特集 2023年8月27日

よくみる留め金「カニカン」がカニの爪みたいでかわいい

ストラップやアクセサリーによく使われているあのパーツ、実はカニカンという名前らしい。そんないい名前持ってたのか!

いつもはただの「部品」、つまりわき役にとどまっているけれど、名前を知ったからにはカニカンらしさを主張させて主役に据えたい。

新潟生まれ千葉育ちの理系会社員。好きなものはダジャレ、甘いもの、動物園。苦手なものは部屋の片づけ。

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カニカンというパーツ

お気に入りのストラップが壊れた。銀色のパーツ部分を交換すればすぐ直りそうだ。

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このパーツ。これは壊れてないけど

このパーツなんて言うんだろうな、小さめのカラビナに似ているけど、全体はしずく型の輪になっていて、引き金がついていて、その引き金を引くと輪の一部がひらいて別の輪っかに接続できるヤツ。

まあ名前がわからなくてもお店に行けば見つかるだろう、わからなかったら店員さんに聞いてみよう、と思って手芸パーツ屋さんに来てみた。

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あった

アクセサリー用のパーツ売り場にそれはあった。

値札をみて驚いた。このパーツのお名前は「カニカン」というらしいのだ。

カニカン!!!!!

なんておいしそうな名前!!!

いままで「あの銀の、とめるやつ」と呼んでいた自分が恥ずかしい。

カニカン、カニカン、何度も口ずさみたい日本語である。

今までは脇役としか認識していなかったのに、名前を知ったとたん主役級のポテンシャルを感じるではないか。

確かにカニっぽい

カニカンを買ってきた。

「カニカン買ってきたよ~!!!」と言ってこれを出したらがっかりされそうではあるが。

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もう一度見よう、これがカニカンである

単体で見るとそれほどカニらしさはない。しかし左右に並べてみるとどうだろう。

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なんてことないパーツも、左右に並べると
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カニが浮かび上がってきませんか…??

今まで脇役パーツの形までちゃんと意識していなかったが、見た目通り、カニのつめに似ている環(カン)だからカニカンなのだな。

はぁ~。これはどっからどう見てもカニカンだわ。今まで「カニの爪に似ているな」と一度でも思わなかった自分を恥じたい。

カニカンよ。今まで気にもとめていなくってごめんな。でも自分ももっと己の名を主張したほうがいいぞ。いつもは脇役かもしれないが、いまわたしが主役にしてやる。

よくネックレスの留め金として使われているパーツだけど、こいつが主役のネックレスを作ろうと思う。よりカニっぽくアレンジして。

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カニカンをよりカニっぽくする

カニなんてめったに食べないので、自分のなかのカニの爪のイメージがフワフワしている。何か見本になるものをよく見ながら作らないと大変なことになるぞ。

そう思って北海道の紋別にすむ親戚にお願いしてカニの爪の写真を送ってもらった。

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紋別にあるモニュメント!!

リアルすぎる本物よりもいっそ作り物をお手本にした方が作りやすそうだったから、紋別にあるカニの爪モニュメントの写真を送ってもらったのだ。

送ってもらっておいて、写真をみて絶句した。

だだっぴろい広場にぽつんと、想像以上にでかい像が佇んでいる。周りに何もない。消しゴムマジックも出る幕のない人のいなさ。

ただ抜けるような青空に赤と白の像が驚くほど映えている。ぜひこの目で見てみたいものだ。

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かなりとげとげしてるのね…

さらに想像以上だったのは表面のトゲだ。こんなのもう武器じゃん!

この像を見て思ったのは、のっぺりした表面だけよりも、 トゲトゲをたくさんつけたほうがリアル感がでそう、ということだ。

これから作るカニカンにもこれでもかというほどトゲをつけたいと思う。

さて、次のハードルはどうやって金属に色をつけるかだ。

普通の粘土は金属にはくっつかなさそうなイメージがある。先日カニカンを手に入れたアクセサリーパーツのお店に行って、何かいいソリューションがないかと物色していると、「最適解」を見つけてしまった。

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これいいじゃん!!

アクセサリーパーツを金属の土台にくっつけるための、色のついた接着剤兼粘土のような素材らしい。これっきゃないと思って赤と白を買ってきた。

さっそくこねくり回してみよう。

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A粘土とB粘土を等量混ぜ合わせて…
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金属部分に盛ってみた

普通の粘土よりもぺとぺとしていて扱いが難しい!!

手で押し付けてもうまく金属にくっつかず、表面も汚くなってしまう。

小さいヘラで何度もぺたぺた表面をならすと、やっといい感じにまとわりつかせることができた。

いちどまとわりつかせることに成功すると、粘土が金属にしっかりくっついている感じがする。全然くっつかなかったら代替案はゼロだったので心底ほっとした。

金属部分に均等に粘土を盛れたら、次はあの「カニの爪」の表面にもたくさんあったトゲトゲをたくさんくっつけていかねばならない。

ちいさいトゲ…どうやって作ろうか。

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小さいサメの歯みたいだ

トゲづくりにおいて特に近道はなかった。ひとつずつ手でこねて小さい破片を尖らせた。めちゃくちゃ地味な作業だが間違いなく今年で一番くらいに集中した。

ひとつずつすくって表面に取り付けていく。

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お!それっぽい!

トゲをつけると生き物っぽさが出てきた気がする。よかった…!地味な作業に意味が出て。

さらに赤い粘土もくっつけていく。

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赤の粘土も盛っちゃう
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できたかも!

トゲをくっつけ始めると、気分が乗ってきてやめ時がわからない。手加減せずにトゲをモリモリにしてしまった。このまま乾かしてみよう。

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これが主役のカニカンだ!

完成した「カニカン」をネックレスのチェーンに通す。

ネックレスの端っこにつけられたことはあっても、ペンダントトップの位置にくるのは初めてなんじゃないか?

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じゃーん!カニカンネックレスの完成!!

トゲの多さがロックでかっこいい。普段のファッションの路線的にトゲトゲとは無縁だったので、こんなに攻撃性の高いアクセサリーを身に着けるのは初めてかも。

トゲをつけすぎたかと思ったが、ちゃんとカニの爪に見える。

名実ともにカニだ、これがカニカンのネックレスだ!!

これさえあればもうカニカンの名前を忘れることはないだろう。もう「あのパーツ」なんて呼ばせはしない。

カニカンネックレスをつけて聖地巡礼したいところだが、紋別は遠かったので、都内でカニモニュメントがある場所を探した。

するとなんと銀座にあった。おなじみかに道楽!

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首元にカニカンつけてます!
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ほら、次第にこのカニの爪が…
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カニカンに見えてきますねぇ

カニカンカニカン言い過ぎて、カニカンがゲシュタルト崩壊しそうだ。

皆さんももう覚えましたね、このパーツの名前は「カニカン」です!

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こっちのカニ料理のサンプルも
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カニカンにそっくりですねぇ

次はきみの番だ

カニカンを主役級のカニっぽくできて大満足だ。もうわたしはこのパーツの名前を忘れることはないと思う。

さて、パーツ屋さんではほかにもおいしそうな名前の部品があったのだ。

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こいつ

こいつの名前はナスカンというらしい。
確かにねぇ、確かにナスっぽいかもねぇ…。

次、役にするとしたらナスカン、きみに決めた。

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