特定の職業の人しか乗ることが出来ない白バイやピザ屋の配達のバイクなどに密かな憧れを抱いていた。転職しない限り一生乗れないのか……、と思いながら横目で見る日々。でも、そもそもバイクに乗るのがちょっと怖いしな……。
だけど、やっぱり乗ってみたい。せめて雰囲気だけでも味わいたいと思い、とりあえず家の自転車をピザ屋のバイクに改造することにした。
できあがったのがこちら。
こうしてピザ屋のバイクに乗る夢を雰囲気だけ叶えたのだった。
「あきらめなければ夢は叶う〜」という歌が世の中に溢れているが、雰囲気だけならば、途中であきらめてもなんとなく叶うということを知った。誰か歌にしてほしい。
どうやってつくったかさっそく紹介していこう!
自転車を分解する
大学生のとき、母が勝手に荷台を取り付けてしまい、ぐっとママチャリ感が上がって絶望した日もあったが、使ってみると意外と便利だったので今日までこのまま乗り続けてきた。
ついに荷台を取る時が来た!!!
ボロボロのカゴも取ってしまおう!
夏休み明けにあったクラスメイトのまゆげが細くなっていた、程度の違和感があるが、すぐ見慣れるだろう。
骨組みをつくる
設計図をかいた方がいいと友人に言われたが、かき方がよくわからなかったので、そのまま勢いで進めることにした。
けっこういい感じ!と思っていたのだが、友人にみせるとある指摘をされた。
友人「前の部分はどこに固定するの?」
うずら「カゴがついていたところに繋げるつもりだけど」
友人「え!?だめだよ!真っ直ぐにしか進めない自転車になるよ!?」
やっぱり設計図をかくべきだったのだろうか。いや、例えかいたとしてもこの段階までこないと気付けなかっただろう。
このまま進めたら壁に突進していく自転車が完成するが、進めなくても今現状壁にぶち当たっている状態である。完全に行き詰まってしまった。一体どうしたらいいんだ……。
正解が分からなくなったので、とりあえずファミレスに逃亡することにした。
夏休みに集中して作業するぞ!!と意気込んでスケジュールを立てていたが、ドリンクバーでジュースを飲み続ける活動で2日間過ぎて行った。
そろそろどうにかしなきゃな……と思い始めていたとき、
友人から「ハンドルを曲げても干渉しない位置にクランプで挟んで固定したらどうか」という意見をもらった。
こうして、固定されているのにハンドルが曲がる自転車に軌道修正出来たのだった。
段ボールを貼る
できるだけ軽くしたいので、周りの部分は段ボールで作っていく。
木を切る作業がかなり肉体労働だったので、段ボールがカッターですっと切れることに異様な感動があった。段ボールさえあればなんでも作れる気がする。
色を塗るのが一番楽しく、数時間で塗り終わった。
中の色がわからないので、とりあえず黒にぬっておこう。
ピザ屋バイク風自転車完成
そしてついに完成。
服もそれっぽいラコステのポロシャツを古着屋で買ってきた。
ミラーっておにぎりっぽくて美味しそうだな……と思いながらつくった。
ライトを光らせたかったので、ちっちゃいライトをいくつか中に仕込んでいる。
さっそく走ってみよう!!
憧れのピザ屋ライフを満喫
重量感があるので、こぐ力が今までの2倍ぐらい必要だ。ずっと坂みたいなかんじ。
何も荷物をいれてないのに、ウォーターサーバーの水を運んでいるかのような錯覚をおこした。
かなり晴れていた日だったが、屋根がいい感じでひさしになってとてもよい!
とりあえずコンビニにいってみよう!
調子に乗って走っていたら、段差を降りた衝撃でクランプが外れた。
道ゆく人の視線をひしひしと感じつつ、しばらくクランプと格闘し、なんとかなおすことが出来た。
やはりここの構造に無理があるのか……!!
クランプで挟む以外にいい案があれば誰か教えてほしい。
とりあえず自転車がなおったので、このままスーパーで買い物することにした。
本当はお米とかも買いたかったが、周りをダンボールでつくっていることもあり、強度が心配だったので軽そうな物だけ買った。大容量の意味なし。
ピザを買いに行く
せっかくなので、ピザ屋の雰囲気でピザを買いに行こう!!
お店行くと、ちょうど配達にでていたドライバーのお兄さんが帰ってくるタイミングと重なり、
「その自転車めっちゃいいですね!!うちの配達用自転車より立派ですよ!」
と言われた。
配達用自転車なんてあるんだ!
配達しているところをみたことないけど、自転車もあるんだな。
お兄さんが黒いウエストポーチをつけていたので、
「ピザ屋さんの配達はウエストポーチなんですね。参考に写真を撮ってもいいでしょうか」
と聞いたら、
「カバンつけてみます?」
と言ってくれて、一瞬カバンを貸してくれた。
ぐっとピザ屋のクオリティがあがった。私に足りなかったのはこれか!
何度かピザ屋バイクの観察に来ていたが、箱の中を見ることが出来なかったので、中身は想像で作るしかなかったのだ。銀マットを貼って、白いネットを100均で買ってくれば、もっとクオリティを上げることができるな。
ピザ屋のお兄さんは、
「業者に頼んで、ポロシャツにピザ屋のロゴを印刷してもらったらどうか」
など、親身になってよりピザ屋に近づくアドバイスをしてくれた。
通りすがりの、ただのピザ屋風の私にこんなに優しくしてくれるなんて……!!と感動しながら、注文していたピザを購入したのだった。
撮影してくれた友人に、
「そんなズカズカ玄関に入り込んでくるピザ屋はいやだ」
と言われた。そうか、配達とは控えめな気持ちが大事なのだな。心にとめておこう。
一日中重い自転車に乗って疲れたのか、夕方にピザを食べたら速攻寝てしまい、気づいたら朝だった。
ピザ屋風になるのにも体力が必要なのだな、と思った。
圧迫感のある部屋
ピザ屋から帰る途中、後ろから小学生の女の子が付かず離れずの距離感でずっとついてきていた。
「本当にピザが入ってるんだよ〜!」
と言って中を見せたら、「すご〜い!!」と言って興味津々な感じで近寄ってきた。でも、
「どうしてこれをつくったんですか?」
とまっすぐな目で質問されたとき、
「え、いや、ピザ屋のバイク乗りたくて……」
と言ったら納得のいっていなさそうな顔をされたので、何と説明すればよかったんだろうか……とその後しばらく考えたが答えはでなかった。
しばらく不安定な天気が続いているので1週間以上部屋に置いてある日々が続いている。この自転車を部屋に入れてから、頻繁にピザが食べたくなっている気がする。