目が!目が~~~~~っ!とムスカ風に目の痒みを我慢しています。花粉症です。季節の変わり目は心が浮き立ったり沈んだり、でもなぜかそういう時期の方が書き出し小説の調子は上がったりします。やっぱり情緒っていうのは少し不安定くらいな方が文学的にはいいのかもしれません。それでは今月もめくるめく書き出しの世界へご案内しましょう!
書き出し自由部門
ふゆはるふゆと風がゆらいでいる。
砂原妙々
季節の変わり目をひらがなのオノマトペが見事に表現している。
下宿屋の春。生活の匂い。
寂寥
今日から私は寂しかったことを伝えます。知らない人たちに。
おの
空にはデッドスペース。田舎に来たのだ。
ぐるりん
一般論だが、吹雪は寒い。
suzukishika
事実は強い。
造花から良い香りがした。彼女ができた。
自由人
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黒毛和牛を卵の海で泳がせる。
人馬一体勘
深夜に読むと腹が鳴る。飯テロ書き出し。
私が失恋したのに、なんで世界は終わってないんですか?
七世
教卓の下の暗がりに、先生はいた。
いちもくれん
先生のキャラとビジュアルが強烈に浮かぶ、いい書き出し。
いっちゃんが描き足してくれた虹は、笑っちゃうくらいにでっかくて、いっちゃんだった。
いちもくれん
サチは靴下の小さな穴を月という。
みよおぶ
わたくしは実験体ナンバー9。体は不死身、心は乙女。
さくさく
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女は脱皮を繰り返すと老婆へと縮んでいった。
ビールおかわり
私たちは素直じゃない。だけど嘘はつかない。
井沢
「たち」となるだけで独白は物語になる。
霧の中の沼を避けるにはな、森ごと焼き払うのが一番なんだよ。少尉はガムを噛みながら火炎放射器を構えた。
高田
「ジュンキって言うんだ。漢字は?」「純粋な鬼と書いて『純鬼』です」
もろみじょうゆ
忘れられない名前(笑)
運命が決まってるのであれば全て出来レースではないか。
節度亜図夢
あと三回の日めくりで、私はあなたとは違う春を迎えるのだ。
早百合
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つづいては規定部門、今回のテーマは『拷問』でした!次々と襲いかかる読む拷問に悶えてください!
書き出し規定部門モチーフ『拷問』
スギ花粉のスノードームの中にいる。
みよおぶ
外から見るとキレイというのが、拷問をさらに残酷にしている。
桃に入れられ流された。
いちもくれん
桃太郎の読み方が根底から変わる!
共通の友人がトイレに行き、知らない者同士が残された。
いずも
組織について喋らなかった私は、家の床を全てレゴにされた。
あんぱんまんのあんこ部分