特集 2024年2月6日

背徳感レシピで作る罪100%グラタン

高カロリーの食事について「罪悪感」や「背徳感」などと形容することが増えた。

食い逃げとか本当の罪ではなく、「罪の味」というものがあるようだ。

「罪の味」とはいったい何なのだろう。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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罪レシピに登場する単語が罪の材料

背徳感メニューに頻出の材料が罪の元である。

このような仮説を立てて、インターネットで「背徳感」がついているメニューの材料を調べ、そこに登場する単語をカウントした。
(「罪悪感」だと「罪悪感ゼロ」「罪悪感なし」と否定されているメニューしかないため、「背徳感」で調べた)

罪メニューに頻出の単語はこのようになった。

順位 材料 回数
1 チーズ 69
2 ごはん 64(飯含む)
3 バター 61
4 パン 54(トースト含む)
5 豚肉 46(豚肉・豚バラ・バラ肉・肉含む)
6 44(生卵・溶き卵・卵黄・全卵含む)
7 37
8 34(オイル含む)
9 マヨネーズ 31
10 ニンニク 33
11 ポテト 23
12 クリーム 21
13 21
14 醤油 18
15 明太 16
17 ごま 15
17 パスタ 15
19 砂糖 14
20 ソース 13
20 ベーコン 13

(タイトルに「背徳感」があるレシピ107から抽出)

罪の正体が見えた。人はこれらの材料を使った料理を食べると罪を感じるのだ。神7ならぬ罪20だ。

そして、これらすべてを使った料理があれば、完全犯罪・罪100%メニューである。しょうゆ味、塩味に続く味つけだ「罪味」。

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料理はべつやくさんに依頼した

チーズとごはんとバターとパンと豚肉を使ったメニュー………。

料理勘がないのでよく分からない。トーストとおにぎりでチーズと豚肉を挟めばいいかな。それは罪悪感のシズル感があまりないな…。

そこで罪味メニューが得意なべつやくさんに相談すると、グラタンがいいのではないかとのこと。作るのもお願いした。

材料。パンは罪悪感が増すように高カロリーのクロワッサンにしたとのこと。重罪!
材料
・豚バラ
・ごはん
・にんにく
・バター
・フライドポテト
・クロワッサン
・めんたいこ
・チーズ
・マヨネーズ
・温泉卵
・ごま油
・塩こしょう(味つけ用)

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 罪100%グラタン

そうしてできがったのがこの罪100%グラタン
仕上げにごま油をかける

バターとチーズを使ったものに油をかける。本当にアメリカのどこかの州で禁止されていないだろうか。

上にのった卵をつぶす
スプーンですくうと中から豚バラが出てくる。その周りには小さく明太子がついている。ベースはごはんとちぎったクロワッサン。主食&主食

誰だこんなバカな料理を作ったのは。

僕だ。しかも人にお願いして作ってもらったものだ。

これは、おかずだ!

文句なくうまい。カーチェイスから始まるハリウッド映画みたいに分かりやすい。全体に味が濃いなか、さらに味が濃いところ(チーズ)が現れて笑ってしまう。
山頭火の「分け入つても分け入つても青い山」の真逆の世界だ。

確かにこれは罪だ。
美味しいもの=罪悪感という認識に疑問を感じていたが、罪悪感はあった。

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罪を認める記事になった

美味しい → 罪、の比喩が広まっているところを見ると、贅沢に対する後ろめたさは誰もが共感できるもののようだ。
僕らには直接体験せずとも飢えの記憶が残っているのかもしれない。
(そもそも日本で人が飢えなくなってからまだ100年もたってない)

そんな記憶が活性化する体験だった。活性化しすぎて飢饉の本を読み始めてしまった。

罪を感じてみたい人に勧めたいメニューである。

読んだ

飢饉 ―飢えと食の日本史 (集英社新書)

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