特集 2020年8月5日

プロのライターが教える、読書感想文のやっつけ方

ホント、トラウマになるくらい読書感想文が苦手でした

今年の夏休みは短縮される学校が多いようで、例年以上に宿題に悩まされている子もいるんじゃないでしょうか?

夏休みの宿題、最大の鬼門といえば「読書感想文」。読書するのはいいけど、感想って、そんなに具体的に文章にできるもの!? ……ということで、ボクもメチャクチャ苦手で、毎年苦しめられていました。

そんなボクが今は書評も書いたりするライターになってるんだから、世の中分からないものです。そこで、ライターとしての経験値を活かし、厄介な読書感想文を〝やっつけ〟で書き上げる方法を考えてみました。

1975年群馬生まれ。ライター&イラストレーター。
犯罪者からアイドルちゃんまで興味の幅は広範囲。仕事のジャンルも幅が広過ぎて、他人に何の仕事をしている人なのか説明するのが非常に苦痛です。変なスポット、変なおっちゃんなど、どーしてこんなことに……というようなものに関する記事をよく書きます。(動画インタビュー)

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まず、読書感想文の書き方としてよく言われているのが、下記のような要素を盛り込むこと。

・あらすじ
・面白いと思ったところ
・テーマ
・問題提起
・自分の体験

「あらすじ」はまあいいとして、一番厄介なのは「テーマ」。国語のテストでありがちな「作者の気持ちを答えなさい」もそうなんですが、本を読んで感じることに正解があると思い込まされるという国語教育の弊害ですよ……。

「間違ったことを書いたら怒られるんじゃないか」という恐怖心が、読書感想文に対する心理的ハードルをますます上げるんです。

たとえば「『ドラえもん』のテーマって何?」と聞かれても答えようがないでしょ!? 「未来の道具の楽しさ」かも知れないし、「友情の大切さ」かも知れないし、はたまた「なまけ者の末路」かも知れないし……。

こんなの考えるだけムダ! テーマなんて探ろうとするのはやめましょう。

その上で狙い目なのが「問題提起」や「自分の体験」あたり。自分の意見を言うパートなので、本とはあまり関係のないことを書いてもオッケーなんですよ!?

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どうせ問題提起をするなら中途半端な問題ではなく「環境問題」とか「世界平和」レベルの、デカい問題をドーンと提起しちゃいましょう。

たとえそれが本とは関係のない問題だったとしても、世界平和を訴える小中学生をしかれる大人はそうそういません。

サンプルとしてはこんな感じ。

ジョージ・ワシントンの伝記を読んで

ジョージ・ワシントンは桜の木を切ってしまいましたが、そのことを正直にあやまったことで、逆にほめられました。確かに正直なことは素晴らしいですが、環境問題の観点からするとどうでしょう。

現在、森林伐採は世界的な問題となっています。小泉進次郎さんがステーキを食べただけであれほど叩かれたのに、桜の木を切り倒したワシントンがそう簡単に許されていいのでしょうか。

あとはワシントンとか関係なく、小泉進次郎の面白エピソードを書いていけば、原稿用紙の2~3枚は簡単に埋まってしまうことでしょう。

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本の内容と、自分が実際に体験した出来事を関連付けて書いた読書感想文は評価が高くなるそうですが、たかだが10年やそこらの人生しか送っていない小中学生が、本の内容とリンクするような体験なんてそうそうしていないでしょう。

夏目漱石の『こころ』みたいな色恋沙汰を経験している小中学生がいたらビビリますよ。

……ということで、本の内容に合った自分の体験を考えるのではなく、とりあえず日記のように自分の書きたいことを書いて、その後で強引に本の感想へつなげるというのはどうでしょうか?

人間椅子を読んで

ぼくは夏休みに、お父さんと一緒に昆虫採集に行きました。あみを持って山をのぼり、カブトムシやクワガタをたくさん捕まえられてとても楽しかったです。

この本の主人公はずっと椅子の中に入っているので、女性の身体のかんしょくはたんのうできても、カブトムシを捕ることはできないからかわいそうだと思いました。

アウトドア関連の楽しい思い出から、『人間椅子』の主人公がかわいそうという話につなげれば、だいたい何でも成立するんじゃないかと思います。

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文字ばっかりの本は苦手だけど、漫画の感想ならいくらでも書けるという人も多いでしょう。ただ残念ながら、読書感想文の宿題で漫画を取り上げるのはNGという学校がほとんどだと思われます。

そこで、漫画の感想を書いてもオッケーになる裏技を紹介しましょう。それが「漫画家の伝記を読む」!

ボクの子どもの頃には文章で書かれた漫画家の伝記って皆無だったと思いますが、今は色々あります! パッと調べただけでも「手塚治虫」「藤子不二雄A」「水木しげる」「赤塚不二夫」などなど……。

たとえば「水木しげる」だったら、

水木しげるの伝記を読んで

ぼくは妖怪が好きです。特にゲゲゲの鬼太郎に出てくる○○が大好きです。

ここから思う存分『ゲゲゲの鬼太郎』の漫画でもアニメでも、感想を書きまくりましょう。で、最後はこんな感じで締めればオッケーです。

この本は、そんなゲゲゲの鬼太郎の作者、水木しげるせんせいの人生を教えてくれました。水木せんせいは戦争でかた手をなくしたのに、がんばってマンガ家になってえらいなと思いました。

これが「藤子不二雄A」だったら、『ハットリくん』とか『怪物くん』とか『魔太郎がくる!!』などの感想を心ゆくまで書いた後で、

藤子不二雄Aせんせいは、子どもの頃に藤子・F・不二雄せんせいと出会ってマンガ家になりました。人との出会いは大切だなあと思いました。

「赤塚不二夫」なら、『天才バカボン』『おそ松くん』、なんなら『おそ松さん』の感想でもいいので書きまくって、

赤塚せんせいは、飲み屋でタモリといっしょにぜんらになって様々な奇行をくりひろげてみんなを笑わせていたそうです。ぼくもみんなを笑わせるりっぱな大人になりたいと思います。

とか書いておけばオッケーでしょ!?

いやあ、ボクもこんな読書感想文だったらいくらでも書けたのになぁ……。読書感想文で悩むお子さんをお持ちのみなさんは、ぜひ教えてあげてください!?


褒められもしないけど、別に問題にもならないんじゃないかな?

今でも締切に追い詰められた時にチョイチョイ使っている〝やっつけ〟テクニック。それを活用した読書感想文の〝やっつけ方〟を考えてみました。

実際にコレを参考にした読書感想文を提出した場合、先生からはまったく評価されないとは思いますが、大きな問題にもならないんじゃないかと……。宿題なんて、提出さえすればクオリティはどうでもいいんですよ!?

読書感想文のプレッシャーでイヤイヤな本を読ませるよりも、好きな本を読ませてあげてください。

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