企画の撮影はGoogle Meetで行わない方がよい
今回の勝負はGoogle Meet上で行ったのだが、リアクションや塗っている様子を余さず残しておこうと思い、録画機能を初めて使ってみた。
結論、これは大変な間違いだった。なぜならGoogle Meetは常に「音声を発している方の映像」しか録画されず、同時に会話しているさまが全く録画できなかったのだ。
そのため今回の記事の画像は全て、リアクションが録画できていた部分だけをうまいこと摘出して編集した。本当によくわからない作業だった。
正月遊びの一つに羽根つきがある。あの「負けた方の顔に墨を塗る」でおなじみのゲームだ。私は一度も遊んだことがないのだが、そもそもなぜ羽根つきにだけ「負けた方の顔に墨を塗る」というルールがあるのだろう。もっと自由に墨を塗り合わせてくれ、そう思ったので友人と墨塗りをかけて対決してみた。
みなさまは羽根つきで遊んだことがあるだろうか。そしてその結果負けた方の顔に墨を塗ったことがあるだろうか。
私にはない。かるたや凧揚げ、福笑いに次いでなんとなく正月の風物詩としてイメージされるが、三十年弱生きてきて一度も触れたことがないのだ。
今年の正月こそやってみたいなと思っていたのだが、なんだかんだ昼寝やNetflixで忙しく、行うことができていなかった。
そもそもなぜ羽根つきだけが顔に墨を塗り合うルールがあるのだろう。よく考えると自分が興味あるのも羽根つき自体ではなく、「負けた方が顔に墨を塗りあう」というルールの部分である。
じゃあクイズでもなんでも勝負をつけて墨を塗り合ってみればいいじゃないか。その通りである。そうしよう。
とはいえこのご時世である。直接お互いの手で墨を塗り合うというのも「密」極まりないだろう。そこで今回はリモートで墨塗りと洒落込むこととした。
オンライン上の勝負で勝敗をつけ、負けた方が墨を塗っていくというわけだ。リモートであるため負けた方は勝った人の指示のもと、自分自身の手で顔に墨を塗ることとなる。情けないこと極まりない催しである。
ただ、勝った側としても口で指示するだけでは「塗ってやった感」が薄くなってしまう。そこで今回はお互いの顔の画像を用意し、そこに画像編集で塗る場所を指定することにした。
さっそく一戦やってみよう。
一戦目は私の勝利である。うれしい。そしてここからが本番だ。
なんだかドキドキする。
思えば友人の顔にいたずら書きをするのは初めてだ。よくマンガや創作では寝てる間にマジックで......という話は目にするが、それも自分にとっては限りなくリアルに近いフィクションだったのだ。あれ、画像でも緊張感あるんだ。
おお、塗れている。傷跡というよりは汚れっぽくなっているが、これも立派な墨塗りだ。
友人には絵の具のような塗料を用意してもらったのだが、うまく塗るのに苦戦している様子だった。きっと本物の墨で塗るのも難しいんだろうな。
さあさあもう一戦だ。最近流行りの呪術のアニメ風に言うと、「思う存分塗り合おうじゃないか」だ。
勝った勝った。墨塗りタイムだ。
友人とゲームで勝負をすることはよくあるのだが、負けるとすぐに罰ゲームがあると思うとお互いいつもより気合が入る。そしてその結果、おのずとリアクションがオーバーになる。
罰の厳しさとしても「顔がちょっとまぬけになる」くらいなので平和でちょうどいい。墨塗りは犯罪のなくなった世界に最後に残る罰である。
これもいたずら書きが初めてのせいなのだが、さあいたずら書きするぞ!と思っても意外とおもしろい模様や図形が思い浮かばないのだ。傷跡に続いて丸を指定してしまったが、なんとなく空想上の「墨塗りとはこういうもの」という思い込みに寄せられている。
その後もお互いに顔を塗り合うべく勝負を続けたが、少し想像とは違う展開となった。
なんというか、私が負けないのだ。
ここにきて発見が三つほど爆誕した。
一つは人の顔には塗れるスペースに限りがあり、4〜5回塗るとそれ以上塗れないこと。連続で私が勝ちすぎてしまった結果、私の顔はまだすっぴんなのに友人の顔に塗る場所がなくなってしまったのだ。
もう一つは一方的に勝ってしまうと、むしろ自分が塗られなくて残念な気持ちになること。なにせ向こうばかりがまぬけな顔になり浮かれ出すのだ。自分もその墨塗りパーティーに混ぜてほしいのだ。
そして最後の一つは私がクイズに強いかもしれないということだ。自分の知らない才能が開花した瞬間である。
これ以上友人の顔に塗る場所がないのでこの日はお開きとなった。「友人の顔に墨を塗る場所がないからお開き」という理由も人生で初めてだ。
ひょっとして私にはクイズの才能があるかもしれない。後日そんなことを吹聴していたところ、クイズの腕に自信のある友人が「お前の顔を芸人の鉄拳のようにしてやる」と言い出した。
いいだろう、勝負しようじゃないか。あと鉄拳さんは白塗りだぞ。(ぱっと顔が思い浮かばない方は調べてみてください)
前回の反省を踏まえ、お互いの家に顔に塗れるマジックを用意した。「墨塗り」というよりは「いたずら書き」っぽいが、絵の具タイプの塗料よりも繊細、そして忠実に描くことができることだろう。
まずは私が一勝。息巻いてきた友人の顔をまぬけに返り討ちだ。
すごい、絵の具型よりも圧倒的にきれいだ。あまりにしっくりくるもので二人して笑ってしまった。
続く第二回戦、第三回戦も私が勝利する結果となった。それみたことか、令和のクイズ王とは私のことなのだ。
二回目の鼻毛まではお互いしっくりきたので笑ってしまったが、三回目の鼻へのいたずら書きはなんだか微妙な空気になってしまった。指示に忠実であっても、面白いかどうかにはいたずら書き自体へのセンスが深く問われるのだ。
そして続く四回戦目、ついに私が負ける時が来た。
負けた、この私が、クイズで......!
とはいえここまで全くいたずら書きされてこなかった私である。どういうものが指示されるのか、そしてどんな気持ちになるのか。正直わくわくする。
なるほど!
こんなメイクをする芸人さんを見たことがある。私には考えもつかなかった模様だ。いたずら書きには考える人の個性が色濃く反映されるのだ。
ここから我々の盛り上がりは急上昇を始めた。やはりお互いにいたずら書きをされ、まぬけな顔になると楽しくなってくるのだ。
緊張の糸が切れたのか、クイズの回答自体も雑になった。短時間で勝負が決まり、すごい勢いでお互い塗り、塗られていくのだ。
この後もう二回ほど戦ったところでお開きとなったのだが、友人が「他の友達ともやってみようかな」と言っていた。最高の褒め言葉だ。やってよかった。
ベタないたずら書きでも、センスのある模様でも塗り合うことで楽しくなれる墨塗り。また何かしらの勝負の際にやってみようと思う。
今回の勝負はGoogle Meet上で行ったのだが、リアクションや塗っている様子を余さず残しておこうと思い、録画機能を初めて使ってみた。
結論、これは大変な間違いだった。なぜならGoogle Meetは常に「音声を発している方の映像」しか録画されず、同時に会話しているさまが全く録画できなかったのだ。
そのため今回の記事の画像は全て、リアクションが録画できていた部分だけをうまいこと摘出して編集した。本当によくわからない作業だった。
発見10:会話している様子を録画したければ、Google Meetは使わない
もしかすると常識かもしれませんが、これは大事な話です。
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