すかなごっそと三浦大根
海沿いの道は湘南海岸から三浦半島へと入っていくと雰囲気が変わる。ぐっと地に足が付いたというか、それこそ地元に根付いた雰囲気になるのだ。
通りかかった横須賀の物産館が聞いたことない名前だった。
しらべてみると「すかなごっそ」の「すか」は横須賀、「な」は菜、「ごっそ」はごちそうの意味らしい。つまり横須賀でとれた野菜やごちそうが売られている場所ですよ!ということ。
すかなごっそは平日の午前中なのに大好評だった。
このあたりは広大な畑が広がっていて、そこで育った野菜がそのまま「すかなごっそ」で売られているわけだ。そりゃあ新鮮じゃないわけがない。
三浦半島は三浦大根が有名なのだ。おかげでマラソン大会の参加賞が大根だったりする。
生きのいい野菜を見ていると、相手(野菜ね)からも見られているような気分になってちょっと怖い。スーパーだとそんなことないんだけど、こういう産直新鮮!みたいな野生むき出しの場所で売られている野菜って活きがよすぎるのだ。
すかなごっそに売られている野菜たちもみな生命力に溢れていて、うっかり手を伸ばすと取り込まれて栄養に変えられてしまいそうである。
野菜だけじゃない。「ごっそ(ごちそう)」の部分を拡大すると肉や魚も含まれる。
すかなごっそのレジのおかあさんにおすすめを聞いたところ「やっぱりマグロを食べるなら三崎まで行くわよね、どう?」「行くわ」「行くわね(おかあさん3人組)」とのことだった。
そこまで言われたら行くしかないだろう。自転車にまたがり三崎にむかった。
三崎港は海も空も真っ青
三崎、それはマグロの街である。
電車で行こうとすると三崎口という駅が最寄りなんだけど、最寄りと言っていいのか悩むくらい遠い。そこからバス。なので天気がいい日は本当に自転車が一番だと思う。自転車はおなかがすくので食べ歩きには最適なのだ。
平日昼間の三崎港は、真っ青でのんびりとした空気が流れていた。
おじさんになにをしているのかと尋ねると「釣りな!」とのことだった。まあ竿を持っていたので薄々そうじゃないかなとは思っていたのだけれど。
それにしてもこの水の透明度を見てほしい。魚を見ながら釣りができる。
これだけ水がきれいだと魚からもおじさんが見えているんじゃないか。おじさんがまったく釣れていなかったのもしようがない。
漁港にある商業施設「うらり」はマグロはもちろん、新鮮な魚介類や野菜なんかも買うことができる。
日によって入ってくる魚の量や品物が違うらしいのだけれど、ここにいる人たちはみんな威勢がいいので歩くだけで気分が充電できる。
うらりお祭り広場
そして特筆すべきは「うらり」の中にあるお祭り広場ではないだろうか。
うらりのお祭り広場は一見ただのゲーセンなのだけれど、よく見るとちょっと違う。
せっかくなので僕もマグロをひとつ、と思ってマグロキャッチャーをやってみたんだけど、2回やっても取れなかったのでふてくされて「うらり」を出た。
三崎港のマグロ屋さん
外に出ると目がいたいくらいに明るい陽射しの向こうにマグロ屋さんを見つけた。ふてくされを忘れて吸い込まれるように立ち寄る。
僕の格好を見て「自転車大丈夫?盗まれないところに置いた?」と心配してくれた。大丈夫です。お店の前に止めてロックもしましたから。
「うちの息子も自転車乗りなんだけど、高いのよねあれ、全部で100万くらいするって。はー、そんなの盗られちゃったらどうすんの!って出かけようとすると止めるのよ。おすすめ?おすすめは毎日ランチ!」
確かに100万円は気軽に出かけさせたくない金額である。僕の自転車は知り合いから安く譲ってもらったやつなので安心してランチをいただきます。
隣に居合わせたマダム3人組に、このあたりで見に行くならどこでしょう、ぼく自転車です、と聞いたところ、「城ケ島なら近いわよ」とのことだった。
他にもいろいろ教えてもらった。
・三崎のマグロは安いけど味は一級品よね
・アメリカで食べたマグロは水っぽかったわー
・待ってあれマグロじゃないのかもしれない、カジキ?
・漁協で買ったカレイの西京漬けが美味しくてもう一回食べたい
・芽キャベツはどうやって食べたらいいのかわからない
・非常事態宣言が出て、逆に地元のキャバクラが混み始めたらしいが理由は不明
徐々にどうでもいい話になっていくのがおもしろかった。
マダムたちに「車ですか?」と聞いたら「そうよ、日産の電気自動車」というのでリーフだと思ったら「プリウス!」と言っていた。これからすかなごっそ寄って帰るらしいです。
マダムたちに見送られ、僕はおすすめされた城ケ島へ。