国語便覧、知ってます?
国語便覧といって、みんなが「あー、はいはい、あれね」となるかどうか、いささかこころもとない。なぜなら、ぼく自身、国語の授業で国語便覧を使った記憶がないからだ。
おとなになって上京し、本屋で見かけて「え、こんな資料集があるの?」とはじめて知ったほどであった。
おそらく、学校や地域、時代によって、国語便覧を使うところ、使わないところの差があるのかもしれない。
書名は、大修館書店、文英堂、数研出版、第一学習社、浜島書店などから出ているものは『国語便覧』が入った書名を使っているが、京都書房の『国語図説』『国語総合ガイド』のように『便覧』の文字が入らないものもある。
なお、この記事では、国語の資料集を指し示す言葉として『国語便覧』あるいは『便覧』ということをあらかじめお断りしておく。
現役国語教師と国語教育を研究してた人に来てもらった
実際に授業で使った記憶がなかったとはいえ、国語便覧をパラパラめくっていると、非常におもしろい情報がどっさり載っている。このおもしろさを誰かと一緒に共有したい。
というわけで、国語便覧大好きな人々に集まってもらって、国語便覧の面白いところを推しあってみることにした。
今回来てもらったのは、現役の国語教師をしているSさん、デイリーポータルZでもライターをしている谷頭さん、編集部の古賀さん。
Sさんは、国語教師なので言わずもがな、谷頭さんは、大学で国語教育について勉強しており、古賀さんはクリスマスプレゼントとして、自分用の国語便覧を買うほどの国語便覧好き。だれもが国語便覧について一家言あるので心強い。(以降敬称略)
いきなり衝撃の事実
西村:
さっそくですが、国語便覧、現在、学校の授業ではどんな風に使ってるんでしょうか?。
Sさん:
今は……ほぼ使わないですね。
いきなり、企画意図がゆらぎかねない事実が判明する。もちろん、これはSさんの場合ではあるけれども、コロナ禍での授業のオンライン化などにより、以前よりも授業で使うシーンは確実に減ったという。
Sさん:
(国語便覧などに掲載されているような写真資料などの)ビジュアルを見せたいときは、動画で見せちゃうんですよ、だからわざわざ、ロッカーから便覧もってきてー、とか、何ページひらいてーなんてやってる時間がもったいないんですよね。
私はもう授業はほとんどパワーポイントでやるので、その中に「宝鐸ってこれだよ」「石畳ってこんなだよ」って画像や動画は入れてしまうんです、だから、いちいちこれ(便覧)を使う必要はなくって……。
古賀:
ガビーン。
西村:
まじか……。
谷頭:
国語便覧は、授業の現場では使われなくなってきてますね。
古賀:
授業でパワポとか、わたしたちの世代からするとちょっと考えられないですね、学校の授業は先生が黒板書いてる印象しかないですね。
Sさん:
今の学校に移ってから7年ぐらいたってますけど、このスタイルですね。授業ではほぼ板書もしないですし。
西村:
生徒はノートとかどうやってとるんですか?。
Sさん:
ノートも買わせてなくて、こちらで準備したワークシートを書いてもらってます。
西村:
たしかに、去年息子のリモート授業こっそり覗き見してみましたけど、全部パワポでしたね……コロナ禍で特別にというわけではなく、ずいぶん前からそういう形式の授業はされてたわけか。
Sさん:
ですから、便覧もどんどんリモート授業で使ってもらえるように、画像とかもデータでくれるようになってるんです。
谷頭:
これ、ぼくの持ってるやつですけど、データDVD付きのやつもありますね。
Sさん:
最近のものはQRコードがついていて、スマホをかざすと、画像や動画が見られるものもありますね。
Sさん:
正直、これ(国語便覧)がないとダメということはあんまりないんです、ただ、例えば『短歌を班ごとに割り当てて生徒に自主的に学習させる』というようなグループワークをするときに、歌人がどんな人か、他にどんな短歌をよんでいるか、などを調べるとっかかりとして、まず便覧から調べていく、というような使い方はしますね……でもまあ、それも便覧じゃなくてもいいかなっていうことでもあるんですが(笑)。
谷頭:
位置づけが微妙なんですよね……。
古賀:
うーん、頑張ってほしい!
Sさん:
だから、デジタル化は各社頑張ってる感じはしますね……そもそもなんですけど、これ、重いんですよ。
西村:
確かに、めちゃくちゃ重いですよね!
Sさん:
重いので、基本ロッカーに置きっぱなしなんですけど『今日は便覧使うから』持っておいでとかいっても『先生、ありませんでした!』とか、そういう子なんかがかならずいたりして、それならこっちで画像や資料を準備して見せちゃったほうが早いんですよね……。
とはいえ、面白い国語便覧
現在、本の国語便覧はあまり使われていない、という話ではあるものの、国語便覧じたいの内容は、国語に関する情報が網羅されており、実におもしろい。
西村:
国語便覧は、やっぱり要点を抑えた情報が一覧で載ってる。というのがいいんですよ。
Sさん:
情報量はたしかにすごいと思います、国語に関係することがあれば何でも載せるという姿勢が……。
西村:
これはどの便覧でもだいたい載ってると思うんですけど、旧国名の一覧とか、昔の官位相当表とかも載ってる、これ、完全に日本史の範疇だと思いますけど、官位相当表なんかは、どうかしたら日本史の資料集より若干詳しいぐらいですね。旧国名の一覧も、上国、中国、下国の区別までついてるやつもある。
古賀:
そもそも全体的に、日本史より細かな情報載ってませんか?
西村:
そうなんですよ、平安時代とかの貴族の装束とかももちろん載ってますけど、明治大正昭和の生活用品や暮らしぶりがわかるものが載ってて、それもアツいんですよ。
古賀:
あー、これ! わからないですよね、たしかに。行李とか言われても『こおり』とは? ってなりますけど、あと、山高帽、小説に出てきがちじゃないですか?
Sさん:
あー、出ますね! あと、私が個人的に好きなのは、明治の文学とか読んでてよく出てくる、学校の学制の一覧表。
古賀:
あー! それそれ、私のにも載ってる! すごい好き!。
Sさん:
あと、物価の推移表もいいですねー、当時、夏目漱石が給料何円もらってたかって聞いても、その価値がわからないじゃないですか、そういう情報を補足できるのはいいんですよ。自分が趣味で小説を読むときにとっても便利なんですね。
西村:
小説に「10円」と書いてあっても、当時はそれが当たり前だから、それが高いのか、安いのか、その価値なんて書いてないんですよね。「公務員初任給70円の時代の10円か……」とか、そういう情報があると助かりますよね、あと、純粋に価格見比べるとおもしろいというのもありますけど。
Sさん:
戦時中の大将とか中将とか、軍隊の階級もちゃんと載ってますしね。
古賀:
これ! 西村さん好きでしょう。
西村:
好きですね、というか『ドラえもん』の階級ワッペンの一覧表が大好きだったんですよ、これそのまんまですね。
古賀:
大尉と大佐とか、どっちが上だか下だかわかんなくなっちゃうから。
西村:
こういう情報って、日本史資料集にも意外と載ってないんですよね。歴史の授業って、結局、ほとんど政治の歴史ばかりで、昔の庶民がどんな暮らしをしてたのかは、そんなに出てこない。でも、小説や文学には庶民が登場することが多いから、そのへんは国語便覧の方が詳しいですね。
牛車の種類に詳しいのはなぜ
Sさん:
今日は夫が過去に使ってた昔の国語便覧も持ってきたんです。
西村:
基本的に、内容は今とそんなに変わらないですね。
谷頭:
カラーページが最初だけなのウケますね。
西村:
古語辞典の最後の方のページにあるような資料が多いですね……牛車の種類もこんなに載ってる。
Sさん:
牛車は今だと、現代の車に例えたりしますよね。この牛車はポルシェだとか……。
西村:
そうか、牛車のグレードで乗ってる人の身分がわかるんだ、改めて見てみると、平安時代の乗り物情報わりとどの便覧にも載ってますね。
谷頭:
江戸時代の貨幣単位もほぼどの便覧にも載ってますよ。
西村:
これめちゃくちゃ重要ですね。小説とかでも出ますけど、これ落語聞いてるとめちゃくちゃ出てくるんですよ。時そばとか、壺算とかで。
谷頭:
藤原氏の家系図とか、かなり詳しいの載ってますね。
西村:
どの出版社のも、藤原不比等とか鎌足あたりからズラーッとかなり詳しく掲載されてるな……平安文化を語る上では藤原氏抜きでは語れないから……藤原すごいな。
Sさん:
ある一族の系図が、こうやってデカデカと載ってるのすごいですよね……わたし、こういうの見て『いとこ同士で結婚かー』とか『おばと結婚かー』なんて思うんですよね、込み入った系図を見て、彼らの人生に思いを馳せるんです。
古賀:
いい楽しみかただ……。
西村:
皇室の系図や藤原氏の系図、だいたいどの便覧にも載ってますけど、各社書き方が微妙に違うのが興味深いですね。浜島書店の系図は、藤原氏と皇室の系図をひとつにあわせて、大鏡や枕草子に登場する人物に印をつけたりしてますけど、よくみると、紫式部と清少納言って遠い親戚なんですね。
Sさん:
当時は人間関係狭いから、どこかで繋がってるんですよ……京都書房は、古典文学に強いから、源氏物語へのページの割き方とビジュアルっぷりがすごいです、すべての巻のあらすじだけでなく、シーン再現の写真も大きい。
Sさん:
わたし、これも好きでした! 源氏がプレゼントした着物の写真! 『紅梅襲の匂(こうばいかさねのにおい)が似合う紫の上ってどういう人だったのかなー』って、このページを見たら、源氏物語を実際に読まなくても、世界観にうっとりできるのも好きなんですよ……。
Sさん:
それから、好きなのは陰陽五行とか、普通の国語の教科書では載ってないやつとか。
西村:
そういう科学的じゃない話が学校で使う本に載ってるのおもしろいですね。
Sさん:
あと、漢文のところの中国の思想家。
谷頭:
諸子百家。
Sさん:
昔の人が、生涯をかけて考えた思想を、こんなコンパクトにまとめてくれちゃって、いいのかって気になるんですよね。まあ、助かるんですけど。
作家の選手名鑑
古賀:
これね、作家の選手名鑑なんですよ。
西村:
作家の紹介ページがそうですね(笑)
古賀:
意外と名前は知ってても顔は知らない作家とか多いから『島尾敏雄こんな顔してんだ』とかなるんですよね。
西村:
浜島書店の便覧は、作家の集合写真ばかりあつめたページがあって、それが超いいですね。
古賀:
あー、それ超いい、だれとだれが一緒に写ってるみたいなページですよね。
古賀:
幸田露伴と森鴎外! 太宰治と井伏鱒二! これタマンないな。
谷頭:
石原慎太郎、開高健、大江健三郎、菊村到……ひとりだけ名前のない人だれだろう。
西村:
編集者とかかな。(※小説家の江崎誠致(まさのり)でした)
古賀:
誰が誰とつるんでたのかわかるからいいね、トキワ荘だよね、作家の。
Sさん:
これ、おもしろがれるの大人だからですよね(笑)。
古賀:
子供はわからないからなー、飲み会にこれ持っていったら最高でしょ、2時間ぐらいいける。
Sさん:
書店で販売すれば、大人も買いそう。
西村:
これ、書店で買えるんですよ。教科書じゃないから値段ついてて、参考書のコーナーとかにあると思います。
資料提供元を見るのも面白い
谷頭:
なにげにぼくがいつもよくみてるのは、いちばん最後の資料提供一覧のページなんですよ。
Sさん:
あ、それそれ、わたしもよく見る。
古賀:
あ、ここか!。
谷頭:
知らない資料館とか博物館とか、むちゃくちゃあるんですよ。神宮徴古館・農業館とか、なんの資料館だろう? とか。
Sさん:
デンマーク大使館なに提供したんだろう? とか。
西村:
これ、ここを見て、どの写真や資料を提供したのか、考えるのおもしろそうですね……しれっと吉本興業とか入ってますけど、どの資料提供したんだろう……。
国語便覧を見れば、いまの国語教育がみわたせる?
谷頭:
便覧は電子メールの書き方とか、そういうのも載ってますからね。
西村:
でも、今電子メールも使わなくなってませんんか? 仕事の連絡、ほぼメッセンジャーとかだから……こういった分野の進化の速さについていけるかしら?。
Sさん:
昔の便覧と今の便覧を見比べると、昔はこの古文の知識とかそういうものが多かったんですけど、今の方が、情報の整理と活用とか、手紙の書き方とか、そういうノウハウ、ハウツー本みたいな部分もどんどん充実してますね、論理的思考のスキルとか。
谷頭:
そういうのは、大人になった今、勉強したいですよね。
Sさん:
学生はこういうことのありがたみがわからないんですよね。
西村:
ディペートの授業のやり方まで書いてますね『UFOは実在するか』ってテーマ、かなりムズそうですけども……。
西村:
国語便覧を見ると、今の国語教育でなにを教えることになっているのか、というのがざっと見渡せることになってますね。これ、出版社によっていろいろと違いは出るものなんでしょうか?
谷頭:
それはありますね。これは教科書の話になっちゃいますけど、国語の教科書で有名な出版社は光村図書とかありますけど、筑摩書房とかも教科書出してるんですよ。で、筑摩は文学研究の人が多いから、ガッツリした文学を入れようとか、そういうカラーは出ます。
Sさん:
数研出版みたいな、元々問題集を作っていた会社は、受験に対して上手な見せ方をするんです。でも、明治書院なんかは、ザ・文学! みたいな……出版社のキャラクターは出ますね。……便覧にそこまでの違いが出るかはわかんないですけど。
国語教育が変化している途中
Sさん:
今回、指導要領が変わって、教科書もけっこう変わったんですけど、そこで出版社や現場が混乱してるところはありますね。
西村:
具体的にどんなことがあったんですか?
Sさん:
今度「現代の国語」っていう科目ができて、そこには文学的文章は入れないっていうことに決まってたんですけど、その科目に小説をバンバンいれちゃった出版社があって、で、先生側も今までと同じ教え方ができる教科書の方がいいからって、その教科書をけっこう採択しちゃったところもあって、文科省からお達しが来たりして……混乱してるところはあります。
西村:
少し前に、ネットでも話題になってた「国語から小説が消える」というやつですか?
Sさん:
それは勘違いなんですよ。
谷頭:
国語からは小説が無くなることはないんですよ。分類が変わっただけで?
古賀:
え、どういうことですか?
Sさん:
国語という教科の中に、現代の国語とか言語文化という新しいカテゴリができて、小説はや文学は、現代の国語では教えずに、他の国語科の教科で教えるってことになったんです。カテゴリが変わっただけなんですよ。
西村:
えーと、それは例えば……社会科の中に日本史や世界史や公民とか倫理の授業があるみたいに、現代の国語、言語文化という科目があって、文学の授業は教える科目が移動したと?
Sさん:
そうですね。みんな勘違いしてるんですよ。
谷頭:
今までのカテゴリ分けだと、スピーチだとかディスカッションというのがあまりにもされてこなかったんですね。現代文、古文、漢文という枠だと、どうしても「読むこと」しかやらなくなってしまうので、だからそのへんのバランスをとるために、いろんな力を伸ばしていこうということです。
Sさん:
だから、なおさら今まで「読むこと」しかやってこなかった先生は「今さらディベートなんてできねーよ!」ってなって、小説の入ってる教科書を選んでしまう……という。
古賀:
国語でディベートとかやるのは大変そうな感じするもんな……。
西村:
イメージとしては社会科とか?
Sさん:
でも、今は国語科でやることになってますね。今までもあったんですよ、やってなかっただけで。
谷頭:
来年から新しい指導要領が始まりますから、現場は混乱しますから、外から見てるとおもしろいと思います(笑)
Sさん:
混乱するでしょうねー。いまだから、新しい指導要領に対応した教科書や副教材、便覧も含めですけど、どこがシェアをとるかで、出版社は生き残りをかけて必死ですよ、営業すごく来ますよ。
西村:
国語の副教材、国語辞典もですか?
Sさん:
国語辞典はもう(生徒には)買わせてないんです。ネットで調べられるから。買っても結局ロッカーの肥やしになっちゃうから。
西村:
あちゃー、そうですか。
谷頭:
電子辞書も使ってないですよね。
西村:
電子辞書もですか!
Sさん:
なんのために買うのって言われちゃう。そういうのにお金使うなら、来年度から東京都も生徒にタブレット一人一台配られるから、それに入れられるデジタル版を買ったほうがいいですね。
西村:
タブレット配布されるんだ……。
谷頭:
東京都の中学校はもうすでに配布されてますよね。なんだっけ、クロームブックですか?(※自治体によって配られる機種は違うようです)
古賀:
うちはサーフェイスですね……これ、うちの子壊したのよ〜。
一同:
(笑)
古賀:
びっくりしちゃったー! 全・損。タブレットを、本の間に挟んで、なにかの拍子にバーンとしたらもう、バリッバリ。もー、びっくり。
西村:
どうしたんですかそれ。
古賀:
もーすいません、すいませんつって、弁償しますっていったら、大丈夫ですって。びっくり。
ものすごいスピードでデジタル化しつつある教育現場
西村:
国語科だけじゃないですけど、学校の授業とかってもう、ものすごく変化しつつある感じですね。
Sさん:
学校文化って古いから、いきなり紙ものがなくなるようなことはないと思いますけど、かなり変わっていくと思います。とくに教科書なんかがデジタル化されると、学校が急に休校とかになっても「生徒の教科書が学校に置いたままだから、授業ができない!」とか、そういうことはなくなるでしょうから。
西村:
いま、youtubeとか普通に学校の授業みたいな動画ってなんぼでもあるじゃないですか。
Sさん:
そうですね、例えば「夏目漱石について」とかいってもそういう動画はいくらでもあるから、それ見たら終わっちゃうんですよ。わざわざ教えることがなくなっちゃう。知識を教えるためだけの授業だったら、学校にわざわざ登校して勉強する意味って無いんですよ。だから、それこそディベートだとか、グループで発表するとか、お互いにこうだよねってやり取りするようなことが重要になってくると思うんです。
西村:
国語科で「読むこと」「書くこと」だけじゃなくて、人と実際にやり取りするような「話すこと」や「聞くこと」の授業をちゃんとやりましょうという風になってるのはそういう流れもあると。
Sさん:
結局、情報化社会だから、夏目漱石について知らなくってもネットで調べれば事足りるんですよね。知識の学習は学校では必須のことではなくなっていくんですよね。
谷頭:
夏目漱石を知った上で、それをどう生かしていくのか、そしてそれを、学校のカリキュラムの中にどう入れていくのか、教えるのかを、研究してるんですよ。
西村・古賀:
へー
国語教育の今……みたいな話になっちゃったけど、国語便覧はおもしろい
学校教育のデジタル化は、コロナ禍の影響もあり、いまどんどん進んでおり、ここ数年で学校の授業のやり方は随分変わるだろう。そんななか、学校教育の現場では、国語便覧の存在意義も、大きくゆらぎ始めているというのがなんとなくわかってきた。
とはいえ、国語便覧は、学校の国語で習うことがらに関する情報が網羅され、コンパクトにまとまっており、ざっと眺めるだけで、わかったような気になれる。今になって真面目に授業を受けなかったことを猛烈に後悔している我々のような大人にとって、とてもありがたい書物である。
国語便覧は、パラパラめくって眺めて、藤原一族に生まれた人の人生に思いを馳せたり、名前だけ知ってる作家がどんな顔してるのか確認するなど、暇つぶしにはもってこいの書物であることは確かだ。