特集 2019年10月17日

漢字ができた時の会議を想像してみる

最近、友人と「森を最初に思いついた人はほめられたはずだ」という話になった。

もともと「木」という字があったのだろう。それを2つ重ねて「林」を思いついただけでもすごい。さらに3つにして「森」にしたのだ。非の打ち所がない。現場は相当盛り上がったことだろう。

実際に会議で決まったかはわからないが「ある漢字ができた時の会議」を妄想したら楽しいのではないか。クイズ形式にして遊んでみました。

1990年沖縄生まれ。営業日のお昼休みに(ほぼ)毎日更新する「今日の休憩」というブログを運営しています。

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やり方

今日は漢字ができた時の会議を妄想してみようという会である。流れとしては

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①まず漢字を見て
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②どういう会話から決定したのか予想します。森なら「木がいっぱいだから、木が三つで森と表現できるのでは!?」といった具合です。
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③そのあとに実際の成り立ちを確認します。森は本当に木が三つで森という成り立ちでした。すごい。

というような流れで予想し、会議を妄想し、答えあわせをしていきます。

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友達の山宮さん(左)と郡司さん(右)を「カラオケとご飯をおごるから」と呼び出し付き合ってもらう。「漢字の会議?」「たしかに最初どうやって決めたんだろう」とまだ掴めていないようです。
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漢字ができた時の会議妄想①「気」

最初の漢字は

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「気」です。この漢字を決めた会議があったとしたら、どういう会話がなされたか考えていきます。
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「空気とか天気とか気力とか、基本見えないものに使われるイメージある」「エネルギー感あるよね」「あるある」
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郡司「わかった!!下のバッテンはおへそを表している!」
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郡司「"気力"はおへそから湧いてくる。からおへそを中心に置いて、周りは体や頭を表現して。最後のはらいは足。ちょっとかわいくしようって考えたんだ!」

「嘘だ」「体をこんなに怖く改造するやつは漢字決定会議に選抜されない」と否定が飛び交う。「気」の由来が本当にこんな人体改造のような発想だったら、今後使うときになやんでしまう。

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よざ「やばいわかった。上の部分は『風』を表してるんじゃないか」
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よざ「風の流れをこうあらわしてるんですよ。気って見えないものだから、風で表現しようってなったんだ」山宮「それだ!……はっもしかして下は火じゃない?」
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よざ「うわーーっ絶対そうだ!」山宮「自然のエネルギーを可視化しようってなって『気』になったんだ」郡司「一画目の左はらい、なくない?」山宮「それは誰かセンスあるやつが最後にバランス取るためにつけた」

最後はねじふせたが、だいぶそれっぽい予想がたってきた。

きっと昔の会議では「自然現象ではないが、何かエネルギーを感じる何かを表現したい!」「じゃあ目の前に広がる風や火から文字を作ろう!」と話したのだ。なんて素敵な会議だろう。入りたい!

「気」の成り立ちを見る

漢字が会議で決まったのかどうかもすべて妄想だが、いったん決まったところで正解を見ていく。

「気」の成り立ちの正解は

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これです。上は湧き上がる雲、下は穀物だった!
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「うわーーーー穀物かーーーー」「風じゃなくて雲ねなるほど」「穀物の発想なかったね、周囲に穀物がないから……」

「雲の下に広がる穀物説」「お米から立ち上る湯気説」など調べて見ると諸説でてくるが、予想はどちらもはずれた。悔しい。

でも蒸気などを表現しようとして「お米から湯気でてる様子を文字にしよ!」と言った人がいたかもしれないということだ。かわいすぎる。私もその会議に出たいという思いがつのってくる。

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漢字ができた時の会議妄想②「夢」

次に予想する漢字は

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「夢」である。めちゃくちゃパーツ多い。でもこれを決めた人が過去に確かにいるのだ。

「くさかんむりあるな」「ちょっと検討もつかない……」 

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郡司「わっっっかった!!!!!!!」山宮「早いな」
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郡司「布団を引いて寝てる人と枕だよ!原っぱなのかな?」よざ「寝てて夢を見てるって図なんだ」山宮「さすがにこのTHE 枕、昔になくない?あったのかな?」
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山宮「真ん中はやっぱ目じゃないかな?」郡司「じゃあ草枕で寝てるのか」よざ「やっぱ囲いは布団としか思いつかないし、中は人間の部位としか……」

寝るときに見るもの、という発想から枕、目、布団などから離れられない。漢字ができたときもそうだったのだろうか……。

「夢」の成り立ちを見る

では正解をみていきます。

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「草」「目」まではあってる!しかし下の部分は「月」だった。
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「うっっわ月!?月なのか…」「こんなのわかるわけない 会議どうなってんだ」「丸書いて変形させていったのかな」

下の部分は「夕方を覆う」などこちらも諸説あるが、布団のふの字も出てこない。足とか体とか言ってたのも恥ずかしい。このセンスでは漢字決定会議には出られない。

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漢字ができた時の会議妄想③「鬱」

2つとも惜しかったがなかなか正解がでない。でもせっかくなので最後は大ボスに挑戦してみる。

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「鬱」である。もうごちゃごちゃしてて大変だ。
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「きっと意味はあるんだろうな全部」「後半にできた漢字だからいっぱい組み合わさってるとか?」「それはありそう」「鬱屈するとか、沈んでいく感じだもんね」
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よざ「わかった。上は孤独な人が森で悩んでいる様子。下は精神世界をあらわしていて、壊れそうな心やナイフや傷だ」山宮「そんなに追い込まれてる字なのこれ?」

もし会議があったら会話としては「つらいときに使う字だから、下はつらいこと詰め合わせにしようぜ!じゃない?」と発案した人がいたということだ。その後、つらいことをみんなで出し合ったりしたのだろう。

「鬱」の成り立ちを見る

では最後、正解を見ていきます。

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「大地を覆う木」「酒などを入れる容器」「きれいな髪」……。
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「これ決めた人本当に何考えてたのかな」「どういうこと?」パニックである。

調べてみたら鬱という字には「気分が下がる」という方向ではなく「盛んなさま」「しげる」などの意味があるらしい。そこから立ち込めるよい香り、香りがふさがっているさまなどに由来するそうだ。聞いてももうわからない。

もう宇宙だ。漢字は宇宙。「鬱」を決める会議が本当にあったなら、5日以上かかっただろう。かなりもめたはずである。

ただ「さじ」が「ヒ」の形で伝わっていたり、髪は「彡」で表したんだな、などわかるところも多い。

「髪の部首きまったとき嬉しかっただろうな〜」と盛り上がった。

 

「文字もつくった人がいる」と思いつつ見るとたのしい

この会をしてから、いま目に見えてるものはだいたい作った人がいるんだなという気持ちになった。もう文字を打つたびにこの字もだれかに作られたのか!という気分になる。

実際はだれかではなく、徐々にだと思うが、徐々に文字ができてきたこともすごいしおもしろいしちょっと怖い。文字ができている過程に生きてた人はどんな気分だったのだろうか。

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だいたい物の形を崩せばいい、と学んで作った新漢字「リュック」 次は新しい漢字の会もやりたい。

 

 

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