電照菊とは?キクミネーションとは?
皆さんは「電照菊(でんしょうぎく)」ということばを聞いたことがあるだろうか。
沖縄県民ならばおそらく「ああ、あれね!」というリアクションが返ってくると思うのだが、電照菊とは夜間に菊畑を電灯で照らすことで出荷時期にあわせて生育を調整する栽培方法の一種。
電照菊(でんしょうぎく)とは、菊の栽培方法の1種であり、この栽培方法で栽培された菊の総称である。菊は、日照時間が短くなると花芽を形成し、やがて蕾となり開花するという性質がある。その性質を利用し、花芽が形成される前に人工的に光をあてることにより、花芽の形成と開花時期を遅らせる方法が電照菊である。(
電照菊 - ウィキペディアより)
沖縄で夜間に郊外の畑地帯をドライブをしていると時折目にするのだが、電照菊の明かりが闇夜にキラキラと輝く光景があまりに美しくイルミネーションのように見えることから、「菊」と「イルミネーション」を合わせた造語「キクミネーション」として昔から沖縄県民に広く親しまれている。
そんなキクミネーション。先述の通りせいぜいドライブ中に車窓から眺めるぐらいしか楽しみ方がなかったのだが、新たな観光スポットとして、しかも超絶オシャレに進化させた農家さんがいると聞いて読谷村を訪れた。
GoogleMapに「キクミネーション」と打ち込むと表示される地図を頼りに、住宅街を抜け街灯もない真っ暗闇が続く畑地帯を多少不安な気持ちで車で進むこと数分。
マップに従い、さらに暗くて細い農道の脇道に入っていくと・・・なんということだろうか。
電照菊畑そのものの美しさはもちろん、鼻血が出そうなほどお洒落にディスプレイされたスポットにたどり着いたのだ。なんだここ。
本気の菊農家が本気で作ったキクミネーション観光農園
というわけでここが、読谷(よみたん)村の菊農家である『Sunset Farm Okinawa(サンセットファームおきなわ)』さんが2019年5月にオープンさせたというキクミネーション観光農園だ。
菊畑の一部を整地して木屑チップを敷き詰め、キクミネーションを眺めながらゆっくり過ごせるようテーブルや椅子、ハンモックチェアなどを設置。菊以外のハーブや花なども植えられ、訪れる人を楽しませてくれる空間となっているのだ。
この足元のチップがふっかふかで、木のいい香りも漂っていて踏み心地が最高。
水はけも良いため、雨あがりでも靴がどろどろにならず快適に歩けるようになっている。
平均台や輪投げ、木の端材で作った積み木など子どもが喜ぶちょっとしたプレイコーナーまで準備されており、子連れファミリーにもやさしい設計。
そして菊を使ったアクセサリーやキャンドル、サンセットファームのオリジナルグッズ販売コーナーまである。
これまで菊といえば仏壇に飾る花というイメージしか無かったのだが、こうやって見るとすごく素朴で可愛らしい花に見えてくるから不思議だ。
そして、どこを撮っても映える。映えまくって困る。
もちろん電照菊もじっくり堪能できる
もちろん周りを見渡せば、ぐるりと電照菊畑なわけで。
車窓から眺めることはあっても、なかなか畑の中にまで入らせてもらい菊を栽培しているところを間近で見るという機会は無かったのでとても新鮮。
スーパーに売ってる春菊の葉っぱと同じ形だ!と感動したり(観賞用と食用では微妙に違うのだろうけど)。
栽培中の電照菊はまだつぼみだったのだが、会場内にはディスプレイとして開花した菊の花も飾られていて、鮮やかな黄色がとても美しく映えている。
菊を使った手作り体験メニューも
しかもこの観光農園ではただ景色を眺めて楽しむだけではなく、電照菊のドライフラワーを使ったアクセサリー作り体験ができるとのこと。
そしてドリンクの提供もある。以前は販売という形式をとられていたようだが、農地で飲食物を販売するにはいろいろと課題があるそうで、現在は「協力金」という形式をとっているそう。温暖な沖縄とはいえ冬の夜となるとさすがに冷えるので、温かい穀物コーヒーが身体に染み渡った。コーヒーの他には菊花茶、ビール(缶)、ソフトドリンクなどもあるそうだ。それにしてもカップまでロゴ入りでいちいちオシャレだ。
会場には簡易トイレまで用意されているので、ついつい長居してしまってトイレに行きたくなっても大丈夫。
沖縄の新たなナイトスポット、キクミネーションで非日常体験を
沖縄県民には以前から知られていたキクミネーションだが、規模もさることながらここまでしっかりと観光資源として進化させたのはおそらくここサンセットファームさんが初めてではないだろうか。
おしゃれでロマンチックな雰囲気のなかで非日常を感じることができる、めちゃくちゃ素敵なスポットだった。
ちなみに、電灯には赤いものと白いものがあるのが気になったのだが、スタッフの方に訪ねてみると特に菊の生育調整のためではないそう。
その秘密はというと、ぜひサンセットファームさんのこちらのページをチェックしていただきたい。いやはや、アイデアと技術に脱帽するしかない。