最後まで自分がよくわからなかった
☆3未満の滝を4つめぐり、しっかりとした達成感はあります。しかし、行く前の自分の感情が最後まで理解できませんでした。
自分で行きたいと思って準備して、直前で行きたくないと思いはじめる。一人で行くから自己判断で中止できるのに結局行く、行ったら行ったで楽しむ・・・この行為は一体何なんでしょうか。
そんな私のアンビバレントな思いを知らず、滝は今日もサラサラ流れています。
さて最後は神奈川県相模原市にある「お釜の滝」。
ここはレビューが5つあって☆の数が2を切っており、私が探した中でダントツで低い評価をくだされています。
滝マニアでさえも「頑張りがいの無い滝」「滝じゃない」と評しているところです。ゾクゾクしますね・・・
最大の特徴は「道がない」という点。前情報で私はすでに「行きたくはない」と気鬱になっていますが、その反動か「行かなければならない」という使命感も強くなっています。
JR橋本駅で降り、バスに乗り換え三ヶ木駅まで行って、そこから徒歩で2時間歩きます。
もはや、「うん、公式マップに目的地の滝が書かれてないな」という確認作業になってきました。
さて、歩き続けてやっと近くまできました。着いた場所は、小高い場所にある車道。
お釜の滝は山の中にあるのではなく、谷の下にあるようです。今までと違い、インディーズの案内すらありません。
登山靴と軍手とコンパス、食糧を装備し、とにかく「死なない」を合言葉に恐る恐る谷を下ります。
暗い林の、湿気の多いグズグズの斜面をおりていったあと、後ろを振り返ると「え、これ帰りに登るの?」とひるむような崖です。
水流の音はずっと聞こえているのですが・・・
これが限界でした。
危なすぎて引き返しました。
無理して近寄ったところで帰れないかもしれないし、なによりその先に絶景が保証されているわけでもありません。なんなら「絶景でない」可能性の方が大きいのです。
もし、ケガして自力で帰れなくなりレスキューを呼んで、「なんでこんなところに?」と聞かれ、「この近くの滝が☆1.4だったので....」と言うことになったら、ほかの低レビュー滝マニアに申し訳が立ちません。
低レビューの理由は「危ないから」でした。低レビューの滝の洗礼を受けました。
はじめて滝が見れなかったという結果となりましたが、
なぜなら、もともと「絶対に何が何でも滝が見たい」というわけではなかったからです。
もし、めちゃくちゃ素晴らしい景色が先に待っていると知っていたら、無理な冒険をしてケガをしたかもしれません。
「目的地にあまり期待してないから、無理をしない」というのも、低レビューの滝めぐりのよさかもしれません。
あともう一つの心さわやかな理由は、「危ないからもう行かなくていい」ということが判明したことです。
低レビューの滝の引力と、「こわいから行きたくない」の気持ちの間で揺れる必要がなくなりました。私はお釜の滝から解放されたと言えます。
見れなかったけど、解き放たれた気持ちになった
☆3未満の滝を4つめぐり、しっかりとした達成感はあります。しかし、行く前の自分の感情が最後まで理解できませんでした。
自分で行きたいと思って準備して、直前で行きたくないと思いはじめる。一人で行くから自己判断で中止できるのに結局行く、行ったら行ったで楽しむ・・・この行為は一体何なんでしょうか。
そんな私のアンビバレントな思いを知らず、滝は今日もサラサラ流れています。
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