石井さんが選ぶ、冬場に片手袋と出会いたいなら注目すべき場所 ベスト3
――石井さんと言えば片手袋ですが、改めてご説明をお願いします。
石井:はい。まちのいたる所で見かける片方だけの手袋。私はそれを「片手袋」と名付け、18年以上研究し続けてきました。片手袋という物体そのものに対するフェティッシュも当然あるのですが、片手袋をよく観察すると、その背後に人間の生活や都市の変化が見えてくることも大きな魅力です。
そんな片手袋の魅力を知ってもらうためにはまず何より、誰でも片手袋と遭遇して観察できる機会をもっと増やさなければなりません。そこで数も種類も豊富になる寒い季節、容易に片手袋を発見できる場所を挙げてみました。
――今回「冬場に片手袋と出会いたいなら」というテーマですが、夏と冬で傾向が異なりますか?
石井:そうですね。まず、手袋には大きく分けて「放置型」と「介入型」の2種類が存在しています。
石井:放置型は誰かが落として、そのまま道端などに放置されている片手袋。皆さんも一度は見たことがあると思います。しかし、今回ご紹介するのはいずれも介入型です。これは落ちている片手袋を拾った人が、落とし主が見つけやすいよう目立つ場所に移動してあげたタイプ。
「拾ってあげたい」と思うくらいですから、軍手やゴム手袋とかより毛糸や革の手袋などが圧倒的に多い。つまり寒い時期特有の片手袋なので、今回はこちらから選んでみました。
――なるほど、たのしみです。よろしくおねがいします!
【第3位】
ファニーな見た目の楽しいやつ!三角コーン系片手袋
――かわいいですね。
石井:これは片手袋を拾った人が三角コーンに被せたタイプです。三角コーンを使うような場所、かつ人通りが多い場所であれば遭遇する確率は高まりますね。
――ここにかぶせたくなる気持ちはなんとなくわかります。
石井:片手袋を拾い上げて置く人側からしてみると、三角コーンはスポッと納まりが良くて心地良い場所と思うんです。指も綺麗に伸びるし。落とされた手袋なんですけどなんか小人が帽子被ってるみたいに見えて、悲壮感よりファニーな感じが漂うのが良いんですよね。一か所で二つも発生してる現場に遭遇したこともあります。
石井:まるで手袋の展示場のようでした。
――複数集まるとなおさらかわいいですね。次は第2位お願いします!
【第2位】
珍しく“狙って”出会えるタイプ。落とし物スペース系片手袋
――片手袋収集、こういうのもアリなんですね。
石井:アリです。基本的に偶然の出会いしかありえない片手袋ですが、この「落とし物スペース系」だけは別。冬場の落とし物スペースには大抵片手袋があるので、意図的に狙って会いに行ける場所なんです。ですから片手袋初心者にも優しいタイプですよ。
――冬場の落とし物コーナーには確実に手袋ありそうですもんね。
石井:なお、落とし物スペース系はさらに、「公共」と「私設」に分けられます。公共というのは、上に示したようなタイプ。「私設」っていうのは、道端に勝手に出来てしまう落とし物スペースのことです。誰かが拾った片手袋とかハンカチを目立つ場所に置いておくと、その場所に他の落とし物も集まってきてしまうことがあるんですね。誰かが水溜りに小銭を放り込んだら、あっという間にそこが祈りの対象になって小銭で溢れてしまうように。
公設とは全然違うタイプですけど、これはこれで人間の心理が垣間見えるような面白みがあります。
――おお、ブーメランのように路上観察に戻ってきた。では次はいよいよ1位お願いします!