今年最後の書き出し小説です!そして告知です!来年1月24日に久しぶりのイベント『書き出し小説・不死鳥ライブ2025』を新宿ロフトプラスワンにて開催します!詳細などは追ってロフトプラスワンの公式ページで発表いたします。みなさまのお越しをお待ちしております!
それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご招待しましょう!
書き出し自由部門
その行列の中に生者はいない。
ギンペイ
灰色の空、果てしなくつづく死者の列。映画の冒頭のようでもある。
発注ミスが発覚した。「わたし」が50人も多い。
さくさく
書き出しでグニャリと異次元に引き込む秀作
スリだからできる、恩返しだってある。
ろっさん
年末にぴったりな人情噺になりそう
問題を抱えた人間ほど、別解を見つけやすい。
尻拭きキャンセル界隈
マンデイ君は「週明け」という嫌われ役を買って出た。根はいい奴なのだ。
花惑
墓場まで持っていくと誓った話を墓手前で落としてしまった。
節度亜図夢
凍土の中の球根が朝日を求めて手を伸ばすのを、私は濁った水晶体で見つめていた。
さくさく
馬鹿みたいな夕暮れ、片想いに口内炎。
坂上田村麻呂の従兄弟
意外や意外、愛していたのです。
正夢の3人目
書き出しなのに前段があるというトリッキーなつくり、そしてなぜか笑える。
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いよいよだ。私が隠し子だと告白するには、焼香の場しかない。
七世
式場の二階で止まった風船は、新婦が飛ばした愛の風船。
花にうたう
木の葉の間にその豹柄のおばあちゃんはいた。
井沢
あのインフルエンサーは中学校に乱入して生徒会会長選挙に出馬し落選した。
パチリパンダ
なにがしたかった?!(笑)
「黙って聞いてりゃいい気になりやがって!」男は机を叩き立ち上がると、無の顔で相手のターンを半日じっと待っていた。
ガンダーラ磯崎
後半まったく展開がないという展開に驚きました!
役所を煮詰めたような性格だ。
にら将軍ハルナ
娘からクリスマスプレゼントと贈られてきたTikTokダンスを私は死んだ目で見ている。
吉田髑髏
息を吸う度に女になり、息を吐く度に男になる呪いをかけられている。
prefab
もう会えないから、安心して好きでいられる。
ねんねこ
朝もやのホームの向こうに光るゲロが見えたんです。
たこフェリー
これ、意外と見たことある人多いのでは?そう、ゲロって光るんです!
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つづいては規定部門。今回のテーマは『触感』でした。言葉は脳を触れるか?!
規定部門・モチーフ『触感』
左手にかかる文庫本の重さが好きだった。
フェノール藤宮
読むと同時に感じる重み。その重みも人それぞれ。
人間は私の肉球を押すのが好きらしい。
降水確率
月に触れる。冷たかったのは冬風が指の間を通り駆けたから。
もろみじょうゆ
冴えた冬が伝わってくる。
靴紐を直す私の頬にレジ袋から飛び出した長ネギがキスをする。
なかもりばなな
これはリアル。日常の細部に宿る触感。
じかに帽子が当たるというのは、こういうことなんだな。
ウウタルレロ
目に帽子のつばが当たってのけぞったこと、ありませんか?