特集 2025年2月4日

宮崎発祥の辛麺は辛さがどうとかよりも具のニンニクがうまいのかもしれない

宮崎には辛麺というご当地ラーメンがある。

辛いもの好きの僕を満足させるほどは辛くないのだが、こんにゃく麺という特徴的な麺が好きなのでたまに食べている。ちなみに、こんにゃく麺は食感がモチモチなだけでこんにゃくは一切使われていない。

辛麺は辛くないし、こんにゃく麺はこんにゃくじゃない。そういえば何味なんだっけ。ニンニクの味しか覚えていないぞ。わけがわからなくなってきた。

整理するためにちょっくら食べてきます。

1993年生まれ。京都市伏見区出身、宮崎県在住。天性の分からず屋で分かられず屋。ボードゲームと坂口安吾をこよなく愛している。

前の記事:ハーモニーランドの好きなところを100個言いたい

> 個人サイト もがき続けて100年生き抜くブログ

悔しいけどクセになる辛麺

宮崎に越してきて辛麺の存在を知った。前職で出張帰りに食べさせてもらったのが出会いで、そのときは「ぜんぜん辛くないじゃん!変なの!」としか思わなかった。僕は罰ゲームで使われるようなデスソースを常用しているので辛さ耐性がつきすぎている。

image6.jpg
辛麺でいちばん有名な桝元に来ました!大阪や東京にもあるみたいですね

しかし、何度か辛麺を食べているうちに評価が変わってきた。

好みの味というわけでもないのになぜか無性に食べたくなるし、サイドメニューの豚なんこつはやたらと美味い。オリジナルのこんにゃく麺はほかで味わえない食感。

気づいたら大好きでした。ラーメンといえば人類みな麺類のmacroだったこの僕が!

(編集注:「人類みな麺類」という名店の「らーめん macro」という名のラーメンの話だそうです)

怖い!!

image20.jpg
怖い!!!
いったん広告です

元祖辛麺30辛を注文

というわけでサクッと入店して早速注文しよう。

image16.jpg
注文はタッチパネル方式
image18.jpg
種類や辛さを選べる

辛麺屋桝元では醤油味のいわゆる普通の元祖辛麺や、トマト味やカレー味などさまざまなベースを選ぶことができる。まあまあ、ここは普通のを頼んどきましょう。

一応辛さも選択可能ではあるものの、僕は辛いもの好きが高じて舌がイカれている。どれを選んだって変わるのは値段だけだ。でも今回は少しでも楽しみたいので一応MAXの30辛にした。

image12.jpg
辛くするごとに値段も高くなるよ

それとサイドメニューのなんこつも頼んだ。

外食はうれしいな。ところでみなさん、外食が当たり前になってませんか?それでは生き残れませんよ。

いったん広告です

これが名物のトロトロなんこつだ

注文してから数分、先になんこつがやってきた。

image9.png
これですよこれ

トロットロに煮込まれた豚なんこつをポン酢につけて食べる最強のサイドメニューである。

辛麺の具はひき肉と卵がメインなので、脂っこさをカバーする意味でも絶対に頼まなければならない。雨が降ると地面が濡れるくらい絶対に。

image1.png
ポン酢にくぐらせて食べる
image10.jpg
いただきます
image13.jpg
うっ、、、まい!!

最高!桝元のなんこつは骨を感じさせないほど徹底的に煮込まれていて、ラーメン屋のサイドメニューのうまさじゃない。これだけで店が開けるし、そんな店を出すなら出資させてほしい。

うっかりすると辛麺が提供される前に食べきってしまいそうなので、一切れだけ味わってあとポン酢を舐めて耐えた(まじで)。

いったん広告です

辛麺(30辛)を見てください

そうこうしていると辛麺がやってきた。

image4.jpg
これが宮崎の辛麺だ!

いかにも激辛ラーメンといった風情のスープである。

具は卵の他にニラ・唐辛子・ひき肉・ニンニクがたくさん。この卵は辛さをマイルドにするほか、スープの表面を覆うことで熱さを維持する役にも立っているのかもしれない。現に辛麺は食べ終わるまで熱い。

image14.jpg
こんにゃく麺(通称)です!よくしてやってください

麺はこんにゃく麺という独自のものだ。先に書いたとおりこんにゃくは使われておらず、原材料表を見ると使われているのは小麦粉・そば粉・料理酒とある。「こんにゃく麺」はあくまでも通称なのである。

さあ、御託はここまでにして思いっきりすすってやろう!

image3.jpg
ハフッ!
image17.jpg
熱い!!!!
image19.jpg
そりゃ、うまいよ(次のひとすすりを構えながら)

うまい。もっちりとした麺は噛むのに時間がかかり、そのぶん唐辛子の刺激が口の中に残り続けるのも独特なところだ。噛むのも辛いのもストレス発散にいい。レジャーとしての食という感じがする。

僕の舌は特殊な進化を遂げているので辛さはあまり感じないが、かろうじて辛くしようとする努力は感じる。

いったん広告です

桝元の辛麺はニンニクを摂取するための口実なのでは

辛麺は嘘偽りなく好きな食べ物だ。自信を持ってそう言える。

でも、不思議なことに味の実体がない気がする。辛さで味覚が麻痺してるとかじゃなくて、美味しく食べているのに何味かが分からないのだ。かろうじて、ひき肉が甘く味付けされているのはわかる。

image11.jpg
これ、何味?

あとは……にんにくか!にんにくの味だ!

image8.jpg
大きいニンニク片が入っている
image7.jpg
レンゲひとすくいのなかにいくつも

具をレンゲですくって食べると、生に近い食感のニンニクがゴロゴロと口の中に入る。自分で作る料理ではぜったいにやらない量で、スカッと突き抜けたにんにくのエネルギーを感じる。

そう考えると、辛麺は具を食べてもスープを飲んでも麺をすすっても、どんなときもニンニクが隣りにいる気がする。辛さでもなくこんにゃく麺でもなく、それこそが辛麺のアイデンティティなのではないか。

すなわち、ニンニクを食べまくるための方便として、辛麺はある!

image15.jpg
天啓得たり!!!

桝元の辛麺の美味さはニンニクにあり!

ニンニクの刺激が主としてあり、そこに唐辛子の辛味、ひき肉の甘さ、粘度の高いスープの熱さ、麺を咀嚼する気持ちよさなど、人間の原始的な部分に訴えかける要素がいくつも散りばめられている。

これは理性とかじゃない旨さだ。だから頭で考えても実体が掴めなかったのだ。合点がいった。合点がいってふと目線を落とすと、飛び散ったスープが胸元に北斗七星を描いていた。

image5.png
見返してみたらぜんぜん北斗七星じゃなかった
編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
注意してもらいたいのはライター窪田さんがデスソースを常用するほどの辛いもの好きであること。そういう舌からの「辛くない」です。でも辛いのが苦手な人でも「トマト辛麺」なら食べられるそうですよ。
しかし食べたときに「辛い」じゃなくて「熱い!」なのがリアルですよね。 (林)

▽デイリーポータルZトップへ

store_20250112.jpg

> デイリーポータルZからのお願い  買って良かったものを教えてください
> デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ