目の前にシャバーニが!
僕の目の前にシャバーニがいる。その距離2メートルほどである。
今日一番の至近距離での遭遇。僕がカメラを構えるとシャバーニもこちらを見てくれた。
シャバーニ、圧倒的な存在感である。
目が合った瞬間に電流が走る、というのは思春期特有の病ではなかった。シャバーニと目が合った瞬間、カメラ越しなのが申し訳なく感じ、思わずファインダーから視線をずらしたほどである。
ゴリラたちは行動も人間に近いのだけれど、なによりその表情とか目線に完全に僕たちと同じ感情が感じられるのだ。
ゴリラはかっこいい
確かにシャバーニはかっこよかった。
群れのボスとしての威厳ある立ち居振る舞いもだが、表情や目線を含めた動作のどれをとってもサマになっている。まるでふだんはスクリーンの向こうにいるスターを生で見ているかのようだ。
いま僕はシャバーニのブランケットをはおってこの原稿を書いているのだけど、正直写真を見ながらまた照れちゃっている。なんなのかこの感情は。
ゴリラ撮影のコツ
今回、僕はゴリラだけで600枚以上の写真を撮っていた。それだけ撮ってわかった、ゴリラを撮るときのコツをいくつかまとめておこうと思う。
・露出補正をマイナスに
ゴリラは黒いので、普通に撮ると明るく写りすぎてしまう。カメラが人の顔を暗くしないよう勝手に気を利かせてくれるのだ。しかしそれではゴリラ本来のかっこよさは表現できないので、ぜひマイナス側に一段くらい補正して撮ってみてほしい。
・慣れるまではシャッタースピード優先で
ゴリラはあまりじっとしていないので、普通に撮ると被写体ブレしてしまう。それではかっこよくない。ゴリラが室内にいる場合はISO感度を高めに設定して、シャッタースピードを最低でも1/100以上で撮ることをおすすめする。ゴリラが驚くのでもちろんフラッシュ撮影は厳禁だ。
・謙虚な気持ちで目線をもらう
ゴリラは確実に人のことを見ている。ゴリラが不快に思ったりストレスを感じないよう、撮らせてもらってもいいですか、という謙虚な気持ちで撮影に臨んでほしい。その気持ちが伝わると、ちゃんと目線をくれるはず。
あとは焦らず、じっくりと時間をかけてゴリラと対峙してみてほしい。相手を好きになればなるほどいい写真が撮れる、というのはモデルさんのポートレートを撮るときに先輩から教えられたことだけれど、ゴリラを撮るときも同じだなと思った。
再びブランケットに包まれてみて
実際にシャバーニに会いに行ったあとでこうしてブランケットに包まれていると、行く前とは印象がまったく変わっていることに気づく。
なんだかシャバーニの存在をすごく近くに感じるのだ。実際にモデルはシャバーニだし、ブランケットでしっかりと抱きしめられているので当たり前なのかもしれないが、見た目以上の存在感がそこにはある。
このブランケットを買った人は、ぜひシャバーニに会いに行ってもらいたい。シャバーニに会った後にブランケットで包まれると、ものすごく安らぎますから。
実は再訪でした
実はこの取材は夏にも一度訪れているのだ。しかしながら、その時はネネさんの体調が思わしくなく、それに影響されてゴリラたちの間に不安が広がり、僕たちはゴリラたちに会えない状態だった。
それから約一ヶ月ほど、毎日のように東山動植物園のブログを見に行き、ゴリラたちの体調を心配して過ごした。
ゴリラは知的でデリケートな生き物なのだ。一頭が体調を崩すと家族みんなが心配して不安になる。
そのあとゴリラたちは少しずつ調子を取り戻し、観覧が再開された。そういう経緯もあり、僕たちは今回、かっこいいシャバーニに会えてうれしかったのだが、会えない期間にゴリラについて学んでおいたことが、感動をより大きくしたと思う。
みなさんもぜひ、単に「かっこいい!」と騒ぐだけでなく、これをきっかけに、ゴリラについて興味を持って学んでもらうといいと思う。これはどの動物についてもそうなんだけど、しっかり勉強してから会いに行くと、見え方ががらりと変わっておもしろいです。