特集 2020年2月18日

「カモが着水し続けるおもちゃ」を作る

果たして彼らに差をつけられるか、Myカモよ!

普段、近所の川に犬と散歩に行くのだが、しばしばカモが川面にサバーーーッと着水する姿がみられる。遠くから飛来し、目的地点に、低い角度から、水かきのついた足をブレーキのようにして。かっこいい。

あのカッコよさを延々と鑑賞できるおもちゃを考えました。

1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

前の記事:芋づる式クリスマス

> 個人サイト 妄想工作所

あのかっこよさを永遠に

カモの着水、と聞いてピンと来なかった方に、まずはこの動画をご覧いただきたい。残念ながら着水を背後からしか撮れなかったが…

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たぶん自分でも鼻高々なんだろう。アレをやるカモはどこか誇らしげである。鳩胸、じゃなくカモ胸を強調して。

前面からの様子を絵にすると、こうである。

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絶対本人も「あ…これ楽しいかも…♪」って思ってるはず。

ああ、良きかな。水辺の彼らが輝く一瞬を、永遠に目に焼き付けたい。それならば、こういう姿勢のカモの人形を作って、水中モーターくっつけて進ませればいいのではないか。いきなり人間の悪いところが出てしまったが、さあやってみよう。

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組み立て式なんですね…知ってたけど。

水中モーターってやつを生まれて初めて買った。いわゆるマブチのモーターってやつだ。今はタミヤから復刻されている。

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できあがってみれば簡単でした。


カチッとボディを回せば「プイーーーーン…」とプロペラが回る。さっそく走行試験。適当な素材(硬めのスポンジ)にくっつけてお風呂に浮かべ、試しに上に小皿を載せたらギリギリアウトな感じで沈んで行った。なるべく軽量に作らねばならない。というわけでスタイロフォームの出番である。これ自体が浮きみたいなものだ。

さて、ここからしばらく室内&範囲30cm四方くらいのスペースで工作が進行するので、ひさしぶりに成果物さんにおいで願って、トークの相手をしていただこう。

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オレかっこいいんだって?
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(いきなり来たな)カモさん、いつも川で拝見してます。今回はあの最高にかっこいいお姿をずっと見ていられるような装置を作りたいと思います。
あ、ちなみに「何々カモね」は封印でお願いします!
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カモ鉄板トークネタにいきなり釘をさされた形に。矢を刺されるよりはいいかな。
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(自虐&皮肉…)とにかく制作の様子をちゃっちゃとお見せしていきますよ。スタイロフォーム使うって話でした。
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密な発泡スチロール素材でボディを作るよ。
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サクサク彫れて気持ちいい。でもなかなか形が決まらない。
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延々と彫って、やーっとここまでスリムになった。
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以前もどこかで書きましたけど、初心者の彫刻はヤバイです。ザク彫りとかの感覚がつかめずどうしていいかわかんないので、じわじわじわじわ進めていくしかない、だからなかなか終わんない。
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1文に否定形が4つも。相当苦手なようだ。
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…。
まぁ、彫りさえ終わればあとは手芸的に攻略していけるので、少し気が楽になりますよ。

 

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フェルト原毛を植えて、カモらしく。
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足は針金に水かき。角度も後から変えられる。
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人形用の目を適当なとこに打って、と。

 

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テクノロートというプラスチック針金を入れて、羽模様はアクリル絵具で表現して、とにかく軽量化。

 

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ボンドでボディにブッ刺す。
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仕上げにニスで防水、と。
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あ、オレだ。
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そうですよ、それで呼んだんだから。これでガワはなんとか出来上がりました。たぶん軽量なはず。問題は、これでどうモーター部分と一体にできるか、ですかね。
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マブチモーターならぬ、「マガモ」ーターだ。
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あー、ねー。
しかしここで、突如として制作の流れが止まってしまったのです、締め切り直前なのに!

そう、ここでいつもの私の「しくみ的なもの、いまいちわかりまへーん」な性質が出てきてしまったのだ。

一番最初に、モーター走行を確かめるときに使ったスポンジ素材。アレを一応、船の形に切って、カモを乗っけてみたのだけども。

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ちゃんと足が水面につくよう、スポンジに切り込みまで入れたのに。

 

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うちの風呂でテスト。ものすごい前傾姿勢。
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うーん、モーターの前面が圧倒的に重いので、どうしても前に傾く。

そういえばモーターの説明書にも、船のような形の、皿状のものにくっつける絵が描いてあったな。

平面じゃなく、こういうタッパーみたいなのに入れれば、浮力が担保されるのだろう。やってみましょう。

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ちょうどいいタッパーがあった。さて…

 

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カモが単にタッパーに乗っています!

カモがタッパーに乗っけられて、パラパラパラ…と呑気に水面をゆくだけの作品となった。うわぁ、こういう絵を撮りたいんじゃないぞ!

ここで精魂尽き果て、私はふて寝した。

翌朝、タッパーに乗っかったままのカモがダイニングテーブルに放置されているのを家人が見て、「オレ、カモが直接モーターに乗っかるもんだと思ってた」と言ってきた。

「いや、本当はそのほうがいいんだけども…」

「なら、まずやってみれば。で、浮かないようなら発泡スチロール切って”逆おもり”にすればいいんだよ」と。

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そして試行錯誤の上、朝方出来上がったのがコレだ。

さすが、子供の頃からこの手のモーター類に親しんだ者の助言だ。あっという間にいろいろなことが進んだわい。

そしてついに、「マガモーター」が完成したのであった!

ハエの止まりそうなカモ

近所の川でさっそく試そう!と思ったのだが、モーターの説明書に「海や川で絶対に遊ばないで」とあったので(まぁ、そうですわな)、やってきました親水公園っぽい場所へ。

ここの、流れの生じていない池で、カモーターを試そうと思うのだ。

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ここなら、カモが爆走しても追えるだろう…!

 

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いそいそと組み立て。
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カモよ、あのかっこいい姿を存分に見せて…!
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隣のカモ池には相当な数のカモがひしめいておる。

 

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一斉にそっぽを向くカモ。

では、おごそかに着水の儀式をいたす。

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さぁ、どうなるか、カモよ…!

 

 

あれ?って皆さんも思いましたよね。私も同じ気持ちです。

撮影後にカモがモーターから離れてしまったので、救急措置として強力両面テープを貼り、2回目の撮影に挑む。 

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ボディとモーターもよく拭いて、次のレースに挑む。

 

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遊園地の、ほのぼのライドかな?
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あわわわ、全然スリリングじゃない!
このモーター、お風呂で遊ぶにはいいけど、カモさんのあの「爆」着水を表現するにはちょっと出力が足らなかったカモですねぇ…
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人に封印させといて、「カモ」多用フェーズに入ったな。
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いっそ、紐でぐいっと引っ張って走ったほうが、それっぽかったカモ…あわわ。
まぁ、これはこれで、牧歌的なカモ着水マシンになったカモ、ですねぇ。
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なんだよ〜〜!!!かっこいいの再現してくれるかと期待したのに。「ひとりカモ寝む」ぞ。
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今回は国語能力高いカモさんでした。ではごきげんよう。

 


まとめ

このほのぼのぶりには参った。というか笑った。実は自宅でテストしてたときから「なーんかこれ、大丈夫かな…」とは思っていたのだった。大きな池に場を移したら、その呑気な走りがより強調されてしまったじゃないか。

ズザザザザッと水しぶきを立てるイメージからは程遠かった。プラ板か何かで水しぶきをあらかじめ作っちゃっても良かったカモしれないな。

 

【デザフェス告知】

春の「デザインフェスタ vol.51」出展します。

出展名:妄想工作所
ブースNO:G-47
2020年4月11日(土)・12日(日) 11:00-19:00
場所:東京ビッグサイト西ホール全館

【展示告知】

デザフェス後、都内で展示をします。詳細ビジュアルなどまだ決まってませんが、場所は西小山近辺の「海の家」というギャラリーです。4月17日から26日まで。

今回は「張り子」しばりで、この展示に向けたオリジナル作を展示します。デザフェスとは全然違うラインナップでお届けしますので、もういっそ両方おいでください!

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