特集 2026年6月29日

書き出し小説大賞 304回秀作発表

規定部門『まだ名前のない感情』つづき 

私の弟と、友達の妹が結婚した。
今井バジル
台風が過ぎて、街の角が全て光っていた。
タカタカコッタ
その植物のくるくるした蔓を登る小さな虫にとって、それは太陽に続く螺旋階段であるように見えた。
タカタカコッタ
パスコードがわからなくなり、スマホを初期化すると決めた瞬間、見上げた空はとても綺麗だった。
もんぜん

なにかを諦めて見える景色があるよね!

白いワンピースに麦わら帽子の女の子が、赤い自転車を立ちこぎして坂を上っていくのを、バスの中から見ている。
ゆうきせつ

バスから見下ろす景色って、どこか臨死体験(したことないけど)に近いものを感じる。いつもより高い視点と運ばれてるって感覚のせいかな。

日光を飲み込みたいときって太陽に向かって口を開けても意味がなくって。
首廻り寝具
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やっと、アリバイが喋れる。
ろっさん
「今、あなたが食べたの、シーラカンスだったんですよ」
いそうろう

聞いた彦摩呂が吐いた!

闇の中、秒針の音だけが響く。隣の男も、狸寝入りしている。
七世
背中なんて押さなければよかったな。彼女の笑みを見てひっそりと思う。
七世

やさしいやん、せつないやん

それは、子供の時に興味本位で自分の局部に筋肉痛用の塗り薬を塗った感覚に似ている。
八王寺義昭
気になるあの子の一輪車でバランスをとるときの表情を他の誰にも彼女自身にも見せたくなかった。
暖簾の部屋干し
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便座の蓋に座らせられてしまった。
南極行太郎
二股はバレた。三股はまだバレていない。
ぐるりん
貸した一万円からコーヒーをおごられた。
ぐるりん

笑!……こういう軽くイラっとする状況が個人的にはいちばん刺さる笑い。

汚れてしまったぬいぐるみの縫い目をほどき、母は強引に型紙をおこす。当然、誤差が生じる。回を重ねる毎に誤差は広がり続け、今は見るかげもない。
小野芋子
僕の脳にはadoが一般人のつぶやきになんのけなしに返信を送っている光景を見た時にしか電気信号が流れない部位がある。
prefab
あのちゃんってこんな喋り方できるんだ。
たこフェリー

それを意外と受け止める自分への白々しさ……あのちゃんの罠は何重にも深い。

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それでは次回のモチーフを発表します。

次回モチーフ
『距離』


距離には物理的な距離もありますし、心理的な距離もある。時間と同様に距離もすごく主観的な概念だと思います。いくら近くても遠くに感じることもあれば、遠くのものがすぐに触れそうな気がしたり、そもそも行間を読めというように、文芸とは言葉と言葉の間(つまり距離)を図る試みなのかもしれません。距離、を念頭に感情を起こし、イメージを広げてみてください。
締切は7月24日、発表は27日を予定しています。下記の投稿フォームからご応募ください。力作待ってます!

最終選考通過者

ねもっ血風クン/寿三郎/K./カニカマもどき/にら将軍ハルナ/フェノール藤宮/高田/a bit felicity

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