特集 2020年2月4日

高カカオチョコレートのカカオの割合が細かくてエレガント

チョコレート効果みたいに細かいことを伝えます。

『チョコレート効果』に代表される高カカオチョコのパッケージ、カカオのパーセントがやけに細かく書いてあるなと思った。

よく見るとただ細かいだけではなくて、エレガントなのだ。そこがすごく良い。

高カカオチョコに、細かい情報をエレガントに伝える方法を学びました。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

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「いや、細かいな!」と言わせないエレガントさ

飲み会の後半、何となくダラーっとした雰囲気になって誰かが「今何時?」と聞く。その時「11時43分22秒です」と言ったら「いや、細かいな!」となるだろう。

しかし「いや、細かいな!」とか言わせないほどのエレガントさで、時間を秒まで伝えられる人ってどうだろうか。何が言いたいのかというと、そういうお菓子があるのだ。高カカオチョコレートである。

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「カカオ72%です」
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「一方、僕は88%です」
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「86%です」「86%です」箱の側面全部で言ってくる。

細かいのだ。カカオのパーセントが。いち消費者としては「カカオいーっぱい」ということが分かればいい。段階別で商品があるのなら「小、中、大」とかでいい。もし、上のチョコのカカオが85%だったら少ないので買わない、なんてことはないのだ。

しかし86%という表示を見た時に「いや、細かいな!」と強く言いづらいのはデザインのエレガントさのせいだろう。

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「86%です」細かくてイヤだな、という感じは無い。

飲み会で時間を聞いたら、奥から真っ黒のスーツを着たじいやがスマートに近づいてきて耳元でエレガントに言うのだ。

「11時43分22秒です」

きっと何も言えないだろう。情報の細かさよりも、その高貴な振る舞いに目がいっちゃうからだ。この有無を言わさないエレガントさが、なんだかおもしろいと思った。

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パッケージの特徴をまとめる

チョコレートのパッケージを見てみると、以下のような特徴があることが分かった。

  • カカオの割合は、堂々と細かく、他の何よりも大きく載せる
  • 高級そうな書体
  • 逆に、チョコのイメージは控えめに配置する
  • 黒と金など、高級感のある配色
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主に、明治のチョコレート効果を参考にしました。

これに則って、他の細かい情報を伝えてみよう。エレガントになるだろうか。

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つまり、こういうことをやりたかったのです

きゅうりの95%は水分らしい。

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きゅうり。

「へー、そうなんだー」という感じだと思う。状況や相手によっては「ほとんど水分らしいよ」ぐらいの伝え方がいいのかもしれない。「95%」と刻んで伝えるほどのことでもないのだ。

高カカオみたいに言うとどうなるだろうか。

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おお…!

なんか分かんないけど緊張感が出た。95という数字をすごく大事にしていてなんかおもしろい。逆にここに95%でなく「ほとんど」と書いてあったら「いや、ちゃんと書けよ!」と思うだろう。

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空気中の窒素は78%。77でも79でもない。78%なんだ。
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どうでもいいパーセント界の重鎮。スマホのバッテリー。

たまたま出会ったその時だけのパーセント表示も、大事なものになる。スマホのバッテリーまでエレガントにできたら上出来だろう。次にいってみよう。

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お口直しに本物を見ておきましょう。
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雑学でやってみる

割合を語ってそうなものと言えば雑学である。こういうものでこそ、細かい情報をしっかり伝えていきたい。

例えば、地球って陸地に目がいきがちだけど、海の面積のほうが全然広い。これを高カカオみたいに言うとこうなる。

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71%なんだそうだ。

さすがにビシッとしている。高カカオは雑学に向いているぞ。高カカオがチョコレートを引退したら、老後は物知りなおじいさんとして人気者になれる。安泰である。

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コアラは一日のうちほとんどを寝て過ごす。

毒素の強いユーカリの消化にエネルギーを使っちゃうからだそうだ。皆が食べないものを食べるというのはけっこう大変なことなんだな、と思った。

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世界人口の約9割が右利き。日本は世界の中でも右利きが多い。

この情報に特に強い思い入れもないが、高カカオみたいに言われると「…おし!」と思う。

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全国の金城さんの89%が沖縄在住なんだそうだ。
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比嘉さんは95%だ。

この2つは同じく「ほとんど」なんだけど、高カカオみたいに言うと全然違う。チョコレート効果の72%と86%ぐらい違う。

しかしどの雑学を入れても隙の無いビシッとした雰囲気になる。もっともっとどうでもよくしてもいいのかもしれない。

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ただ散歩をする

どうでもいい話と言えば、オチのない話である。伝えたいことがあるわけではなく、ただしゃべりたいからしゃべる。文房具売り場の試し書きみたいなものである。書きたいから書く。「あいうえお」と書く。

しかしそんな話も高カカオっぽく伝えると、「どうでもいいよ!」と一蹴することなく聞けるのかもしれない。やってみよう。

今からただただ散歩をします。

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散歩をしに大塚に来た。

なぜ大塚かというと「オオツカ」には「カカオ」の「カ」と「オ」、どちらも入っているからだ。我ながらどうでもいい。どうでもよさのスタートダッシュがすごい。

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こういうことだ。すごい。
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そしてその日は何といっても天気が良かった。

気象予報士の方は、空を雲が占める割合で晴れか曇りかを判断するらしいが、僕の見た感じでは限りなく雲量0に近い晴天だった。

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文字で雲が隠れてしまった。
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とりあえずぶらぶら歩く。これは奥の方の道が上り坂になっているなーと思って撮った。散歩なので。
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妙においしそうに見える立て看板のメニュー。

あとは写真を取り損ねてしまったのだけど、リサイクルショップが多いなーとか思いながら歩いた。

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途中で寄ったスーパーで88%のカカオを見つけた。
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相変わらず細かく、そしてエレガントだ。
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散歩の途中で見つけた高カカオが88%だったよ、ということを伝える高カカオみたいな画像。
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苦くて、ぶらぶら歩きながら食べる感じのものじゃないなと思った。
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フタのある容器ばかりの自販機がありました。
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フタのある容器率92%。フタのある容器率…?
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下を見ると「ここだけのHappiness time」とある。

確かにこんなにフタのある自販機はここだけかもしれない。

このあと別のスーパーをうろうろしたり古着を見たり、どこかでお昼を食べようとしたけどお店が決められないまま住宅街に入って困るなどした。

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あとは服を着たサトちゃんなどを見て、
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別の駅に到着したので散歩は終了です。
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「オウジ」という地名には33%「オ」が入っている。
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駅前がなんか(僕の思う)温泉街みたいだった。
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どうでもよすぎるとエレガントではない

1時間半の散歩だった。最大の発見はフタのある容器ばかりの自販機である。発泡スチロールのようなスカスカの内容だったけど、高カカオみたいな画像のおかげで毅然とした姿勢がお伝えできたのではないだろうか。

しかしやはり、あまりにもどうでもいいと「どうでもいいことが書いてあるな」と思う。そもそも高カカオのパーセントは細かいだけでどうでもいい情報ではない。細かいこととどうでもいいことは違うのだ。

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その日は13,560歩、歩いていた。どうでもいいですね。
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どう思ってたんだろう

 

本当にどうでもいいことなんだけど、記事で使う画像をパソコンで作っている時、その後ろでは壁紙を貼り替える内装の工事をしていた。

「工事の人は、これがちらちら見えたらどんな気持ちなんだろうなー」と思いながらきゅうりをトリミングしていた。

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何にせよこの後ろで壁紙はきれいに貼ってくれた。プロだ。
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