ディスカバー近所
近いからいつでも行けるし、と思っていた埼玉だけど、地元の人に勧められるがままに歩き回ってみるとほとんど何も知らなかったことに気づく。半日くらい休みを取って隣町をぶらぶらするのがいまおすすめの旅です。
盆栽の他にも、大宮にはけっして忘れてはいけないスポットがある。
大宮といえば鉄道博物館である。
ここのことはなんとなく噂で聞いて知っていた。ただ心配なのは、僕がさほど鉄道に執着がないという点だ。乗るのは好きだし、車内で本を読んだり原稿書いたりする、そういう時間は好きなのだけれど、電車本体にはさほどこだわりがなかった。
経由地である大宮駅は駅全体がショッピングモールみたいな華やかさだった。ここでいったん態勢を整えたいと思う。
大宮駅構内にあるカフェスペースのあるパン屋さんにはいって一押しという「クロワッサンBC」とカフェラテを注文。駅は経由地、くらいにしか思ってなかったけど、構内で休憩するとこんなに見え方が変わるのだ。ちょっとだけ本の続きを読んでメールをチェックしてお店を出た。
えーっと、僕は大宮になにをしに来たんだったか。そうだ鉄道博物館に行くんだ。
鉄道博物館に行くにはこれまたかっこいい乗り物に乗ることができるぞ。ニューシャトルである。
ニューシャトルは入ってくるときホームに銀河鉄道999の曲が流れる。大きくカーブして流れるように入ってくるニューシャトルは、さながら銀河鉄道のようである。
大宮駅から鉄道博物館まではニューシャトルで一駅、2分だ。それは乗る必要あるのか、と思うだろう。あるのだ。乗り物で行くと心の準備ができる前に目的地に到着するから着いた瞬間のインパクトが強い。
どういうことか説明しよう。駅を降りるとすぐにこの景色なのである。
ディズニーランドが夢の国なら鉄道博物館は本当にあった夢の国だろう。展示されているものはすべて実物や実際に使われていたものの模型である。
白くて光あふれるロビーから、一歩展示場内に入ると急に薄暗い。博物館でこのくらい暗いところは珍しいんじゃないか。
でもこの暗さが列車を最高にかっこよく見せていると思う。
「あっちにブルートレインあった!」と子どもが走っていった。
世代的にあの子はブルートレインを知らないはずなのだけれど、それでもブルートレインは僕らの頃と同じく魅力的な響きなのだろう。わかる。
列車には触れたり乗ったりすることができ、鉄道にはさほど興味のなかった僕ですらにやけてしまう。
僕が入場するときに後ろにいた子どもは、まっさきに左折して物販コーナーへ向かおうとするのをお母さんに止められていた。
鉄道博物館は窓際にテーブル席が設けられていて、休憩しながら本物の走る列車を車窓から眺めることができる。この日の取材はここで最後だったので、閉館ぎりぎりまでいた。
近いからいつでも行けるし、と思っていた埼玉だけど、地元の人に勧められるがままに歩き回ってみるとほとんど何も知らなかったことに気づく。半日くらい休みを取って隣町をぶらぶらするのがいまおすすめの旅です。
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