特集 2018年12月2日

書き出し小説大賞第159回秀作発表

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。
著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。


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師走です。毎年この時期になると個人的にどうでもいい重大ニュースを決めるのですが、今年最も活躍した女性タレントは、オスマン・サンコン氏の第三婦夫人となった、グラビア演歌歌手の北山みつきさんに決定しました。それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご案内しましょう!

書き出し自由部門

雨男は不敵な笑みを残して蒸発した。
住民パワー
夕焼けに涙が落ちた。この転職は正解だ。
らい麦
飼い猫がぶくぶく太り、カレンダーが痩せていく。
インターネットウミウシ
冬には冬の、目のやり場があるという。
みゆき
カップ麺のフタを押さえたスマホに電話が来た。
xissa
人類最後の希望を、戸棚にしまった。
タクタクさん
真新しいスニーカーが歩く場所を選んでいる。
人馬一体勘
正確にニュアンスを伝えようと言葉を選んだ結果、思いがけず自分が傷ついた。
川ハム
何もしないのもヨガです。
Yves Saint Lauにゃん
四人の鈴木をまたいで、彼女は去って行った。
本屋幹部
棺に近づくと、自動で蓋が開いた。
紀野珍
体育座りをしたまま、父は台車で運ばれていった。
もんぜん
髪をグチャグチャにされることが、褒められた証なの。
茂具田
一回の托鉢が、彼女の金銭感覚をうばった。
あや幹部
誰かの落としたソフトクリームが、日時計となり、4時を指そうとしている。
スリッパ
俺の紐を引っ張ったら、あいつのパラシュートが開いた。
昼行灯
五十過ぎた俺は、性欲探しの旅に出た。
prefab

寸評
●住民パワー氏「雨男は~」雨男はいったいなにを中止にしたのだろうか。「書き終わり」でも通用する秀作。
●みゆき氏「冬には冬の~」薄着もよし、ニット越しもよし。
●Yves Saint Lauにゃん氏「何もしない」ヨガは超積極的に「何もしない」を実践している気がする。
●紀野珍氏「棺が近づくと~」頭と足を逆に入れないよう注意したい。
●スリッパ氏「誰かの落とした~」一瞬で情景が浮かぶ。かつ時刻まで分かる。

つづいては規定部門。今回のテーマは『偽ヤフー・トピックス』。13文字程度で思わずクリックしたくなる見出しを考えてもらいました。
せっかくなのでDPZの有能編集部に、実際リンクへ飛べるように構成してもらったので、気になるニュースはぜひクリックしてみてくださいね!


規定部門・モチーフ『偽ヤフー・トピックス』 

インターネットウミウシ
ゴリラ・リゴラ・ラリゴ

さすが書き出し作家のみなさんは、こういうお題でも見事に対応してくれます。普段の書き出し小説ではなかなか使えない固有名詞も、この手のネタなら思い切って使える。
限られた文字数の中にどうインパクトを詰め込むか、俳句に「侘び・寂び」の美学があるように、見出しには「釣り」の美学がある。ネット世代の自由律としてまだ伸びしろを感じます。またやりたいですね。
それでは次回のモチーフを発表する。


それでは次回のお題を発表する。

次回モチーフ
「2018年」

次回の更新が今年の最後なので、お題はこの一年を振り返る意味で2018年としました。

世間のニュースに題を取るもよし、個人的な出来事をテーマにしてもいいです。平成最後の年を書き出し小説で残しておきましょう。

締め切りは12月14日、発表は12月16日を予定しています。下記の投稿フォームから部門を選らんで送って下さい。力作待ってます!

(最終選考通過者)今回はなし 

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