特集 2025年2月17日

書き出し小説大賞 288回秀作発表

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。
著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。


前の記事:書き出し小説大賞 287回秀作発表

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先月開催した7年ぶりの書き出しイベントは、みなさまのおかげで盛況のうち、とてもいい時間が過ごせました。
感謝!なお林賞に輝いたジェイソン4さんの連絡先がわからず、賞品の「ちいかわ」全巻がまだウチにあります。情報をお持ちの方ご連絡お待ちしております!(応募メールの自由部門に送ってください)

それでは今週もめくるめく書き出しの世界へご招待しましょう!

書き出し自由部門

明日免許を返納する。
タルク

ラスト車庫入れに家族の拍手が

暗証番号は、わたしの命日だった。
いちもくれん
駕籠の中で、マッチョが暴れている。
いちもくれん
隣の集落から走ってきた伝書ゴリラが、酋長の死を伝えた。
伊勢崎おかめ

伝書ゴリラかわいい(笑)

カレンダーに花マルをつけただけで何気ない一日が華やいだ。
いずも
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ひとり、浴室でこの世の歪みを見つめている
なかもりばなな
鏡餅のくびれを中指で愛でる。
フェノール藤宮

官能小説にあらたなジャンルが

レーズンバターの味がした、貪欲なキス。
小鳥待て
この街で、このキャベツの半分は、幸せな光の中にいるだろうか。
みよおぶ
下り坂、休めたペダルが黒い住宅街に幾つもの穴を開ける。
merumo
それは、ばあちゃんにダメージジーンズを縫い直されていたときのことだ。
七世
彼女には命が2個ある。またカフェオレを口の端からこぼしてる。
白石ポピー
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生きて腸に届きたかった。
若葉猫

届かなかった側にだってドラマはある

床下収納から出てきたトロフィーがつめたい。
さくさく
タイム…、代打、そこのあんた!
オメガ

そのときあなたは打席に立てますか?

2月の催事場は甘くて苦い。
早百合
ふりがな、それはやさしい。
井沢
人だけではない。鳩もまた、等間隔。
花惑
月に続く道はね、地下にあるんだよ。
ぐるりん
世界が終わった次の日。
おの
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規定部門・モチーフ『名人/達人』

土下座名人の入念なストレッチが始まった。
オメガ

美しい土下座は枯山水の庭を思わせる

ブラは外すんじゃない、外させるんだ。
人馬一体勘
ワタシは、無課金錬金術師。
はらけん

無から金を!

贋作づくりの名人は、今日も自分の作品を見に美術館へ行く。
七世

⏩ 規定部門「名人/達人」続きます

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