特集 2020年11月7日

マッケンチーズはチーズの酸味を呼び覚ます~きだてさんインタビュー

月に1度、総集編として、先月人気だったライターへのインタビューと、人気記事のランキングをお送りしております。

この記事では、きだてさんにインタビュー。
10月は「実はあんまり分かってないマッケンチーズをきちんと作って食べよう」が大好評でした。

インタビュアーは編集部・石川です。

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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アメリカのおふくろの味といってもよいらしい、マッケンチーズ(マカロニ&チーズ)。茹でたマカロニにチーズを絡めただけだろう。そこにママ直伝みたいな工夫が入る要素ってあるのか?

フライドポテトと、カップラーメンと、塩味の素パスタを併せたような

石川:
マッケンチーズは前から気になってたんですか?

きだて:
わりと昔からなんとなく気になってたんですが、より気になったのはコロナのせいですね。
4月5月に自宅で引きこもってたとき、かなりガッツリとネットフリックスなんかでアメリカのドラマとかリアリティーショーを見ていて。やたらとマッケンチーズが出るんですよね。
そもそもアメリカの食文化ってなんか謎じゃないですか。

石川:
ええ、わかんないですね。
ハンバーガーしかイメージがないです。しかしそんなにジャンクフードばかり食べてて人間は生きられるのかとも思うし。

きだて:
アメリカンバーベキュー最強決戦!」っていう番組があるんですが、 これとか見てたら、出てくる食材とか調味料がまったく謎すぎて。マッケンチーズもそのうちのひとつでした。

石川:
どういうのが出てくるんですか?

きだて:
もう、そもそも野菜とかスパイスも「それ聞いたこと無いぞ」みたいなものばかりで。
で、そんな中でも、肉を焼いてのサブメニューに頻繁にマッケンチーズが出てくる。

石川:
スパイスはわかるけど、野菜からなんだ
マッケンチーズははバーベキューの一環ということは、外で作る感じなんですか?

きだて:
いや、サブメニューは屋内キッチンで作ってました。
バーベキュー場に併設で巨大キッチンがあって。

石川:
そういうのがあるんだ!家で作ってくるとかじゃなくて、第3のステージがあるんですね

きだて:
なんか、「それバーベキューなのか??」と思わなくもない。

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これがいちばんオーソドックスなやつ

石川:
おなじみの料理で言えば、フライドポテト的なポジションと思ってていいのでしょうか

きだて:
フライドポテトと、カップラーメンと、ほか弁に添えられてる塩味の素パスタを併せたような立ち位置らしいです。

石川:
全然混ざらない3つが。どういうこと!?

きだて:
とにかくユビキタスな食い物らしいですよ。

石川:
ユビキタス!偏在してるんだ。すごい機能性ですね。
しかし確かに単なる付け合わせじゃなくて、十分メインディッシュでいけそう。

きだて:
充分過ぎますし、これ食ったらもう他のもの入らない

石川:
メインディッシュというより主食いけますね、それは。

きだて:
チーズとマカロニとバターは強すぎるんです。

石川:
炭水化物、脂質、タンパク質全部そろってますもんね。
ビタミンミネラル以外完全栄養食。

きだて:
「以外完全食」ってなんでもありだな。

石川:
マッケンチーズの完全性を強調してみました。

おふくろの味とは

きだて:
そこに「お袋の味」要素が加わるわけですから、そりゃアメリカ人大好きだよな、と。

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「おふくろの味」としてはこのグラタンっぽい見た目のスタイルが定番とのこと

石川:
おふくろの味とか言われると、ちょっと道徳的に正しい感じしますもんね。
料理としてのジャンクさを完全に覆い隠してくれる。

きだて:
なんていうか、都合がいいですよね。
あとからSNSで教えてもらったんですが、モデルの市川紗椰さんが今年の1月にコラムでマッケンチーズのことを書いてまして。それがやっぱりマッケンチーズ愛めっちゃ強い。14歳までアメリカ育ちなんだそうです。

 

(引用)味つけも塩気を効かせたシンプルなものが基本ですが、日本でマカロニ&チーズを頼むとブイヨンやローリエなどを使ったものが出てくることも多いです。だし文化の日本ではそれが料理の基本ですが、本来のマッケンチーズはもっとシンプルな味わいです。

パセリやブロッコリーを加えて野菜を取ろうとするのも邪道です。やはり、見た目が黄色っぽいオレンジ色をした、濃厚で酸味の効いたものでないと。
 

きだて:
読む限り、やっぱりジャンクで雑でシンプルなのが正解っぽいですね。

石川:
あはは、体に良さそうにしてはいけないんですね。
でも野菜入れても普通においしそうですよね。
きだてさんが作ってたチーズバーガーマッケンチーズにさらに野菜とか。

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チーズバーガーといってもパンに挟んであるわけではなく、牛ミンチを混ぜた和え物タイプのマッケンチーズのこと

きだて:
野菜入れたかった…!
入れた方が日本人には絶対美味いんですよ。

石川:
あはは、でもそこは記事的には正統の味を守って検証しないとという…

きだて:
でも、ゴチャゴチャ入れるとチーズの酸味が分からなくなってたかも。
正統の味をクラフトので食べたとき、「あ、これは酸味の料理だ」と思って。
日本人、チーズの酸味ってあんまり認識してないじゃないですか。

石川:
はい、全然イメージないです。
チーズってすっぱいですか?

きだて:
クラフトのを食べると、感じましたね。
チーズの量がとにかくすごいので、膨大な量をまとめて食べると、酸味を感じるんです。

石川:
「膨大な量をまとめて食べると」。
その経験が足りなかったか…!

きだて:
おれも初体験でした。
チーズの種類にももちろんよるんでしょうけど、なんか発酵食品由来の酸味は感じましたね。

石川:
なるほど、発酵かー。言われてみれば酸味ありそうだなって気がしてきました。

きだて:
マッケンチーズに戻ると、シンプルな料理なんですけど、最初に予想してたよりは味が単純じゃなかったのが、発見でした。

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マッケンチーズはじめの一歩

石川:
やっぱり初心者が最初に食べるおすすめはクラフトですか?

きだて:
そうですね。
どれぐらいチーズ入れるか、バター入れるかの加減が分かんないじゃないですか。正統の味を知らないと。なので、とりあえず基本フォーマットを踏まえる意味でクラフトのを。

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これが基本

石川:
あーそうか。

きだて:
まず「アメリカ人、これ食ってんのか」を体験して欲しい。

石川:
基本を踏まえる意味で、ですね。ちなみにどこで買いました?

きだて:
Amazon.comで買おうとおもったんですが、.jpでも同じのを売ってたのを見つけまして。ちゃんと現地版でした。

石川:
へー。アフィリエイト貼ります!

 

石川:
あと、ご飯にかけて食べたりするのはどうでしょう?

きだて:
ぜんぜんアリですよ。白飯進むと思います。
ピザでいけたんだから間違いない。

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当地では余ったらピザにするそうです

きだて
下手すると、パスタソースとしてすらいけそう。

石川:
パスタにマカロニかけるんだ。やばいですね。

きだて:
そうそう。しまった、それやってみれば良かったな

石川:
パスタといえば、カルボナーラとも全然違う感じですか?
構成要素としてはけっこう近いかなと思ったのですが。

きだて:
カルボナーラのクリーミーさとはかなり違いますね。
なんだろ、チーズの量が違いすぎるのか。あとバター。
あれのバターの量は日本人には致死量に近い。

石川:
煮物に甘やかされた日本人の胃腸には…

きだて:
たぶん、日本人にとっての醤油ぐらいの身近さですね、アメリカのバター。

石川:
彼らはバターをどういう単位で買ってるんでしょうね。
日本の一般家庭にあるバターは一瞬で消えますよね。

 

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致死量に近いバター(マッケンチーズ4人分)

 

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ポケモンGOがアメリカに与えた意外なインパクト

きだて:
そういや、単位もやっぱりアメリカは謎ですね。ヤードポンドほんとやめてほしい。あと華氏も。
レシピの全てに何らかの換算が必要なので、事前に全て変換しておく必要がありました。

石川:
華氏は急にでかい数字出てきてびっくりしますよね。
ちょっと話それますが、タイ仏歴が西暦より微妙に大きい数字で。今年2563年なんですけど、未来感あって面白いです

きだて:
日本の皇紀もわりと近い数字ですよね。

石川:
あ、ほんとだ。2680なんですね。皇紀。
華氏も同じくで、一万度とかすごい違う数字だったらわかりやすいんですけど、下手に摂氏でもありうる数字だからびっくりします。

きだて:
アメリカ人、ポケモンGOが始まったときに「表記がメートルだから使いづらい!」って怒ってたらしいですね。

石川:
あはは、怒らないで!

きだて:
アメリカ人が初めてメートル法を意識したのがポケモンGOってのもすごい。
ヤード→メートルの換算サイトにアクセス集中したそうです。

石川:
あはは、そのサイト儲かったでしょうね。
すごい素朴なサービスに意外なビジネスチャンスが。

きだて:
ただ、その辺の「これが標準」って感覚は動かしづらいので、難しいですよねー。

きだて:
今回の記事を書くに当たって「マッケンチーズの味を悪く言うのは絶対に無し」と最初に決めてました。
あれがアメリカ標準の味だろうから、悪く言われたらぜったいアメリカの人、嫌な気分するだろうなと思って。
日本人には合わなくても、でも現地のお袋の味なわけで。その異国のお袋の味を冷静に確認したいな、という観点ですね。

石川:
たしかに。
でもそういうと、実際にはまずかったみたいに曲解されそうですが、どうでした?

きだて:
いえ全然、思ったより普通に美味しかったのでラッキーでした。

石川:
ははは、よかった。
事前にそういう決め事をしてたとはいえ、記事にあるのは正直な感想ですね。

きだて:
ただ、食い飽きるけど。半年に1回ぐらいのペースが日本人向きです

石川:
食べ飽きるという点も含めて正直な感想。

きだて:
そうですね。変な配慮はしてないです。マッケンチーズは美味いけど日本人は飽きる、と。そのまんまひねりのない結論でしたけども。

石川:
いやいや、いろんなレシピがあるとか、酸味が決め手とか、知らなかった世界が見えて面白かったです
また今後料理系の記事をやる予定はありますか?

きだて:
わりとネタに詰まると料理系をやりがちなので、確実にやると思います。まだ決めてないけど、ラルドは確実に作りたい。
ラルドって、豚の脂の塩漬けですね。

石川:
それはまた不健康で美味しそうですね…

きだて:
またしても油ですね。
半年ぐらい熟成させるらしいので、長期戦です。
たぶん今年の12月ぐらいには仕込み始めます。

石川:
半年後のネタ切れに備えて。

きだて:
(笑)


総集編はまだつづきます

明日は10月の記事ランキング、来週は別のライターインタビューをお届けする予定です。合わせてお読みください…!

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