特集 2021年1月12日

マンガの反撃シーンだけを走馬灯みたいに読みたい

読めましたし描きました。

多くのマンガには、マンガ自体のタイトルの他に、各話ごとのサブタイトルが付いている。サブタイトルの付けられ方は作品によって色々だが、「〇〇との出会い」とか「〇〇の悲しい過去」という風にその話を短く要約したタイトルになることが多い。

このサブタイトルのリストを複数のマンガで作って、決まった語句で検索したら、そのワードに沿ったシーンだけ横断的に読めて楽しかったりしないだろうか。

例えば色々な少年マンガを「反撃」で検索するのだ。敵に追い詰められても最後まで友情や勇気を忘れなかったキャラクターたちがそれぞれの方法で反撃していく。そんなシーンを走馬灯みたいに見れないだろうか。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

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見られました

結論から言うと、見られた。色んな作品でめちゃくちゃ反撃していた。まずその方法を紹介します。

サブタイトルのリストを作ろう

まずはサブタイトルのリストを作らなければいけない。今回は年始に放送された『漫画総選挙』というテレビ番組の投票結果、50位までの中から各話のサブタイトルを調べられるものをピックアップした。

人気のある作品なら、インターネットで各話ごとのタイトルがまとめられている可能性が高いと思ったからだ。

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リスト。こんな感じで横に50作品ある。

一番下に長かったのは全200巻の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で、サブタイトルが1,410行あった。全てピックアップできているかは分からないので全1,410話ではない。とにかくいっぱいだ。目視で「反撃」を探したら気が狂う。「反」も「撃」もゲシュタルト崩壊するだろう。

『こち亀』含め、リストを作ることができたのは以下の21作品である。

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見ていただいて分かるように作品に偏りがある。僕がサブタイトルをまとめてくれているサイトを見つけられるかどうかに依っているので、人気のあるマンガを網羅した結果ではないことをご了承ください。

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検索だ!

リストが(無理のない範囲で)できたら、いよいよ検索である。期待と不安が混じってものすごくワクワクした。『反撃』と、同じく盛り上がってそうな『逆襲』『逆転』でも検索した。結果、今回の走馬灯はこんな感じだ。

反撃

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6反撃! のろしが別の作品からそれぞれ上がっている。

逆襲

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DRAGON BALL(ドラゴンボール)で孫という名字の人が通算3回逆襲している。逆襲の家系だ。

逆転

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大逆転 逆転‼︎ 逆転‼︎?

少年マンガなんだし反撃、逆襲、逆転というシーンはそりゃあ度々あるのだろうとは思うが、こうして文字で見ると「ほー」という感じがする。全く別の世界同士が、キーワードで結びついて思わぬ繋がりができたからなのだろうか。

ドラゴンボールの500話とめぞん一刻の145話が同じ『大逆転』なところとか、なんか「ほー…!」という感じですよね。

反撃の走馬灯

そして反撃シーンが出そろったら読む。もうあらすじとか登場人物とか把握せずにピンポイントでその話だけを読んでいった。ぼやっとそのシーンだけ、反撃の空気感だけ次々と体験していくのは本当に走馬灯みたいだった。

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反撃!(尾田栄一郎『ONE PIECE』40巻、集英社、2005、p.145)
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逆転だ‼︎(荒川弘『鋼の錬金術師』19巻、スクウェア・エニックス、2012、p.139)
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スマホのマンガアプリで見ています。各話ごとに購入できるので走馬灯読みに便利。
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あと『めぞん一刻』(ラブコメ)に『大逆転』というサブタイトルがあって意外だったのだけど、すごく大逆転していた。(高橋留美子『めぞん一刻』新装版14巻、小学館、2007、p.104)

「ほおー」という思いで一気に名作たちを横断して反撃のシーンばかり読んだ。やはり盛り上がっている場面だけあって、詳しいことが分からなくても一気に読まされてしまうような力がある。

話を把握しきれていないのでシーンの良さを全部咀嚼できるわけではないが、反撃の爽快さの一部分だけをスコーンスコーンと受け取り続ける。おもしろそうだから今度ちゃんと読もう、と思った作品もたくさんあり、心の積ん読が増えた。

そういえばこれは、映画館で上映前に他の映画の宣伝を次々見ている感覚に近い。あれを自分好みに構成して編集したのだ。

反撃あるある

そして読んでいくと、反撃にはパターンがあることが分かってきた。箇条書きにするとこんな感じである。

  • まず、だいたいピンチの状況から始まる

そこから、間一髪のところを以下のどれかで反撃

  • 強い味方が来て反撃
  • 修行の成果や新しい技で反撃
  • 敵の弱点を見つけて反撃
  • さっき失敗したと思った技が遅れて効いてきて反撃
  • さっきやっつけた敵がこちらに寝返って反撃
  • 心情の変化により強くなって反撃
  • 序盤のピンチは敢えてやられたフリをしていて、反撃
  • 反撃のための準備を整えたり、ヒントを得る段階の場合もある

心情の変化で反撃、というのはちょっと分かりにくいかもしれないが、こういうことだ。

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〝くらってもかまわん〟という覚悟により致命傷を避けられるようになった!(堀井雄二、三条陸、稲田浩司『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』文庫版7巻、集英社、2003、p.100)

(ちなみにこのシーンは『起死回生の巻』の一部。『起死回生』はこの作品のみ見つかった。)

さらに

  • 助けに来る強い味方は空を飛んできがち
  • 敵や味方がいっぱい説明しがち

という特徴も分かってきた。上の画像もいっぱい説明している。なぜ反撃や逆転ができたのか、読者に分からせないといけないからだろう。

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さて

楽しく読んで、反撃シーンの特徴も分かった。ここまで来たらやることは、自分も反撃シーンを描いてみることだろう。今回分かった反撃の特徴を全部入れたマンガを3ページだけ作った。

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何を読まされているんだろうと思っただろうか。僕も何を読ませているんだろうと思った。皆さん今日はコンビニでおいしいプリンなどを買ってください。

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