家の近所なのに通ったことがない道があった
下の写真は僕の家の近所の道。個人的には見慣れた道だが、葛西(東京都江戸川区)に住んでる人もピンとくる人は少ないだろう。いつもはここで右に曲がって行きつけのスーパーに行く。
右に曲がって進んだとこにあるベルクス。毎度おなじみ過ぎて完全に日常のお店。
ベルクスに行ってしまうといつも通りになってしまうので、敢えて左に曲がってみることにした。こっちの道は通ったことがない。
近所の道って目的地別に使う道が決まっているだろう。このスーパーに行くときはこの道、駅に行くときはこの道など、決まった道しか使わない。
すると、家のすぐ近くなのに通ったことがない道というものが出てくるものだ。ウッカリすると、家の裏にある道だって通ったことがないかも知れない。
僕にとっては、近所なのに未知の道。それが下の写真。
知らん知らん知らんと思った?
「あんたの知らない道なんて知らん!知ってる道も知らん!」と思っただろう。僕も、他人がこんな事を言いだしたらそう思う。
もしかしたら中葛西に住んでる人は「ああ、ここ知ってる」とか「へー、こんな道があったんだ」と思うかも知れないけど、本当にごく一部だろう。まぁ、でも、うん、とりあえず気にせず進める。
つづき
さて、未知の道を進むと、路面に公園注意と書かれてた。公園なんてあったんだ?
当たり前だけど公園があった。
調べてみたら2015年に整備された公園だそうだ。6年前にはあったのか(現在は2021年です)。知らなかった。
トイレになるベンチや井戸などが整備されており、災害時に避難所として使われることを想定しているっぽい。
あおぞら公園を後にして進むと、また公園注意と書いてある。この道、公園ありすぎない?
さっきのおひさま公園から50mくらいしか離れてない、こちらは中葛西あおぞら公園。2016年に整備されたそうなので5年前だ。知らん公園が続くわぁ。
なおも知らん道が続く
公園を過ぎてもまだまだ知らない道が続く。なんで今まで移動経路に組み込まれずにいたのだろう。知らん道だなぁ。
横道にそれてみても、知らん道だ。未知だわぁ。
知らない道だと、居つく野良猫も見たことない個体だ。
小学校の裏側に出た。いや、こっちが正門なのか?
家から1kmも離れていないが、もうすっかり知らない街を歩く旅人の気分だ。
脇道に逸れていたが、元の知らない道に戻った。先のほうが曲がっている。進むと、
知ってる道に出た。あー、ここに出るのか。都道318号線、通称環七だ。旅から急に帰ってきた気分になった。
環七を渡ってみると、また知らない道があったので未知へ進む。
細めの車道に挟まれた変な公園があった。なんだこりゃ。
どうもここはかつて川だったらしく、1930年ころの航空写真を見たら道の形の川が流れていた。へー、だから変な形の道なのか。
進むと、かつての川の形で直角に曲がっていた。おもろ。
角を曲がったら、うっすら知ってる道に出た。回数は多くないが、たまに通る道だ。
知ってる道の先の知らない道
進むとよく知ってる道に出た。右に曲がるとアリオ(イトーヨーカドー)とかホームズ(ホームセンター)がある通りだ。左に曲がると、銚子丸という回転寿司がある。
正面の知らない道を進むと、当然知らない光景が広がっていた。
未知の向こう側に見える馴染みの建物。この感じ、なんだろう。
遠くの山に登って見えるスカイツリーみたいなものだろうか。あるいは、そんなに親しくないクラスメートと隣町の塾とかで会ったら異常に親しみを感じみたいな感じ?違うか。
進むと知らない交差点。
交差点の名前は、雷(いかずち)であった。かっけー。
今僕は、葛西の街を東に進んでいる。葛西は西を荒川、東を旧江戸川に挟まれているので、東に進めばいつか江戸川にぶつかる。
旧江戸川の堤防が見えてきた。
曲がると、また『知らない』がまっすぐ伸びていた。やったー!知らない!
知らない先にあったのは雷公園。こんな名前の公園があったなんてぜんぜん知らなかった。
平日の夕方、雷公園では親子連れが数組遊んでいた。
公園を後にして、知らない道を進んでいく。
進むと、仮称堀江橋計画のための用地に出た
知ってる場所だ。
清砂大橋通りの東端と、対岸にある浦安の堀江(以前住んでた)を繋ぐ仮称堀江橋を作るための空き地だ。計画だけ何十年もあるが一向に橋が出来ない。
知ってるところに出たら旅が終わってしまうので、知らないに戻ろう。知らない奥の細い道へ。
知らない道に入ったら、街路樹にサイドミラーが付いていた。この地域土着のまじないだろうか。
ワンコイン、100円~という自販機があったので覗いてみた。
自販機にはなぜか、猫が飾られていた。招き猫だろうか。こんなの初めて見たが、この辺の風習だろうか(違うだろなぁ)。
知らない道の先を見ると、高架が見えてきた。たぶん、アレは知ってる高架だ。
高架は、地下鉄東西線の高架だった。地下鉄なのに高架?そう、地下鉄なのに高架。地下鉄東西線は、南砂町より東側では地上を走っているのだ(だから嵐が来るとよく止まる)。
なおも進むと知ってる陸橋が見えてきた。
葛西から浦安に行く時に使う浦安橋の入り口だ。妙見島という中洲島の上を通る。
知ってるのは橋の入口だけで、視線を北に向ければまた知らない。この先には行ったことがないのだ。
進むと、本場長崎チャンポンと書かれた中華料理屋さんがあったが閉まっていた。
黒猫と遭遇
脇の路地には黒猫がいて、近づいても逃げなかった。
近づくと歩きだして、尻尾が2本あるような写真が撮れた。猫又に違いない。
猫又氏に別れを告げ、そろそろ帰るかと知らない細い路地を進んでみた。
お寺の裏の知らない路地を進む。墓地には卒塔婆が立っており、暗いとちょっと怖いかも知れない。
路地を抜けると銚子丸という回転寿司の横に出た。ここは何度か来たことがあり知っている。ボチボチ知らない道を旅するのも疲れたから帰ろうか。
最後に寄りたい場所がある
旅の最後に寄っておきたいところがある。僕は旅行すると必ず寄る場所があるのだ。
知ってる交差点の一角にある知らないお店。存在は知ってたけど入ったことがない。
はじめてのオリンピック南葛西店
スーパーのオリンピックだ。かつてここにはフジマート南葛西店があった。フジマートにも入ったことがなかったが、いつの間にか(2021/03/03)オリンピックになっていた。
旅の醍醐味と言えば、その土地のスーパーに行って、その土地の人たちが普段食べている、でも自分が知らないものを買うことだ。知らない土地の知らないスーパーには、知らない商品が溢れていて楽しい。
と思っていたけど、地元の知らないスーパーでも知らない商品はたくさん売られていた。青い鳥はすぐ近くにいた?
ワカモレの素とか、ナチョチーズソースなどを買った。見慣れないのでつい買ってしまったが、普通のスーパーでも売ってるかも。
潰したアボカドを混ぜるだけで超絶うまいワカモレになった。知らない商品を買うのは楽しい。
伊勢名物の『お福餅』も甘くて餅が柔らかくておいしかった。餅をもちもち食べていると、なんだか伊勢に行ったような気もしてくる。
更におやきを食べたら気分は信州、長野県。
チャンポンも食べてきた
地元の葛西をウロウロしていただけなのにメキシコ気分からのお伊勢参り気分を味わい、信州にも行った(気のせい)後日、あの日は閉まっていたお店に行ってチャンポンを食べてきた。
初めての入店、注文はチャンポン。600円。
天井近くに据えられたテレビからはワイドショーの声が聞こえ、店のおじさんとおばさんは忙しく働き、常連さんがいつものチャーハンを食べているなか、初めての店で一人熱々のチャンポンを食べていると、漂う『よそんち感』。
旅だわ、これ。
ぶっつけで知らないところに行けば、それすなわち、旅
移動した距離ではなく、出会ったものが未知かどうかで旅になる。
旅とは、未知を味わう遊びだ。知らない場所に行って知らない景色を見て、知らないものを食べ、知らない人と会話する。同じ場所でも天気や季節、出会う人が違えばまた別の旅になる。
よく知ってるはずの地元でも、知らない道を進んで、レビューサイトなんて見ずに知らない店に入れば旅だ。薄っすらしか知らない隣町(葛西なら南砂町とか)なら、もっと旅だ。
やれやれ、世界はなんて広いんだ、永遠に旅じゃないか。
なんだ、この締め?