金武町いいとこ一度はおいで
と、こんな具合に文化面でも自然面でも興味深い事柄の多い金武町。ぜひ沖縄観光の折にはふらっと訪れてガツっとタコライスやチーイリチャーや田芋を食べてみてほしい。
もちろん、この記事ではとても見所の全ては書ききれない。他にも金武観音寺や金武鍾乳洞の古酒蔵などたくさんの素敵なスポットが……
あっ。主役はキンチョウだったね。あの植物はキンチョウに限らず、那覇でも名護でもどこでも見られるよ。沖縄に出向くことがあったらぜひそのたくましさとしたたかさを見てみてね。
沖縄には『キンチョウ』という名の植物が生えている。
そして奇しくも沖縄県には『金武町(キンチョウ)』なる町もある。
じゃあ金武町にキンチョウは生えているんだろうか?探してみよう。
さて、まずは今回の主役について説明を。このキンチョウ(錦蝶)とはマダガスカル島原産のベンケイソウ科に属す植物で、もともと沖縄に自生していたものではない。
資材やなんやに紛れて渡来したり、園芸用に持ち込まれたものが逸出。沖縄や小笠原など温暖な地域に外来植物として定着しているのだ。
特に沖縄本島では海沿いから市街地まであちらこちらでごく普通に見られる存在となっている。
で、今回はこいつらを同名の自治体である金武町で見つけようぜ、というどうしようもなくあたまわるい感じのダジャレ記事である。ホントそれだけの記事。
ところが!取材開始時に「まさかな…」と思って「金武町 キンチョウ 植物」検索してみたところ
あったァーー!すでにそのまんまな記事がネット上に出ていたァー!!
しかも写真も綺麗で僕が撮影できなかった花の画像も載ってるし、金武町以外の地域で見られたキンチョウの写真まであるゥー!
もうこの記事を世に出す意味ほぼねェー!
…いやいや。
生物を、自然を見る目というのは人によって千差万別よ。苦労しつつキンチョウを探す過程で、何か発見があるやもしれん。とりあえずここ『金武入口』のバス停をスタート地点として、僕なりにキンチョウを探してみ
探してみ…たらいきなりあったわ…。すぐそこの道端に生えてたわ…。
なんつーかもう…。
「探すぞ!」って意思を表明する前から視界に飛び込んできたわ…。
あー…。
えーっと…。
取材終了です。お疲れ様でした!!
もはや本記事のオリジナリティをひねり出す前に見つかっちゃったぜ金武町のキンチョウ。やべえ。記事成立しないんじゃない?これ。
でもね!こんなに簡単に見つかっちゃったのはただの偶然ってわけではないんです。
そもそもこのキンチョウはとても頑丈で高熱や乾燥に強い。そうした過酷な荒地でも生育できるよう進化した植物なのだ。
そのため、灼熱の沖縄市街地でもコンクリートやアスファルトの隅までたくましく生き抜き、分布を広げている。
つまり、人目につきやすい道端こそが彼らにとって暮らしやすい環境ということ。即座に見つかったのも納得だ。
なお、今回は見られなかったがキンチョウは毒々しいほど赤く綺麗な花を咲かせる。
エキゾチックな草体とあいまってとてもユニークでミステリアスな姿を見せてくれるので興味のある方は画像検索をしてみてほしい。
また、キンチョウは有毒で食用には適さない。
と言っても極端に辛いと苦いと言った特徴のある味ではなく、無味に近くわりと食べやすい味である。肉肉しくて食いでがありそうに見えるが、だからこそ腹が減っても手出ししないよう気をつけたい。
はい。以上でキンチョウについての話は終了です。
普通に金武町にキンチョウ生えてたね。いやー、ダジャレ成立してめでたしめでたし。
でも時間が余っちゃったし、せっかくなので金武町をさらっと観光してきたよ。
まず、取材を介した「金武町入口」はキャンプハンセンの1番ゲート(GATE1)のすぐそばで、裏手には異国情緒がこれでもかと溢れる金武町「新開地」が広がっている。
半分アメリカだな…という新開地の街並みを歩いているとこんな看板が。
「ようこそ、タコライス発祥の地、金武町『新開地』へ」
ああ、そうか。タコライスはここ新開地の今はなき「パーラー千里」で誕生したメニューだった。
今日はそのパーラー千里の姉妹店である「キングタコス」でタコライスを食べよう。
なんかもう今さら僕が語る必要もないだろうが、キンタコのタコライスは美味い。金武町民の、いやもはや沖縄県民のソウルフードである。
味はとにかくおいしい。そして大の男でも腹一杯になるデカ盛りぶり。
炭水化物とタンパク質と脂肪と塩分とスパイスと野菜を一気に大量摂取できる、ややもするとゴリ押しな美味さ。
こういうのがイイんだよなッ!!
…しかし、金武町にはこのタコライスに勝るとも劣らないガッツリ系名物料理が存在している、
それがこの『チーイリチャー』だ!!
チーイリチャーとはブタやヤギの血液を肉、ニンニク、野菜と炒めた沖縄独自の料理である。
養豚が盛んな金武町ではブタのチーイリチャーが有名だ。これがもう、ほんと美味い。
語彙不足が否めないが、もうほんと美味いの。
もう素材の味も味付けも脂っ気もニンニクもビジュアルも、濃い濃い濃い濃い濃い!!
すげえ美味い!でも濃すぎて食べた後は胃がえらいことになってしばらく動けなくなる!タコライス以上にHeavy!
これをランチに食べて午後も働く金武町役場の人たちすげえわ…(職員さんたちの人気メニューらしいです)。
最近は『チースパ』なる派生メニューを提供する店も現れた。これもガッツリ美味くて、食後動けなくなるのでおすすめ!
さらに新開地周辺を散策しているとこんなのぼりが。
金武町の名産、『田芋』を使用したスイーツだ。これがまた美味いのよ。
田芋とは…
水田で栽培される里芋の一種で、南方から伝わったかなり古い作物です。水田の中で子芋を次々と増やすことから子孫繁栄を連想させるので、沖縄では正月や盆などの行事料理には現在でも欠かせない食べ物です。独特の粘り、風味がなんともいえないほどあと引くうまさです
……って店内に掲示されてる張り紙に書いてあったよ↓。
今回は金武町内のみならず那覇空港にも出店している有名店「きん田」で田芋パイと田芋チーズケーキを買って帰った。
まあこれも美味いからさ。金武町へ行ったら、いや沖縄へ行ったら食べてみるべし。
なお、田芋はお菓子だけでなく唐揚げやどぅる天(田芋をすりつぶしてドゥルドゥルさせたものを揚げたおいしいやつ)などにしておかずやおつまみなどとして食べられることもある。
そうだ、ついでに田芋を栽培している様子も見ていこう。
田芋はその名の通り、水を張った田んぼで育てられる。
沖縄本島、特にここ金武町はじめとする中部地域では水田が広がっていても稲作ではなく田芋栽培地帯だったりすることが多い。
ああそうだ。
金武町といえば億首川のマングローブも外せない。
ちょうど田芋畑(田芋田?)の密集地のそばにそれは広がっている。
素晴らしい景色!
休日にはカヤック体験会なんかも催されている。
付近にはキャンプ場もあり、金武町民のみならずアウトドア派ウチナーンチュの憩いの場となっている。
もちろん、海も綺麗だ。
金武町の位置する沖縄本島東海岸は西海岸に比べてサンゴの発達が控えめで非常に遠浅なのでダイビングこそあまり盛んでないが、潮干狩りや波打ち際でチャプチャプやる海水浴にはもってこいである。
……あ。この記事、植物の記事だったね。
じゃあ最後に金武町が誇る巨大植物である伊芸地区の『フンシーガジュマル』を紹介しよう。
フンシーとは風水のことで、かつてはこの木のたもとでノロ(女性の祭司)による祭事や地域の行事が行われていたという由緒ある巨木なのだ。
マダガスカルから来たキンチョウではなく沖縄在来の植物の魅力を味わいたいという方は、ぜひマングローブとこのフンシーガジュマルを見るべし!!
と、こんな具合に文化面でも自然面でも興味深い事柄の多い金武町。ぜひ沖縄観光の折にはふらっと訪れてガツっとタコライスやチーイリチャーや田芋を食べてみてほしい。
もちろん、この記事ではとても見所の全ては書ききれない。他にも金武観音寺や金武鍾乳洞の古酒蔵などたくさんの素敵なスポットが……
あっ。主役はキンチョウだったね。あの植物はキンチョウに限らず、那覇でも名護でもどこでも見られるよ。沖縄に出向くことがあったらぜひそのたくましさとしたたかさを見てみてね。
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