本屋で夢の珈琲牛乳を飲む
16時半をまわり少し日が傾いてきた。
Twitterで今日広島めぐりをするのだとつぶやいたところ、「りんご堂」という本屋・カフェバーを紹介いただいたのでそちらにも行ってみたい。
好きな本が並んでいる。店内にはキリンジが流れている。ははーん…さてはいい店だな?
りんご堂は店主の野崎さんが「町から本屋をなくしたくない」との思いで昨年オープンさせた本屋兼カフェバーだそうだ。コロナ禍で店を開くの、勇気だなー。
「2019年からオープンに向けて準備してたから、もう前に進むしかなくて笑」
つい最近、流川(繁華街)に「らっこ文庫」という2号店も出されたそうだ。そちらはもっとバー寄りで、野崎さんの奥さんが店主を勤めているらしい。へー!そちらも気になる。
広島に来てから、なんと言えばいいか、こういった格好いい場所に行けていなかったので、こういう時間もあるといいよな、とじんわり思う。
今思えばおすすめの本を教えてもらえばよかった。
ご存知ですか、二重焼き
店を出ると18時近く、あたりはもう真っ暗だ。
野崎さんから、歩いてすぐのところに二重焼きのお店があると教わった。
他の地域で言うところの「今川焼き、回転焼き(御座候などなど)」を広島では二重焼きというらしい。初めて聞いたなー。
たどり着いたのがここ、二重焼きの名店、「いわた屋」である。
あー、この時間じゃ閉まるよなー…!営業時間は18時まで、17時以降は完売次第終了とのこと。
気になるのでまたの機会にしよう。遠方を巡るいつもの「地元の人頼りの旅」ならリベンジは難しいけれど、ここは筆者の新しい地元なので。
広島電鉄で横川駅を経て、広島駅へ向かう。
めざすは駅の西側、エキニシ。今日幾度となくすすめられた(具体的には観光案内所、シャレオ、おりづるタワーの方々にすすめられた)飲食エリアだ。
古民家をリノベーションした店が40店舗ほどひしめき合う。東京で言うところの、新宿歌舞伎町、ゴールデン街をどこか彷彿とさせる(ゴールデン街のほうがもっとじっとりしているが)。
まさにそのゴールデン街で何度か飲んだことのある方から連絡が入り、エキニシで薦められた店がここ、日本酒Bar 丸である。
日本酒専門の立ち呑み屋とのこと。店に入るなり店主に「どんなの(が好き?)」と訊かれる。あー頼りになる、辛いのでお任せします!
そう、今日はビールばかり飲んでしまっていたが、広島は日本酒がおいしい。
銘醸地として知られる西条には多くの酒蔵があり、毎年酒まつりが開かれている。
常連客のひとりが近々池袋に行くそう(なんだかBL的なイベントがあるらしい)で店内は東京についての話題。5月まで東京にいたんです、と話に入り込むと、なんだか歓迎してくれた。
広島焼きと呼ばないで
最後にお好み焼きを食べたいな、と思い「不躾ながら…」とおすすめのお好み焼き屋を訊いてみたが、うーん、と明言は避けられる。「それぞれ地元の店の味が一番好きだからねぇ」とのこと。
そうそう、実はこのやり取り今日何度もあった。広島の人は本当にお好み焼きが好きで、普段からよく食べ、かつ「家の近くにある店のものが一番」というのだ。
そしてやっぱり「"広島焼き"と呼ばれるのはねぇ…」とのこと(編集部注:広島風お好み焼きについては対談編でも詳しく語られていますのでぜひ!)。
最後に”初心者コース”へ駆け込む
それでも「まあ、まずは初心者コースがいいよ。八昌とかみっちゃん、山ちゃんとか…」とのことで、旅の終わり、広島風お好み焼きの老舗「みっちゃん」に駆け込んだ。
広島に来てから何軒かお好み焼きを食べた。どの店も美味しいが、まだ「この店だ!」という店には出会えていない。
エキニシで会ったおじいさんが「これから”自分の地元”の店を作っていけばいいんだよ」と微笑んでいたことを思い出した。
※本記事取材後の2021年11月10日、エキニシの一角で火災が発生したとの報道がありました。怪我をされた方、被害に遭ったお店の方に心からお見舞い申し上げます。
広島の細いもやしの入ったお好み焼きについては対談編でも!