人間が困っていくドキュメンタリーがあった
最初の、4人でホルンを作っていた時間。撮ってもらった写真をサムネイル表示にしてスクロールしていくと、みんながどんどん困っていく様子がとてもよく分かる。
なんの役にも立たないが貴重な時間を残せたなと思った。
なんとか4人分のホルンが出来上がって感想を言い合う時間になった。
「なるほど」「そうなるよね」と納得できるポイントが多々ある。やってみた者が見ると、やりたいことは分かる、という出来にはなっているのだ。
しかし何も知らずこのケーブルを見て「ホルン」と答えられる人はいないだろう。「絡まったケーブル」と答えるだろう。
うん、素晴らしい。構えるとグッとホルンっぽくなるが、今回思っていたこととは、ねえ、ほら…
良いところを探そうと頑張るのだけど、この机を見るとしゃべることがなくなってくる。
「結局これが一番ホルンじゃない?(グルグルしているから)」とホルンへの認識も迷走し始める
この後、僕はこの針金が指に刺さってじわっと血を出した。
「どうしたらいい」「人を集めたのに」「記事にする? これを?」様々な思いで頭の中をパンパンにしたまま、結局この日はどうにもならず家に帰った。
夜9時に寝て、朝起きてからも半日ほどこの企画について考えるのをやめた。いい天気だった。
冷静になった頭で反省したのは以下の3点だった。
失敗するのはいい。大切なのはその後の行動である。
今僕は「道具を使うとやりやすい」という情報をお伝えしている。石器時代だったら有益な情報。
初めて20分ほど
粗が目立たないよう、少し小さめに作ったのも良かったかもしれない。
今回初めて「何かを作った」という手応えがあった。何と言っても「ホルン」と分かる。
さあ次だ。当初はこのようにケーブルを巻きたいと言っていたのだが、反省を生かしてそこからは撤退しよう。引く勇気。
ホルンの形のストローができたら素敵なのでは。
ケーブルにはクセがあって全然思い通りに曲がらなかった。ケーブルより柔らかくて断面が丸いチューブなら、もう少し作業しやすいはずである。
そして、さらにもう一つ。
ワイヤーのホルンが思ったよりしっかりできたので、これをそのまま軸として使う。失敗しようがない。
早くあの3人に伝えたい。うまくいきそうだと。
チューブとストローをつないでいくのが細かい作業で難しい。しかも数が多い。
ストローの買い出しや休憩を挟んで5時間ほど。
ずいぶんゴテゴテしてしまったが「ホルンのストローができた」と言っていいだろう。
チャットで胴上げされている気持ちになった。
こんなに嬉しいのはやはり一回大きく挫折したからだろう。大成功が嬉しいのはもちろんだが、大失敗からの小さな成功もそれに匹敵する嬉しさがある。諦めなくて良かった。
今回分かったことは何と言ってもこれだ。
ケーブルはホルンにならない。チューブはホルンになる。
最初の、4人でホルンを作っていた時間。撮ってもらった写真をサムネイル表示にしてスクロールしていくと、みんながどんどん困っていく様子がとてもよく分かる。
なんの役にも立たないが貴重な時間を残せたなと思った。
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