特集 2023年6月25日

書き出し小説大賞 263回秀作発表

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。
著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。


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先日ご近所さんに頂いた「栗らくがん」というお菓子の袋に書かれていたコピーを紹介します。『静かなるブームの波紋を広げる!!』──言いたいことは伝わるけど、もう少し整理できんかったか?

それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご案内しましょう!

書き出し自由部門 

島を出て、月に来た。
suzukishika

短い文に物語のスケール感がしっかり出ててよい!

子供たちに幸せをふりまいて自ら地獄へ堕ちてゆく。
人馬一体勘
湿気に押しつぶされて、あの人はおいしい佃煮になった。
葱山紫蘇子
雨上がりのスクールゾーンが眩しい。
タカタカコッタ
私の隣に来て、一緒に全て忘れてくれますか。
あの

逆光に跪く女性が浮かびました。すごい誘い文句だと思います。

嫌なことを一つずつ並べていって、テトリスみたいに消した。これで私はまた最強。
うにねこ
プリントしたての紙が、今日で一番優しかった。
みねいち

コピー機から出てくる紙の温かみ、たしかになぜかやさしく感じる。

G-SHOCKにクロックスの住職に続く。
井沢
許されるための罪だった。
ミミズグチュグチュ
数を数えるバイトだとは聞いている。
ナックルボール
サプライズゲストとして登壇し、現行犯として姿を消した。
いちもくれん
無表情で泣く君が、寂しかったし悲しかった。
もろみじょうゆ
とても君。とても夏。
みよおぶ

さわやかなコピー。青春(アオハルではない)。

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つづいては規定部門。今回のテーマは『スリーワード』でした。『スリーワード』とは三つの言葉を並べて、その世界観やストーリーを表現する新しい文章様式。言葉の隙間は読み手の想像力で埋めてください!

書き出し規定部門・お題『スリーワード』

もや、鉄塔、中央線。
柄谷浩紀

リアルな湿度を感じる秀作。

絵葉書。文庫。コップ底の跡。
寂寥
知らない町、古びた館、自分に瓜二つの肖像画。
いずも
炊事、洗濯、殺陣。
井沢

3つな同じ温度感で並んでいるのがよい。

⏩ スリーワード、続きます

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