デジタルリマスター 2022年11月5日

町中の汁に麺をひたして食べる(デジタルリマスター)

つけ麺、うまい。

つけ汁のあの ザ・うまい汁ぶりはなんだろう。そのうまい汁に麺がダイレクトにからむ。うまい汁と炭水化物。うなずかずにはいられない。

で、思ったのだ。つけ麺のつけ汁以外にも、世の中にはたくさんのうまい汁がある。そんな汁に麺をひたせないかと。

うまい汁を求め旅に出た。そして、思わぬ懐かしさと出会うことになった。

2007年2月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:おめでとう生誕100周年!ハリボーの記念くまグミは6種のケーキ味

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

旅の準備を整える

世の中のうまい汁をひたすら麺にからませたい。

それが今回のたくらみだ。汁を買っては麺をつけて食べる。その実現にはいろいろとクリアしなければならないポイントがあるかと思う。

ポイント1:汁が冷めないうちに食べなければならない
ポイント2:店内で持参の麺を取り出すことははばかられる

これらを解決するため、今回用意したのがこの2点だ。

・つける麺
・画板

麺は当然、汁をつけて食べるための麺。特にこだわらず、普通に売っている中華麺を事前に茹でて用意した。

01_photos_v2_x2.jpg
麺は家庭用に販売されているなま麺を用意した。とはいえ、つけ麺専用。家庭にもつけ麺の波が押し寄せているようだ
02_photos_v2_x2.jpg
茹でて水でしめ、お弁当箱(というか、タッパーですな)に入れて麺は準備完了

そして画板。

汁を熱い状態で食べるにはできるだけ購入直後に食べたい。画板は即席テーブルというわけだ。これでどんな場所でも食べられる。

style_photos_v2_x2.jpg
スタイルはこんな感じ
style02_photos_v2_x2.jpg
ここにうまい汁が乗るわけです

最初のターゲットは、スープ専門店

旅の準備は整った。どっからでもかかってこいうまい汁。

勇んで最初に飛び込んだのは、汁の桃源郷として知られるスープストックトーキョーだ。

03_photos_v2_x2.jpg
お昼時で混みあう。スープだけすっと買って出よう
04_photos_v2_x2.jpg
具がいっぱい入っているスープがぞろぞろ並ぶ

いざ、つけ麺

お昼時とあって店内は混雑しており、テイクアウト・イートインともに大繁盛だった。

6種類あったスープの中から、具よりも液体で勝負をしている風情の「オマール海老とわたり蟹のスープ」をオーダー。セットメニューにするとパンかご飯がつくらしく、店員さんにそう聞かれた。

「パンかご飯とドリンクが付くセットメニューもございますが」
「いえ、麺を持ってますので」

頭の中ではキッパリ答え、けれど口では「あ、単品で大丈夫です」とごにょごにょ言って受け取った。

ささ、早速麺をつけてみよう!

shiru_01_photos_v2_x2.jpg
海老と蟹のエキスがつまっている汁!
05_photos_v2_x2.jpg
よしゃー

……。

撮影から戻って、いま写真を整理している。右上の写真の顔があんまりこわばっているので正直うろたえた。

そうなのだ。スープが冷めないうちに早く食べよう! と画板と麺を道端で取り出し準備したのだが、人通りのやや多い場所で、風も強かったためどうにも食べ出せなかったのである。1人だったため写真は3脚を立てて撮影したのだが、こんな顔をしていたとは。

こちらの話ですみません。つけ汁めぐりをしているからにはこういうこともあるのだということがしょっぱなから分かった。いくらスープは熱々でも、落ち着いて食べることを人は本能で優先するのだ。

いったん広告です

次の汁どころへ

次に行こうと思っているネオ屋台村に落ち着いて食べられるスペースがある。蟹と海老の汁もそこまでおあずけにしよう。

06_photos_v2_x2.jpg
エスニック系の屋台がたくさん集まっているネオ屋台村へ
07_photos_v2_x2.jpg
お目当てはタイ風の料理をそろえる「アジアンランチ」さん

ネオ屋台村は、7台前後のバンの屋台が並ぶランチどきだけの商店街。エスニック系の屋台がならぶ。

辛さを武器に汁業界で幅をきかすエスニック。汁がお好きな方にとってもその存在はいまや無視できないところだと思う。

さて、そんな屋台のひとつ、「アジアンランチ」ではごはんに惣菜3品をトッピングするお弁当がレギュラーメニューだが「ご飯は自分で持ってくるという方のために」おかずだけの購入も可能だ。

当然、麺は自分で持ってくる私にもぴったりだ。わーい、うまい汁、ください。

shiru_02_photos_v2_x2.jpg
惣菜とは別に冬季限定でトムヤムスープがあったのでゲット
shiru_03_photos_v2_x2.jpg
惣菜からは最も汁っ気の多かったキーマカレーを

では、先ほどのように画板と麺を用意して、いざ。

08_photos_v2_x2.jpg
あれ

ここで新たなトラブルが。

ゆでて持参した麺がくっついてしまうことはある程度予想していたのだが、予想を上回って麺がほぐれないのだ。

困ったなあ、無理に分割して汁の中でほぐすか。あれ、この感覚、どこかで覚えがあるぞ。

09_photos_v2_x2.jpg
この強固にほぐれない麺には身に覚えが・・・

ソフト麺じゃん

そうだ、これ給食のソフト麺だ!

麺と麺がくっついて、食べるときにどうしても短くぷちぷち切れてしまう麺。それをまったりした汁につけるって、ソフト麺そのものではないか。

しかも私の通っていた小学校の給食には うどんと中華麺の2種類のソフト麺があった。私は圧倒的に中華麺が好きだったっけ。

懐かしがりながら麺を強引にちぎって汁に投入した。

※給食体験上ソフト麺に馴染みのない方も多いかと思います。以後ソフト麺についての記述が増え恐縮ですが、感極まってのこととどうぞ見逃してください。(検索:ソフト麺

 

スープストックトーキョー
オマール海老とわたり蟹のスープ 610円

shiru_01on_photos_v2_x2.jpg

こってり、もったり汁が麺にからみつく。海老なのか蟹なのか、出汁の感じがすごい。ふかく濃い味。美味しい。とことん美味しい。

そうして、麺だ。食べてまた驚いた。味が完全に「味噌ラーメン」のときに出てきた中華風ソフト麺そのものだったのだ。

もそもそしたやや冷たい麺とあたたかい汁が懐かしくマッチする。懐かしい。

 

アジアンランチ
トムヤムクンスープ 200円

shiru_02on_photos_v2_x2.jpg

トムヤムクンスープは好きでよく食べる(飲む)。ここのスープは甘みの強いタイプだった。その甘い汁がぽそっとした麺にからむ。トムヤムクンラーメンというと、米麺が普通だが、なんだ、中華麺でもいいのか。

 

アジアンランチ
キーマカレー 250円

shiru_03on_photos_v2_x2.jpg

だめだ、どうしても感想がソフト麺よりになってしまう。この見た目はミートソース+ソフト麺という、私の経験した定番給食メニューにそっくりなのだ。

味は当然キーマカレーでミートソースとは違うのだが、見た目にうっとしりた。

ごろごろ入っているジャガイモが美味しい。ちぎれた麺がひき肉と一体になる。美味しい。

いったん広告です

つけ汁の旅イコール ソフト麺追体験?

なんだかすっかりソフト麺を回顧するばかりになってしまった。私は大満足で、きっと給食時代にソフト麺を食べていた方にもこの味はたまらないと思う。胸を張っておすすめしたい。

じゃあ、ソフト麺を食べたことがない人にとってはどうだろう。もしかして、そんなに美味しく感じないだろうか。

10_photos_v2_x2.jpg
この、麺がこってりした汁にしずむ様子はまさにソフト麺

うーん、どうしよう。

そうだ、汁をもっともっと高級にすれば、ソフト麺ぽさもなくなるのではないか。海老と蟹のスープも高級感はあったが見た目が給食のスープみたいなのがいけなかった。

見た目も味も高級な汁につけてみよう!

つけ汁の旅、強引に続けます。

11_photos_v2_x2.jpg
麺は全部食べちゃったので、ここからは替え玉で

デパ地下の高級汁

そういうことなら行くべきはやはり高級惣菜のるつぼ、デパ地下だろう。たまに惣菜を買おうとしてその値段に驚くデパ地下。

サラダ100gでえらい値段する。あまり汁を売っているイメージはないが、探してみたらありました。

12_photos_v2_x2.jpg
そびえる松屋 銀座
13_photos_v2_x2.jpg
銀座アスターのデリカショップでふかひれのスープを発見!
いったん広告です

ふかひれつけ麺

ふかひれスープ、1人前840円。ケース越しに見たところ、その量は確かにきっかり1人前という感じ。多くも少なくもない。840円は十分高級といえるだろう。震える声で1人前買った。

たまに中華料理店のランチに他のメニューに比べてワンランク値段の高いふかひれラーメンなんてのを見るが、あんな風になるのだろうか。

気仙沼の小学校でフカヒレがメニューに出たと最近話題になっていたが、せめてソフト麺感は消えて欲しい。

期待と不安が交錯する。せっかくのふかひれスープだ、人目をはばからず買ったらすぐに食べよう。決意して店頭で画板に乗せてみたが、様子がおかしい。そう、冷蔵されており冷たかったのだった。

15_photos_v2_x2.jpg
スープ冷たいよ…

50円の汁と食べ比べ

仕方がない、急いで会社に戻り、レンジにかけて食べることにした。ついでだ、紙コップ自販機で売っている50円のスープと比てみようじゃないか。

shiru_04_photos_v2_x2.jpg
レンジで2分半、ふかひれの繊維がしっかりと見て取れる
shiru_05_photos_v2_x2.jpg
こちら、紙コップ自販機のオニオンスープ
16_photos_v2_x2.jpg
どうよ(ふかひれスープで食べ中)
17_photos_v2_x2.jpg
どうなのよ(オニオンスープで食べ中)

 

銀座アスター デリカショップ
ふかひれのスープ 840円

shiru_04on_photos_v2_x2.jpg

! 汁のとろみのせいか、麺に弾力が出た気がする。

ふかひれの旨みがえらく深い。これは、あれだ。高い味だ。ちぢれ麺がよく合っている。明らかにソフト麺ではない。麺の力をも引き出すってすごいが、思い込んでいるだけかもしれない。何にせよ美味しい。

 

ユニマットの紙コップ自販機
ホットdeオニオン 50円

shiru_05on_photos_v2_x2.jpg

ポテトチップのコンソメ味をそのまんま汁にしたような愛すべきこのスープ。麺をしずめたらすっかり駄菓子になった。

これ、学校帰りの駄菓子やで売ったら絶対ヒットだ。こちらはこちらで美味しい。

そういえば、なぜかこれもソフト麺っぽさがない。汁が学校給食にはないケミカル風味だからかもしれない。

 

意外にも、今度はどちらにもソフト麺を感じなかった。「給食には出得ない」味、見た目だったことがポイントのようだ。

いったん広告です

みそ汁はどうだ

こうなったら、あの汁にも手を出さなければ。みそ汁だ。

みそ汁=自宅で食べるイメージ。きっとまたソフト麺とは別の味わいをかもしてくれるはずだ。

19_photos_v2_x2.jpg
そうと決まったからには、ほっかほか亭へ
20_photos_v2_x2.jpg
そう、とん汁です

最も身近な汁、とん汁

汁オブ汁、とん汁。思い切ってそういいたい。みそ汁界においても、頭一つ抜けている汁でもある。

高校時代、選挙の手伝いのアルバイトをしたことがある。炊き出しの希望のメニューを聞かれ、バイト勢は「カレー」「おでん」等を提案したのだが、結局とん汁におさまっていた。

大量に作りやすくて美味しくて温まる。汁の原点だと勝手に思う。

shiru_06_photos_v2_x2.jpg
そんなとん汁
21_photos_v2_x2.jpg
どうでしょう

 

ほっかほか亭(東日本)
手作りとん汁 150円

shiru_06on_photos_v2_x2.jpg

とん汁がすごいのか中華麺がすごいのか私には判断がつかないが、バシッと合った。

食べつけている汁だけに、そこに中華麺をひたす新鮮さがある。やはりソフト麺ぽさも多少は感じるが、その新鮮な美味しさが勝った。


麺だけを持参し、スープを買って一緒に食べる。日本にはこんな習慣があります。

って、どうだろう。汁に麺、本当におすすめしたいほど、全汁が中華麺にびったんこだった。汁はいい。麺をつけるにあたっては、「これは合わないな」と思う汁が お汁粉ぐらいしか思いつかないというよりどりみどりの状況だ。

難をいえばテイクアウトできる汁が意外に少ないことだろうか。

うちの近所にこんなスープを出す(テイクアウトできる)店がある。
この汁は麺に絶対合う。

そんな情報をさすらいのつけ麺の旅人はお待ちしています。ぜひお寄せください、とお願いするぐらい、また旅立ちたい気まんまんです。

よろしければ、本当におよせください。
海外でも万が一のことがあれば行くかもしれません!

matome_photos_v2_x2.jpg
汁は、看板でも美味しそうだ
▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ