特集 2023年7月16日

書き出し小説大賞 264回秀作発表

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。
著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。


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宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』がついに封切られたようです。まだ観ていないいまから次回作が楽しみです! それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご招待しましょう!

書き出し自由部門

千葉の夜明けだ。
もろみじょうゆ

なんだかわからんけど、力強い(笑)

3周目のネギトロは回遊魚の夢を見た。
みよおぶ
十五歳の私へ。大丈夫。あなたは、ちゃんと、雨女になれたよ。
S.マウンテン
満月は十字に光を放ち、それはあまりにも正確に九十度で、必死で、美しかった。
S.マウンテン

美しさの核って「必死さ」にあるのか、と妙に納得しました。

常時、幸せであること。入居条件はそれだけだった。
いちもくれん
対峙してみれば闇はただそこにあるだけだった。
あの
あなたが愛した私の弱点、全て克服してやった。
井沢
いったん広告です
呑まなきゃやってられないけれど、呑まずにやろうと決めた。
寂寥
真夜中のプールのど真ん中、ひとり、伏し浮きを試みる。
タカタカコッタ
大丈夫、なんとかなる、このくらいで済んで良かった。
カタルパ

そう。死んだわけじゃない。

手記は俺の死後も続いた。
いそうろう
耳が痛い。たぶん憎しみが外耳で育ってる。
葱山紫蘇子
必死に面白がっている内に、嘘も本当も自分の気持ちもわからなくなってしまいました。
正夢の3人目
そして少女達は、無防備に発光して見せた。
タクタクさん
ターボばばあ、北海道1周の旅に出かけた。
もろみじょうゆ

駄菓子のような世界観(笑)

交差点を通るマッコウクジラと大きいトラック。
井上 雄彦
足もとで海底火山の匂うとき、揮発はもう始まっている。
おへロール

計算かあるいは偶然か、理解できない文章が絶妙なバランスで「引き」になるパターンもある。

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つづいては規定部門。今回のテーマは『衣装』でした。読書にドレスコードなし。お好きな服で読んでください。

規定部門・モチーフ『衣装』

「いらっしゃいませ」のエプロンが、私の名前を覆ってしまう。
牡鹿戸

変身するのはヒーローだけじゃない。

花嫁衣装として仕立てたドレスをまとい、君は棺に横たわっている。
水沢ながる
浴衣にメガネが、やけに色っぽい。
人馬一体勘

同感!

彼の背中のスーツのしわを見るのが好きだった。
もんぜん
ヒットした歌のせいで、ステージでは未だセーラー服だ。
タルク石
こいつら全員フェス帰りだ。
suzukishika
ブーメランパンツは戻ってこなかった。
suzukishika

戻ってこなかったブーメランパンツを拾いにいく。

⏩ 規定部門・モチーフ『衣装』続きます

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