カラスに囲まれないうちに終えよう
ところで…ハンザキ(繰り返すがオオサンショウウオのこと)をWikipediaで調べると、「最大全長は150cm」と書いてある。それならいっそのことその大きさで作りたかったのはやまやまだ。
しかし熱源の問題がある。そんな、お祭りの屋台で使うような、でかい鉄板や熱源が家にあるはずもない。仕方なくホットプレートの出番となるわけだ。
しかしまあ、体を折り曲げるようにすれば、そこそこの体長のハンザキバーグが焼けるのではないか。さっそくベランダに出て作業の開始だ。カラスの監視を上空から薄っすら感じつつ、肉を成形していこう。
食べ物から生き物へ
番組によると、ハンザキは脅威の生命力を持っているという。オス同士の戦いで指を喰われて失うこともあるそうだが、なんと驚くことに数年後には指が再生するという!「体を半分に裂かれても生きている」、それはあながちデタラメでもないのかもしれない。
その生命力をなぞるごとく、鉄板の上で無からハンザキを出現させてみたい。鉄板にはまだ電源を入れない状態から始めよう。
かわいいかわいい。ペタッとした手(コスモ星丸みたい)、物言わぬ表情、ぼよんとしたおなか・・・まあこれから焼いて食べてしまうわけだが。とにかく目の前に今、ハンザキがいる!かわいいかわい…
・・・と、何となくグズグズしているのは、熱を加えたあとの処置にまだ迷いがあるからだ。それは追い追いお話しするとして、いよいよ体長データをとって電源を入れるぞ!
ある問題のため、数ヶ月ためらっていた企画なのだ
しばらく待ってからフタを開けてみた。鼻を近づけると、おお、いい匂い!大量に入れたナツメグで、合挽き肉がうまそうな香りを放っている。
じりじり、じりじり・・・鳥が来ないよう見張りをしているうちに、ハンちゃんの様子が変わってきた。
さっきまで静かに横たわっていたハンちゃんが、にわかに騒がしく!自分から出た脂まみれに!わははは!
面白がっている場合ではない。裏がだいぶ焼けてきたようだ。どう見てもひっくり返し時であろう。
だが、考えてみてほしい。このでかい肉の塊を、この鉄板から、どうやってひっくり返す?どんな道筋で考えていっても、ひとつの問題に突き当たる。
「1kg+αの肉を、空中で180度返さねばならない」
って、それをさっきから悩んでいるんだろう。頭悪い。しかしあることに気づき、光が見えてきた。