特集 2023年6月11日

書き出し小説大賞 262回秀作発表

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。
著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。


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昼飯後、あまりに眠くなるのでネットで解決策を調べたら、ランチ後すぐに20分から30分ほどのウォーキングを行う、だって。だったら20分から30分ほど昼寝するわボケ!
それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご案内しましょう!

書き出し自由部門

邪悪な鳥はキレイだった。
ミミズグチュグチュ
その傘を畳んでほしい。雨について君と話し込みたいんだ。
あの
透明な動物たちが濁った僕を睨みつける。
ナックルボール
レシピには優しい命令口調が続いていた。
みよおぶ

レシピが過去形だったら、小説みたいで面白いかも。

これはチンゲン菜農家たちの、総力戦の記録である。
もろみじょうゆ
長いこと丸まっていた猫が、ほどけたときの匂いが好きだ。
S.マウンテン
雨の中、画家は力を試されるような山の陰影を前に立ち尽くしていた。
カズタカ
マグノリアの花が散る頃、5年ぶりに彼女が日本に帰ってくる。彼女の髪からはパクチーの匂いがするだろうか?
h.katoh
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あ、引き戸か、と気づいた時には閉館だった。
いちもくれん

館内のホタルの光を外から聞く。

あやとりのはしごを、君はまだ信じているだろうか。
タカタカコッタ
どこまで私に笛を吹かしめるのですか。
モンゴノグノム

「吹かしめるの」ってはじめて聞いたので採用。

愛を具現化した果実を尻深く入れて最後の島へ向かう。
正夢の3人目
黄緑のなかのきみ。水墨画のなかのぼく。
葱山紫蘇子
遠くで蜘蛛が揺れた。動けぬ私を嘲笑うように。
早百合
嘘でレゴを組んだ。
寂寥

嘘でレゴ?

船は七つの海を駆け、釣った魚はもれなくちくわになった。
prefab

⏩ 規定部門・モチーフ『ラスボス』

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