いきなり最大のヤマ場
浮かれてばかりもいられません。実はレクチャーのとき、気になることをMさんがおっしゃった。
「乙幡さんにも、ぜひタンクの上にのぼってもらって…」
そのときはハァそうですな、そういうこともありましょうなと聞いていたが、今、引率の皆さんのあとをついていくに従い、こりゃえらいことになった…と現実感が襲ってきた。
「気をつけてください、これは膝が笑いますよー!わはは」とMさん。
あの階段です。皆さん、あの外階段です。こんなに大きい建造物にも容赦なく取り付けてある、むき出しの無骨な業務用外階段。ここを、私に、のぼれと。
外から見る分には「あの階段、のぼってみたいなー」などと無責任に言っていられたのが、今、ここに本当にその機会が、めぐってきちゃった。
テレビで芸能人が、ジャングルや洞窟の危険箇所にイヤイヤ言いながら入っていくのを見ては「大変だなあ、でもこれやんないと仕事にゃあ、ならないんだよなあ」と鼻で笑っていたら、自分の番が回ってきた。これやんないと、取材にゃあ、ならないんだよな。
この踏み板が、これまたドット穴があいていて非常に怖いのである。運動の不得意だった子供の頃、ちょっとした山登り遠足でも生きた心地がしなかった、その気分を思い出した。あわわわ、あわわわ、言いながら、そしてけっこうな段数にヒーヒー言いながら上っていく。
しかしその先には、それに報いるだけの景色が広がっていたのです。大人でよかった!

