今回の検証、正直、見た目にそれっぽいものができれば満足だったんです。
が、はっきり言ってできた大根ステーキが絶品すぎた! 「野菜のステーキ」というジャンルのなかで、大根が圧倒的王者なことが実感として理解できた!
実は今まで、あまり大根ステーキに興味がなかったし、作ったこともほとんどなかったんです。けどこれからは頻繁に作っちゃうな〜、こりゃ。
まぁ、こんなに本気で作るのは面倒にもほどがあるので、普通に輪切りで、普通のステーキソースか醤油かなんかで食べるとは思いますけど。
「大根ステーキ」って、割とメジャーなメニューですよね。だけどたいていのレシピを見ると、輪切りにしてフライパンなどで焼くというものが多い。
思っちゃったんです。「ステーキ」と宣言しているからには、もっと本気で、いわゆるステーキのイメージに近づけたものが見てみたい! と。
そこで今日は、僕なりに、本気の大根ステーキを作っていきたいと思います。
世のレシピ本やレシピサイトなんかを見ていると、「大根ステーキ」ってけっこうな頻度で登場する、もはや定番料理のひとつですよね。
あるにはあるんだろうけど、「にんじんステーキ」「ごぼうステーキ」「もやしステーキ」なんかとは比べものにならないくらい、王道感が漂っている。
ところが一方で、「それ、輪切りにした大根を焼いただけやん」という気持ちもなくはない。「大根ソテー」じゃだめなの? って。
そこで、Wikipediaで「ステーキ」の項目を見てみたところ、このようにありました。
「ステーキ(英: steak)は、牛の上質な部位の精肉で、筋繊維の走行に対して垂直にカットされた比較的厚切りの肉片。日本においては、その肉を使った料理や調理法を意味する用語として用いられることが多く、食材としてのステーキについては「ステーキ肉」などと区別して呼ばれる。
なお、細切れや薄切りにされた肉や、ひき肉などをステーキ状に整形したものをステーキと呼ぶ場合もあり、また牛以外の素材に対しても用いられることがある」
つまり大根のステーキは、ステーキとしては亜流も亜流なわけですね。じゃあせめて、見た目だけでも! 雰囲気だけでも! もっともっとステーキに近づけてやることはできないか?
そんな試みに果敢にも挑戦してみようというのが今回。
以下、はたしてうまくいくのかどうかも含め、挑戦の手順をそのまま記録していってみようと思います。
まずはスーパーへ行き、なるべく太さのある大根を選んで買ってきました。
さらにその中心部を、2cmくらいの厚さになるようカットします
なにがしたいのかと言いますと、この分厚い板状の大根を、
いわゆるビーフステーキになるべく近い形に成型していきたいというわけなんですね。
包丁、フルーツナイフ、ピーラーなどを駆使し、ざくざく、スパスパ、シュッシュッシュッと試行錯誤すること10分ほど、
で、さらなるそれっぽさを出すため、赤身部分と脂身部分をナイフで切り分けます。
これで下準備は完成! さぁ、本気の大根ステーキを焼いていきましょう。
この厚みのある大根をいきなりフライパンで焼きだすと時間がかかりすぎそうなので、まずはいったん、ふわっとラップをかけてレンチンしておきましょう。
取り出してみると、全体に透明感が出て、まんべんなくしっかりと柔らかくなってますね。よし、
慎重に弱〜中火くらいでじわじわと。特に、本体はともかく、脂身部分に焦げ目がつきすぎてしまうと台無しなので、慎重に。
そしたら、あとで再結合するとして、脂身パーツはいったん取りだし、さらに赤身パーツを焼いていきます。
終盤で、味つけというよりは色づけのために醤油少々を加え、
すでに大根には見えませんね。かと言って肉にも見えず、なにこれ? 状態ではありますが。
ここで試しに先ほど取り出した脂身パーツと合わせてみると、脂身がちょっと白すぎたかな。というわけで、
もはや、ほんものの肉から切り離した脂身にしか見えない。
これで大根本体の焼き工程は終了。
ここで突然ですが、
なんつったって、いつも買ってる肉の10倍くらいはする、100g980円の国産黒毛和牛。そりゃ〜もう、テンション上がりまくりですよ!
が、今回のメインはあくまで「大根」なので、ぶちゃけ焼き上がった肉に用はありません。さっさとフライパンから取り出してしまいましょう。
※ちなみにこの肉はステーキ好きの妻に食べてもらいました。いわく、「めちゃくちゃ美味しかった……」とのこと。
じゃあなんでわざわざ牛肉のステーキを焼いたかって、僕の目的はこっちです。
そこには、にんにくの香りの移った、和牛の上質な脂がたっぷり。これをベースに、大根ステーキにかける用に、いわゆる「グレイビー(肉汁)ソース」を作りたかったというわけなんですね。
レシピは僕がステーキを焼くときの定番なんですが、このフライパンに残った脂でまず、
おおよそ火が通ったら、
煮詰めて適度にとろみがついたら完成。これが、簡単なのにものすご〜く美味しいソースなんです!
さて、すべての食材の準備が整ったので、いよいよ盛りつけていきましょう。
今回はフライパンで焼きましたがが、雰囲気重視で、
あれ? あれれれれ? これ、かなりいいんじゃないですか? プレート上で赤身と脂身を合体させたことにより、さっきよりもかなり“肉っぽさ”が増してる気がするぞ。
いいぞいいぞ! その調子!
仕上げに先ほど作ったソースをかけて、バターをのせれば、
さて、いよいよ実食タイムに突入するわけですが、いや、最後まで手探りでやってきた割に、今回、かなりうまいこといったんじゃないでしょうか?
だってだって、
ガストのメニューの「肉」コーナーに載ってても、「これ、大根だ!」って気づく人、いませんよ絶対。まぁ、ステーキというよりポークソテーっぽいと言われたら否定はできませんが……。
これなんてもう、写真から肉汁の香りが漂ってきそうな臨場感。いや、肉汁を使ってるので、実際香りは完全にステーキなんですが。
もはやこの時点で、「本気の大根ステーキを作る」という今回の目的は達成。あとは一応、気になる味のほうも確認しておきましょうかね。
ただし断面は、
と、口に含んだ瞬間に脳がバグりそうな悪寒を感じつつ、思いきってひと切れぱくり。
う、う、う、う、う、う、う、うまいぞこれ!
大根本体に肉の旨みはもちろんありませんが、それを補ってあまりあるグレイビーソースの旨味。それがとろっとろの大根に染みこみ、噛み締めるとじゅわぁ〜っと口いっぱいに広がる。
そもそもの食感が、柔らかさでいえば極上のサーロインレベル。それに、大根自体にはほとんどクセがないので、味のメインはほぼステーキソース。加えて、脂のたっぷりとのった肉と違い、ぜんぜん胃にもたれないし。
結果、想像していた以上に脳がステーキを食べていると錯覚してくれ、焼きすぎちゃった安物のステーキ肉なんかに比べたら、むしろだんぜんこっちのほうが好きかもしれません、僕。
今回の検証、正直、見た目にそれっぽいものができれば満足だったんです。
が、はっきり言ってできた大根ステーキが絶品すぎた! 「野菜のステーキ」というジャンルのなかで、大根が圧倒的王者なことが実感として理解できた!
実は今まで、あまり大根ステーキに興味がなかったし、作ったこともほとんどなかったんです。けどこれからは頻繁に作っちゃうな〜、こりゃ。
まぁ、こんなに本気で作るのは面倒にもほどがあるので、普通に輪切りで、普通のステーキソースか醤油かなんかで食べるとは思いますけど。
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