特集 2020年3月2日

上から目線で!古墳ドローンツーリズムのススメ

ドローンが飛ばせる墳墓としては世界最大級の造山古墳(岡山市)

 

世界遺産登録からこっち空前の古墳ブームだ。

しかし古墳って、上から見ないと損してない?

…と思っていたら手元にはドローンがあった。そうだドローンを使って上空から古墳を見てみよう。名付けて「古墳ドローンツーリズム」だ。

1984年生まれ岡山のど田舎在住。技術的な事を探求するのが趣味。お皿を作って売っていたりもする。思い付いた事はやってみないと気がすまない性格。(動画インタビュー)

前の記事:採掘中の現役鉱山は映画の世界だった

> 個人サイト オカモトラボ

世界遺産に登録された直後、大仙古墳 

なぜ僕が「古墳ドローンツーリズム」と言い出したのか説明しよう。

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大仙陵古墳からほど近い三国ヶ丘駅。

世界遺産登録から間もない昨年9月、僕は大阪府堺市の大仙陵古墳(仁徳天皇陵)に足を運んだ。

街中が世界遺産登録で湧いていた。

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大仙陵古墳の周囲には柵が設けられている。

駅から少し歩くと大仙陵古墳の一端に到達。

なお、この日はまだまだ気温が高く、直射日光の下をあまり歩くと熱中症になるんじゃないかと心配するほどだった。(日陰になっている場所はあまりない)

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古墳の中は鳥の鳴き声が響き、自然がいっぱいだ。

初めて見た大仙陵古墳は、テレビや教科書で見て想像していたのとは違い“堀に囲まれた森”といった様相だ。

堀の周りには道が整備されていてぐるっと歩けるようになっている。

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所々にこのような標識がありどのあたりに居るか分かるようになっている。

大仙陵古墳はとにかく壮大で全体をイメージできないほど大きいが、この様な標識のおかげでどのあたりにいるのかが分かるようになっている。

周囲を歩くだけでも大変だったが、それもそのはず大仙陵古墳は墳墓(お墓)としては世界的にも最大級の敷地面積を誇っているらしい。

というか、大仙陵古墳だけではなく、日本の古墳は墳墓の面積ではランキング上位を独占するほど大きいのだ。

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周囲は柵が巡らせて門も固く閉ざされている。

大仙陵古墳は一応、仁徳天皇のお墓とされているため宮内庁が厳しく管理している。

まわりには柵が設けられ立ち入る事はできない。

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こちらが正面の拝所。

巨大な古墳をぐるっと回り込み、前方部の正面に至ると拝所がある。

自然のままの森から、綺麗に掃除も行き届いた場所に変わる。

拝所は観光客でにぎわっていた。

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でも近づけるのはここまで。

いわゆる古墳として僕がイメージしていたのは、教科書に載っていた鍵穴状の形だった。

もちろん上空から見ればそうなっているのだが、大仙陵古墳はどちらかというと「聖域」という感じだった。

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拝所の向かいの道を渡ると堺市博物館。

そして拝所の向かいには堺市博物館があり、大仙陵古墳を含む資料なんかが展示されていた。

 

古墳に俄然興味がでてきた。

あの前方後円墳の形を確認してみたいと思ったのだ。できれば写真や録画ではなくリアルタイムに。

人口密集地ではドローンを飛ばせない

さて、僕はちょうどその頃、今はやりのドローンを買って持っていた。 

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カメラやセンサーが満載でまるでプロペラが付いたスマホみたいなもの。

しかし実はドローンは人口密集地では飛ばす事が制限されている。

人や車、建物などに当たると危ないから。

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大仙陵古墳の近く。電話ボックスの上にあるのはふとん太鼓(祭りの時に担ぐやつ)。

そして大仙陵古墳の周辺は建物や人が行き交う人口密集地となっている。

当然、ドローンは飛ばせない。

 

そこで人口密集地にない古墳はないものかと調べてみたところ、

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古墳の大きさランキング(堺市ホームページより)と、人口密集地かどうか。

僕の住んでいる場所からほど近くの岡山県岡山市に、大きさとしては全国で4番目の造山(つくりやま)古墳というのがあることが分かった。

ドローンが飛ばせる最大の古墳、造山古墳

ということで若干無理があるような気もするが造山古墳をドローンで撮影することにした。

古代の岡山県はかつて吉備国(きびのくに)と呼ばれていて、畿内(ヤマト政権)に匹敵するような勢力があったと考えられている。

そして巨大な古墳も点在し、その中でも最大のものが今回訪れる造山古墳だ。

人口密集地ではない古墳としては最大であり、僕が調べた限り、ドローンを飛ばせる墳墓としても世界最大級だ。

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のどかな田園風景を進む。

造山古墳は岡山市の中心市街地から車で40分ほど行った所にある。

地方都市から車で40分も走れば、のどかな風景に変わる。

もはや人口密集どころか人影すらない。

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田んぼの中にこんもりとした山。

地図が指し示すところによると、あれが造山古墳のようだ。

やはりパッと見る限りただの森に見える。大仙陵古墳と違って周濠は残っていないし、柵もない。

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駐車場には造山古墳と書かれた石碑と黄金の大王像。

造山古墳にはちゃんと専用の駐車場が整備されているが、ほかに観光客はいない。

ドローンを飛ばす場合は人がいない方がありがたいのだが…。

立入可能な中で最大の古墳に立ち入る。

大仙陵古墳をはじめとする古墳の大きさランキングの上位3つは立ち入りが制限されているが、それに次いで大きい造山古墳は立入に制限はない。

誰が埋葬されているかで扱いが違うのだ。

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民家の間を抜けて先ほど見た山へ向かう。

大仙陵古墳が聖域だとすると造山古墳は生活の一部と言う感じだ。観光地っぽさもあまりない。

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古墳の一部が土砂崩れを起こしていた。

住宅の間を縫うように進む。

古墳に登っていると言う感慨はない。生活に根差した普通の坂を上っている。

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景色が良い。

たいしたことないと踏んでいた坂だが見た目以上に運動不足の身にはしんどい傾斜だった。

ふうふう言いながら登りきると、

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鬱葱とした木々のなかに現れた社。

前方後円墳の前方部にあたるところに社があった。

やはり誰もおらず貸し切りだ。

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石棺さえ野ざらし

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社の建物の横に簡単な屋根があり、その下に大きな石がある。

社の横に申し訳程度の屋根があり、その下に無造作に置かれた大きな石がある。

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よく見ると四角くて中身もくりぬかれている。

…これ、石棺じゃないか!?

あまりに雑な扱いに心配になってくる。周囲に柵とかも無く、お触りも可能だ。

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機械や道具があまりなかった古墳時代に加工された石棺。

雑な扱いだがその分観察はしやすい。

石棺の中には、よく見るとちゃんと枕?も作ってあるようだ。古墳時代の人が死者の寝心地を気にしていたのだなと思うととても面白い。

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更に上る。

そして石棺が置いてあったのは前方部だったので、今度は後円部へ移動する。

後円部の方がやや高くなっている。

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後円部。

後円部には真っ平な広いスペースがあった。

結構広くてサッカー位なら出来るかもしれない。

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後円部からは遠くまで見渡せる。

ここでの景色はすごく良い。古墳時代の人にとっては超高層建築だったのかもしれない。

余談だが、ここから羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)が水攻めをおこなった備中高松城跡を望むことができる…らしい。多分写真の中央付近だと思う。

そして、そのとき毛利方はこの造山古墳にも陣を張ったそうだ。

いよいよ古墳ドローンツーリズムへ

造山古墳の見学がひと段落ついたので、いよいよドローンを飛ばしてみようと思う。

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古墳から降りて移動してきた。

登った側とは反対に移動してきた。こちらからのほうが撮影しやすく、建物もないので都合が良い。

なお写真で左側が後円部、右側が前方部だ。

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ドローンを置いて準備完了。
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飛んでゆくドローン。

リモコンのスティックを上昇に傾けると、風を切る音を響かせて上空に飛んでいく。

買う前に想像していた以上にドローンは安定していて、空中でピタッと止まって少々の風や手で押したくらいではビクともしない。

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ドローンから送られてくる映像。

リモコンにはドローンから映像が送られてきてみる事ができる。下からは分からなかった古墳の形状がけっこうはっきりと確認できて興奮した。

5世紀前半に作られたとされるのでざっと1500年以上経っているはずだが、思った以上に綺麗だ。

動画のほうが分かりやすい↓

 

 

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更に近づいてみたところ。

下からでは分からなかったが、うっすら3段の段築も確認できる。

 

1500年前の人々は大変な苦労をして古墳を作ったはずだが、自分たちが作ったものを上空から見る事はできなかった。

そんな、古代の人々がどんなに見たくても一生、見えなかった光景がこんなに手軽に見える。文明の力ってすごい。

ドローンをお持ちの方は上空から古墳を見て古代のロマンに思いをはせるというのはいかがだろう。

 

ここまで写真が映えるので夏から秋にかけて撮り溜めておいた写真を使ったが、

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青々とした古墳もよいがこれもまた良い。

冬だと草が枯れてより地形が分かりやすくなるのだ。


という事で、去年ドローンを買ってからというもの、色々な場所に持って行っては飛ばして遊んでいる。その中でも古墳は被写体としてめちゃくちゃ面白かった。再起ではそれまであまり気にしていなかった風の強さが気になって仕方ない。

風がそれほど強くなければ、週末は古墳ドローンツーリズムと洒落込もう。

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僕です。

 

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