特集 2024年9月17日

書き出し小説大賞 283回秀作発表

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。
著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。


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ちょっと目を話しているすきにChatGPTの進化がえらいことになっています!正直以前までAIには多少の警戒感があったけれど、もうそういうフェーズではない気がします。
すでに私たちにできることは、AIの知能を少しでも下げるため、ひたすらバカな質問を投げかけることしかないのかもしれせん……
それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご案内しましょう!

書き出し自由部門 

ぼくは、もうすぐ虹になる。
花惑

星でも風でもよかったところなぜ虹なのか?潔い文体が妙に深読みさせてしまう。

夕日の皮を剥いたので指がオレンジ色になってしまった。
六井象
話は弾まないし、微糖の缶コーヒーまずい。
たこフェリー

「微糖」から弾まない話の内容まで伝わってくる。

ググっても出てこないあの子を去らせない方法。
井沢
敷きたてのアスファルトは臭くて、七色の油が滲んでいた。
merumo
墓穴しか掘ってこなかった。膝に付いていた、土が堕ちる。
merumo

墓穴の深さは身長以下に。

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去りゆく夏から視線を逸らし、乾いた向日葵は瞳孔から光を失った。
さくさく

生命力の塊のような向日葵は全力で死ぬ。

夕飯の匂いで僕は昼寝から目を覚ます。別れたはずの女が台所でなにか煮ている。
さくさく
首輪から伸びたリードを引っ張られて、興奮した父が空中で足をバタバタさせた。
もんぜん
蜂の巣ハンターを昼過ぎに、盗聴器特集を夕方に見ただけの休みだった。
みよおぶ
横に座ってるチャイコフスキーが、昔の免許証見せて自慢してくる。すごい関西弁。
なかもりばなな

浪速のモーツアルトほどの才能はなさそう。

私だけが覚えている口約束。また齧る同じサイズのビスケット。
困った米
ケントの作るフライドポテトは、五穀断ち中の僧に大人気だ。
prefab

なんならフライドポテト目当てで五穀断ちしてる。

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続いては規定部門。今回のテーマは『ガムテープ』でした。世にも珍しい『ガムテ文学』の全貌が明らかに!

書き出し規定部門・モチーフ『ガムテープ』 

お願い、剥がさないできいて。
団の裏

ガムテープを剥がす状況(引っ越しなど)でこの台詞。最小の言葉にあらゆる設定を組み込む秀作!

ガムテープの香りは高二の文化祭を思い出させる。
スガリ

思い出すなあ……ガムテとダンボールのおばけ屋敷。

丸めたガムテープを靴下につけたまま、あいつは出て行った。
げたのにつけ
愛する人の唇を塞いだ。
suzukishika
絶え間無く襲ってくる後悔を今日も段ボールにしまってガムテープで閉じる。
ゆゆい
使いきれなかったガムテープと共に、実家は売りに出された。
南極行太郎

使い切ったらゴミになる。

⏩ 規定部門「ガムテープ」続きます

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