歯ブラシを買いに行く
そして、寝ながら思った。そうだ、歯ブラシないなと。歯ブラシがないと歯が磨けない。しかし、歯ブラシを売っていそうなスーパーやコンビニまで歩いて1時間かかる。車なら10分ぐらいで行けるが、車なんて持ってない。
1時間かけて歯ブラシを買いに行くのか。歯ブラシのために1時間?
こんなにも自動車の初心者講習を受けたいと思ったことはない。言わないようにしていたけど言わせてください。「面倒くさい」。近所に買いに行くのとではわけが違う。
周囲に何があるのか見ながら買いに行こう。タクシーがあったら乗ろうと思ったが、通ることがなかった。
あと、神社が並んで設置されていて「そんな、ファミマの隣にセブンイレブンがあるみたいな状態いいのか?」と思った。競合しないのかな。
しばらく歩くと車の往来がはげしい大通りに出てきた。もちろんあるのは民家だけだが、歩いているとその土地ならではのお店を見つけることができる。
1月になると最高気温が5度と低く、寒い地域なのだ。暖炉を使うところもあるのかもしれない。なんかお金持ちみたいでいいな。うちにもほしい。
川場村にはスキー場がある。そのためのお店かと思ったが、シーズン外のためか、お店は閉まっていた。
見に行きたいが、早くしないと夕方になってしまうので見るのをあきらめて行った。滝をいつでも見られる町、いいな。
ここまで30分ほど歩いただろうか。歩行者と1人ともすれ違わない。車がビュンビュンと走っているのに、徒歩の人が1人もいない。本当に車が必須で全員が車を持っているのか。
ふと「そうか、歯ブラシを求めて歩いているのか」と思う瞬間が1時間のうち30回ぐらいあった。2分に1回のペース。
歩いて50分近く、お店が並んでいる通りに出た。うどん屋やスーパー、ドラッグストア、電気量販店が立ち並んでいる。
歯ブラシを求める旅が終わろうとしている。そんな伝説みたいな旅をしていない。
大都市だと10時ぐらいまではやっているだろう。川場村では早めに閉店する。早く寝た方が健康にいいからな。