のイントネーションで再生される。とにかく、二つの企業が歩み寄ってできたものだとわかった。
こんにゃくそばは一把ごとにビニールで包装されていて、一把150グラム。四分ほど茹でればいいらしい。たっぷりの湯で茹でて、冷たい水でよく洗うようにと書いてある。
ちなみにカロリーは100グラムあたり「341kcal」と記載されていて、家にあった普通のそばのカロリーを今見てみたら100グラムあたり「349kcal」だったから、あまり変わらない。こんにゃくだからといってローカロリーなわけではないようだ。あ、今さらだが、8把入りをセットを大阪まで取り寄せて、送料込みで3,742円でした。
早速作って食べてみようと思うのだが、酒井製麵所の公式サイトにはなんと「坂本龍一流レシピ」が紹介されているのである!それによると、用意するものは以下の通り、
・こんにゃくそば
・きざみネギ
・納豆
・きざみ海苔
・大根おろし
・かいわれ
サイトには盛り付け例の画像も載っていて、それと同じ写真が箱に入っていた冊子にも使われていた。
上記のトッピングを用意すれば、坂本龍一が食べたのと同じものを食べられるわけだ。なんかうれしいな。ちなみに公式サイトには「その他、生たまご、とろろ、揚げ玉などもお薦めです」とも書いてあったが、とりあえずはシンプルな坂本龍一流レシピで食べてみたい。
っていうか、やる前からわかってるけども、きざみネギ、納豆、きざみ海苔、大根おろし、かいわれ、を乗っけたそばなんて美味しいに決まってる!
まずはこんにゃくそばを茹でてみよう。色味はそんなに他のそばと変わらないような気がする。
しかし、茹でていくとめちゃくちゃこんにゃくの香りがする。
私が買ったセットにはめんつゆは付属していないので、家にあったごく普通のそうめんつゆでいただくことにする。水で洗ったこんにゃくそばを器に入れ、めんつゆをかけて、用意してあったトッピングを乗せて、はい。
わかっていたことだが、とんでもなく美味しい。トッピングの布陣が完璧過ぎるのだが、それを差し引いたとしても、そもそもこのこんにゃくそばがすごい。
こんにゃくの香り、こんにゃくゆえのつるつる感、それでいて蕎麦の風味や歯ごたえもしっかりあって、これはもう、常備しておいて色々な食べ方で食べてみたくなる。今後、家でそばが食べたくなったらこんにゃくそばでいいのではというほどに気に入った。
坂本龍一さん、あなたのおかげで美味しいこんにゃくそばを知ることができました。ありがとうございます。これからも音楽ずっと聴かせていただきます。
と……、この原稿を書くにあたって酒井製麵所の公式サイトをチェックしたのだが、以前は見落としていたのか、「めかぶこんにゃくそば」というバリエーションもあるではないか!
このように記載されている。
“独特のつるり感と透明感で愛されている当社のNO1商品の「こんにゃくそば」に更にめかぶがドッキングしました。
こんにゃくそばの食感を損なわず、更にめかぶのぬるり感を出すのに試行錯誤をくり返してのデビューとなりましたが、デビュー間もなく売上首位となる実力商品です。
南三陸町歌津に御縁のある漁師、「歌津小太郎」さん達とのコラボでもあります。
めかぶは優れた健康効能に溢れています。
この機会に是非お試し下さい。“
えー!絶対美味しい、買うしかないな。