筆者が勝手に楽しかった企画
あらゆる割合が「打率」という強さを表すパラメータに変わり、野球の試合になる。野球ファンにとっては妙な高揚感が味わえた。
だが、中には「わけわからん企画だ」としか思えなかった方も絶対にいたはずだ、ごめんなさい。しかし筆者としては非常に楽しかった。
ちなみにほかの野球ゲームでも、エディットモードはつきもの。家で過ごすことが多くなりそうだし、ぜひモノ好きな方はこんな遊び方を楽しんでみてほしい。
あらゆるものを野球の打線にたとえて楽しむ、「打線組んでみた」という遊びがある。
それに加えて、あらゆる”確率”を打率に変えて野球で戦わせるともっと楽しいのでは?
よくある野球ゲームのエディットモードで打率をいじると、そのまま能力(打力)に反映される。何だかいけそうなのでやってみた。
「打線組んでみた」の遊び方を説明すると、野球の打順の役割に乗っ取って、「モノ・ヒト」を選手のように並べる。
たとえば2番には地味だけど手がたいモノ(アーモンドフィッシュ)を置き、4番には一番パンチ力のあるモノ(カレーライス)を置く……という寸法だ。
これに加えて「打率の要素」を入れ込む。まずは大学ごとの法科大学院の司法試験合格率※を打率にしてみよう。※法務省「令和元年司法試験の結果について:法科大学院等別合格者数等」より
たとえば、東京大学(法科大学院)の合格率は56.3%なので、そのまま打率5割6分3厘(563)になる。この要領で行くと、
このようになる。これをゲームに入力しよう。
今回はゲーム機がなくてもPC上でプレーが可能なプロジェクトEGGから、スーパーファミコン用ソフトのスーパーウルトラベースボールを選んだ。
説明書にも「打率を上げるとミートポイントが広くなる」と書いてあり、打率を上げると打力もアップする。
ちなみにホームラン、走力、守備の値は全チーム共通にし、より打率で強さが決まるようにした。
対戦カードは、学歴を語る上でライバルになりがちの「私立大学VS国立大学」である。それぞれの司法試験合格率を打率にしてみると、こうなった。
司法試験合格率の高い国立大学ズが、私立大学ズよりかなり打率も高い。そのため、1~8番まで打率3割台しかいない抜け目のない国立大学ズが有利になりそうだ。
対する私立大学ズは、3番の早稲田大学選手(打率421、以下数字のみ記載)、4番の慶應義塾大学選手(507)の奮闘がなければ苦しいだろう。
1回表の国立大学ズはいきなり大阪大学選手(411)がツーベース。しかし広島大学選手(359)のファーストライナーからのダブルプレーでチャンスを逸する。
対する1回ウラの私立大学ズは中央大学選手(284)が出塁し、4番の慶應義塾大学選手が、レフトへ流し打つ技ありホームランを放ってまず2点を先制。
だが2回表、国立大学ズも負けじと主砲・京都大学選手(627)がライト線に引っ張るホームランで1点を返す。
迎えた4回表、スーパー3番打者こと一橋大学選手(598)がレフトへ引っ張るホームランでついに2-2の同点に。
しかし5回ウラ、私立大学ズは頼れる4番・慶應義塾大学選手のソロホームランで1点を勝ち越す。
その後は両チームとも拙攻が続く。一橋、京大、東大と恐怖の5割超えクリーンナップもゴロの凡打が続くなど、かみ合わない。
そのままずるずると9回表を迎えた国立大学ズは、最後のバッター広島大学選手がセンターフライに打ち取られ、ゲームセット。
不利との下馬評を覆し、慶應義塾大学選手の2ホームランの活躍で、3-2と私立大学ズが勝利した。
国立大学ズは、スラッガーとしての活躍が期待された東京大学選手の不発が痛かった。弱小東大野球部の呪いが乗り移ったようである。
第2戦は、おみやげごとの購入経験率を打率にしてみよう。
こちらも司法試験合格率と同じように、たとえば白い恋人の購入経験率が47%なので、打率470となる。やはり打率に応じて打力もアップするのだ。※株式会社ネオマーケティングが全国20歳以上の2017年4月19日~20 日、全国の20歳以上の男女1000人を対象にインターネットリサーチを行ったデータ
西日本おみやげズの上位打線は強力無比。特に赤福(349)、生八ツ橋(417)、カステラ(383)のクリーンナップは迫力だ。
対して東日本おみやげズは、最高打率470を誇る4番白い恋人選手や、1割台バッターの奮闘がカギになるだろう。
まず先制したのは東日本おみやげズ。2回表に鳩サブレー選手(293)の弾丸ソロホームランが飛び出し、1-0とする。
だがその後はなかなか得点が出ず、スコアボードには0点が並ぶ。打力の低い選手も多いため、なかなか打球が外野へ抜けない。
そんな中で6回表、東日本おみやげズは1番萩の月選手(199)が初球を引っ張ってツーベース。
2番じゃがポックル選手(183)もヒットで続き、打率1割台の2人がチャンスメイクするも、3番東京ばな奈選手(346)が痛恨のトリプルプレーで追加点ならず。
対する西日本おみやげズは6回ウラにビッグイニングを迎える。
2番ひよ子選手(266)のツーベースヒットを皮切りに、3番赤福餅選手(349)、4番生八ツ橋選手(417)がつないで満塁に。
さらに5番カステラ選手(383)がタイムリーを放ち、さらに6番うなぎパイ選手(273)、7番ちんすこう選手(245)、8番サーターアンダギー選手(186)と連続タイムリー。打者一巡の猛攻でこの回一挙5点を取り逆転した。
対する東日本おみやげズは、7回表に雷おこし選手(190)のタイムリーヒットで1点を返し、さらに8回表、東京ばな奈選手が値千金のツーランホームランで1点差に。
しかし東日本おみやげズはこの後が続かず、最終9回ツーアウトで7番雷おこし選手がヒットを打つも、軽率に二塁へ走ってしまい、タッチアウトで勝機を逸した。
砂糖とアンコとヒットが壮絶に飛び交った一戦は、打率(購入率)に勝る、西日本おみやげズが競り勝った。
あらゆる割合が「打率」という強さを表すパラメータに変わり、野球の試合になる。野球ファンにとっては妙な高揚感が味わえた。
だが、中には「わけわからん企画だ」としか思えなかった方も絶対にいたはずだ、ごめんなさい。しかし筆者としては非常に楽しかった。
ちなみにほかの野球ゲームでも、エディットモードはつきもの。家で過ごすことが多くなりそうだし、ぜひモノ好きな方はこんな遊び方を楽しんでみてほしい。
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