特集 2024年5月21日

遠くから双眼鏡で見てもホラー映画は怖いのか?

予想外の結末

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お、始まったぞ。早速叫び声のような不吉な音で幕開け

今回見るのはシリーズ第2話『目的地』。約8分の作品。Netflixに掲載されているあらすじは以下の通り。

「人々が寝静まる真夜中、タクシー運転手がひとりの女性を後部座席に乗せ走り出す。ところが、指定された目的地に到着すると、彼女の姿はもう見えない」

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…え?あらあら、大丈夫?
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おい、運転手!後ろ、後ろ!

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仮説の検証、失敗である。

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映画の先祖返り

10mも離れて、しかも晴天の海辺での観賞。それでも怖かったのは何故か?私なりに考えてみた。

映画を発明したのはアメリカのエジソン(キネトスコープ)かフランスのリュミエール兄弟(シネマトグラフ)と言われているが、現在ではリュミエール兄弟とするのが一般的だと思う。リュミエール兄弟よりエジソンの方が数年早かったにも関わらず、だ。何故ならシネマトグラフが現在と同じくスクリーンに投影する方式なのに対し、キネトスコープは1人で木箱を覗き込む方式だったからだ。

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この木箱一つ一つがキネトスコープ。現在の映画観賞スタイルとはだいぶ違う

最初期のリュミエール兄弟の作品『ラ・シオタ駅への列車の到着』上映の際、スクリーンに映る巨大な列車を見て観客が逃げ出した、という有名な逸話がある(現在では都市伝説だと言われているが)。これは現代の映画館でホラー映画を観賞する「体感型の恐怖」と地続きの話だ。

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『ラ・シオタ駅への列車の到着』

一方で今回の「双眼鏡でホラー映画を鑑賞する」というスタイルは、期せずしてキネトスコープの「1人で覗き込む」という体験の再現となった。

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私が試みたのは、映画のもう一つの源流への先祖返りだったのである

「タクシー運転手の背後にいる女性の乗客が実は…」という物語を、私だけが偶然覗き込んでしまっている、という感覚。距離を取ったつもりが、思いっきり「我がこと」になっていた。怖くて当たり前である。逆に怖いのが好きでたまらない人は今回の方式を暗い山中などで試してみれば、ホラー映画をさらに堪能できるはず。お試しあれ。

結局何をやっても「ホラー映画は怖い」という事実から逃げることはできなさそうだ。これからも気合で乗り切るしかない。

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検証が終わりふと横を見ると、妻が無言で海を眺めていた。さ、美味い寿司でも食いに行こうや

日本人のマグロ好きは言うまでもないが、近年はサーモンもかなり幅を利かせている。しかしそんな時代に背を向けるように、我々夫婦はアジにしか興味がない。はっきり言って寿司ネタがアジしかなくなっても全然構わない。

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熱海のアジもまた絶品であった

検証が失敗してしまったのでホラーのことはいったん忘れて、「もう一度アジの美味しさと向き合おう」という提言をもって今回は筆を置かせて頂く。

 

ささやかなおまけ
記事に使わなかった写真

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