特集 2019年7月14日

書き出し小説大賞第172回秀作発表

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。
著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。


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私の場合、これを想像するだけでニヤニヤできるのは『敬語で怒る外国人』です。それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご案内しましょう!

触角を動かすのは、眉毛を動かす感覚に似ている。
紀野珍
マカロニの穴の中のお湯、ちゃんと切れただろうか。
xissa
老眼鏡をずらした妻の上目遣いにドキッとした。
ビールおかわり
音のない雨は優しい。
わけわけ
大将の「もう帰れ!」には愛があった。
自由人
コンセントを抜くと思い出が全て消え去ってしまった
雪景色頭
クレーマーの、歯茎ばかりをみつめる。
切腹もなか
昨今のリノベブームは、忍者屋敷をカフェとして蘇らせた。
さくさく
刀削麺は全て、一旦わたしの顔に当たってから鍋に入った。
哲ロマ
どんな異常者も必ず降車する。
井沢
9月は風を上手く読めば一度も漕がずに自転車で島を一周できる。
江戸ガットン
マリオネットは挙手を逆らったので右手の糸がプツリと切れた。
夢雀

寸評
●紀野珍氏「触覚を~」昆虫側の一人称になっているところがすごい。
●xissa氏「マカロニの穴~」気にしたことなかったのに、これからはマカロニを食べるたびに思い出しそう……罪。
●自由人氏「大将のもう帰れ~」たぶんまったくなかったと思う。
●哲ロマ氏「刀削麺は全て~」全部受け止めた「わたし」も偉いw

つづいては規定部門。今回のお題は『架空のメニュー』でした。どんな料理か想像しながら読んで下さい。ではいただきまーす!

規定部門『架空のメニュー』

南プロヴァンス風お好み焼き
人馬一体勘
四面楚歌定食
にら将軍ハルナ
村の丸焼き
八重樫
ホテルの缶詰
かみや
メンタルの最強焼き
まじいい
一人娘が嫁ぐ日のモーニングセット
ろっさん
海鮮アンビシャス巻き
井沢
腹違いの親子丼
カズマンヌ
ゴボウのしばき和え
もんぜん
抜け感サラダ
もんぜん
輪郭の天ぷら
ヘリコプター
水サラダ
ささみ
西日でじっくりコトコト煮込んだスープ
TEPPY
たらればの煮こごり
akimbo
冷やし旧家
ポン酢助兵衛
食品サンプル丼
紀野珍
ミニカーのゼリー寄せ
xissa
脱北者焼きそば。
prefab
ジェノサイ丼 悲しみの果て
寂寥
井上さんの失恋のコンポート
紅井りんご
冷え切った夫婦の肉じゃが
メガネが本体です
気まぐれ判事と有罪判決のポワレ~執行猶予付き~
タクタクさん
ベテランバイトの正社員になりたいサラダ~切実な思いを添えて~
トミ子
データ懐石~ビッグデータとアナリティクス盛り~
もしもし猫村
ねじまき鳥の丸焼き~クロニクル風味~
オメガ
闇に響く謎の銃声と鴨のコンフィ
東ことり
ポンコツ博士のうっかり丼
インターネットウミウシ
メスブタの感情移入焼き
セッドあとむ
シワ寄せ天狗の顎出汁定食
川ハム
香川照之の味噌煮
狸寝入りジロウ

寸評

●人馬一体勘氏『南プロヴァンス風お好み焼き』チーズの中でカツオ節が悶えてる!
●もんぜん『抜け感サラダ』抜け殻食感!料理の素材に新境地!
●akimbo氏『たらればの煮こごり』これ、ひとり酒のアテにぴったりだね。
●xissa氏『ミニカーのゼリー寄せ』食べられないけどつくってみたい。涼しげ。
●インターネットウミウシ氏『ポンコツ博士のうっかり丼』口に出して言ったときの脱力感がすごいw


それでは次回のモチーフを発表します。

次回モチーフ
ユニクロ

次回は、いまや日本の国民服となったユニクロをモチーフにします。ユニクロのブランドイメージが持つ日常性から考えるのもよし、それを逆手に取ったSFものなども面白そうです。
今回は広告のコピーっぽいのもいいかもしれませんね。締め切りは7月26日正午、発表は7月28日を予定しています。下の投稿フォームから部門を選んで送って下さい。力作待ってます! 

最終選考通過者(今回はなし) 

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