特集 2023年8月13日

書き出し小説大賞 266回秀作発表

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。
著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。


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にしても今年の酷暑ひどすぎやしませんか? そのうえ仕事で愛想笑いしたり、パソコンが言うこときかなくなったり、風呂のシャワーで背中こすったり、家の前にめちゃくちゃでかい蛾がいたり、地獄ですよまったく!でも一番許せないのが税金! 税金の払いたくなさで美人になりそう!(イミフ)

それでは今週もめくるめく書き出しの世界にご案内しましょう!

書き出し自由部門

夏の中心に給水タンクはあった。
みよおぶ

夕方の給水タンクのシルエットが好き。

額装された写真が一枚増えた。
タルク石

書き出しにも最後の一行にもなる。

うしろから推しの話が聞こえてきたから、ずっと赤信号でいい。
人馬一体勘
ぶどうの一粒を食べ終えて、爺ちゃんは残像となった。
タカタカコッタ
六等星が必要な夜だってある。
のと
足が折れている。声も出ない。陽の射す角度によって数刻緑色に染まる髑髏が、もはや山側のモノとなって俺を笑う。
正夢の3人目

後半のゾーンの入り方がすごい!

お色直しを済ませ、再び断頭台に立った。
いちもくれん
ギムレットは雨垂れの庭に撒かれて蛍になった。
おの
君には、お土産に筋肉痛をあげよう。
おの

授かりものだったんだ。

指輪をください。どうか、私と一緒に不幸になってください。
さくさく
茜色の世界。天狗の鼻にとんぼがとまった。
寂寥
電線の影に撫でられながら帰った。
みよおぶ
順路を逆走する私に、誰も声をかけない。四、五ほど作品を観て、私は美術館を出た。
Yagio

一応四、五作品観てるところがいい(笑)

咀嚼音とタンバリンの音、母が来ているのだ。
ぐるりん
猫は懐かしい名前を捨て、シャッター通りを後にした。
坂上田村麻呂の従兄弟
いったん広告です

つづいては規定部門。今回のお題は「断定」でした。言い切ったもん勝ちのパーリーです!

規定部門 モチーフ『断定』

犯人は私だ。
ぐるりん

もっとも短い推理小説。

ごはんですよは、ごはんではない。
みつばち社長

ごはんですよは、桃屋ですよ。

いい不動産屋は、いい怪談屋である。
牡鹿戸

怪談界の好敵手、タクシー運転手と不動屋さん

正座は意思だ。
寂寥
詩が叫びならば、小説は祈りである。
南極行太郎
眩しいのは全てヤクルトの蓋だ。
タカタカコッタ
君はナンシー、テンプラ好きの女の子だ。
タクタクさん

⏩ 規定部門 モチーフ『断定』続きます

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