特集 2024年8月17日

ハンザキ祭りでハンザキ獅子舞に頭を噛まれてきた

あれもハンザキ、これもハンザキ

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たとえばこれは、ハンザキに齧られている気分になれるオブジェ「ぱっくんはんざき」。
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ハンザキとそれを背負う人間の謎の石像。同じものがいたるところに置いてあった。三井彦四郎と大ハンザキだろうか?にしてはハンザキが小さい気もするが。
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真似してみた。
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地図にももちろんハンザキが。
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渋い彫刻だ。
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ここにはカジカガエルもいた。失礼ながらハンザキに比べると影の薄い扱いを受けているが、カジカガエルは水のきれいな山地の河川などに生息するカエルで、湯原近郊の生息地は天然記念物に指定されているのだ。
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上流のダムまで歩くことにして、川沿いの道に下りてみた。風が涼しくて気持ちがいい。
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川底に緑色の藻がフサフサと生えていて、いかにも深山幽谷っぽい光景に見えるが、おそらく上流のダムの影響で水深が浅く流れがゆったりとしているせいで藻が生えやすくなっているのである。

しばらく歩いていくと、足湯があった。ありがたい。朝から運転しっぱなし、歩きっぱなしで疲れていたから、休ませてもらおうと近づいて、「あ!」と驚いた。

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近づいてみると、足湯には目と足がついていた。ハンザキ足湯だった。
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浴槽の底には青い四角いタイルの中を泳ぐようにハンザキ型のタイルが。なんとまあ、芸の細かいことだろう。
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オオサンショウウオを濡らさないように注意して入る。かけ流しの足湯はしっかりと温かくて気持ちいい。ホッとした。パステルカラーのタイルも、美しいだけでなく気分を軽くしてくれる爽やかさがあっていい。一息つくだけのつもりが10分以上居座ってしまった。

しかし、本当にいたるところにハンザキが溢れているな。

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川岸から一段高い街中にあった別の足湯は、浴槽こそ普通だがハンザキ像がいくつも置いてあったし、
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すぐそばに金色のハンザキ像を安置した祠まで設けてあった。
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格調高そうな旅館の2階にもハンザキ(緑)。
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射的場もハンザキ。ハンザキがドラゴン扱いなのか......?
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一見するとただのおしゃれなワッフル屋にも、ハンザキ。
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店に入れば、アーティストたちが作ったカラフルなハンザキが売られ、
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地域通貨もハンザキだ。
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鯉のぼりだってハンザキ。
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なんと、川から逃げるハンザキ。
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そして終点、湯原ダム。ここにたどり着くまでに、いったいいくつのハンザキを見ただろう。

あちこちにハンザキが隠れていて、「あ、ここにも!」みたいに見つけるのが楽しい。

あれもハンザキ♪これもハンザキ♪

たぶんハンザキ♪きっとハンザキ♪

と替え歌の一つも歌い出しかねないくらい気分が上がっていた。

でも正直言うと、少し怖くなってきてもいた。

ハンザキ祭りに地域おこし的というか、観光客を意識した面があることは百も承知である。でも湯原温泉を一回りして、この熱の入れっぷりはちょっと地域おこしのレベルを超えていると思った。各人が自分の得意分野だったり職業に絡めてハンザキで自己表現しようとする熱意。わずかな余白にハンザキを持ち込もうとするその偏執的な情熱に尋常ではないものを感じた。「何がそうまでさせるのか」と困惑せずにいられないのである。

ハンザキの人間の精神に対する侵襲性が高い。高すぎる。

カレル・チャペックの小説「山椒魚戦争」は海で見つかった新種の山椒魚が人間の世界を少しずつ侵略していく話だが、ここの様子はまるで人間の脳内で展開される「山椒魚戦争」だ。

大ハンザキの呪いは、ホラ話ではなかったのだ!

かくいう私がわざわざオオサンショウウオを連れて来て、この記事を書いているのも、ハンザキ・ミームの拡散に手を貸していることに他ならないのではないか......。

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みたいな、ホラーな妄想をしながら、ダムの手前にかかった橋の上からお祭り会場を眺める。
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宿の部屋にあったお菓子。

宿にチェックインして一休みしようとしたら、部屋のお菓子がハンザキサブレだったので笑ってしまった。

しつこく追ってくるお化けから逃れてタクシーに乗ったら、運転手が「そのお化けって、こんなのですか?」と言って振り向いてくる、あれである。

湯原温泉にいる限り、ハンザキからは逃れられないのだ。

⏩ ついにハンザキ山車が動く!

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