毛=侵入防止センサ説
侵入先の建物に赤外線センサが張り巡らされていて身動きが取れない。スパイものや泥棒ものの映画でよくある描写だが、蚊にとって毛深い人の体はそんな感じだというのだ。
まさかー、という話である。そこで、今回は実験で白黒つけたい。
本来なら被験者として毛深い人を迎えるべきだが、蚊に刺され放題のこの実験、他人を呼ぶのは少し心苦しい。いっぽうで僕はきわだって毛深い方ではないが、男性なのでそれなりの体毛がある。
さわやかな朝の剃毛
平日の午前。コンビニでシェービングフォームとカミソリを買い、「今日は自宅で仕事します」と会社にメールした。
おりしも夏休みまっさかり。この記事を読んでいる中高生のみなさんには、世の中にはいろんな仕事があるんだなー、と思っていただければ幸いである。
えーと、一応何をしているのか説明すると、体の半分だけ毛を剃れば、毛深い人と毛深くない人、一人二役できるよね。というもくろみです。
こころの迷い
とはいえ毛を剃るのはかなり抵抗があった。一応こういうことは事前に妻に相談すべきだろうか、とか考えてしまう。googleで「すね毛 剃る」で検索したりもした。質問サイトの「彼氏がすね毛を剃るんですけど変じゃないですか?」という質問がヒットした。ベストアンサーは「その人の自由だと思いますけど、いつも剃るくらいなら永久脱毛した方がいいですよ」という内容であった。永久、である。すね毛を剃るとは、そこまでの覚悟を持って挑むべきものなのか…。
最後は「自転車乗りの人はすね毛を剃る人が多い」という情報で、決心が付いた。僕は別に自転車に乗るわけではないが、目的はなんであれ、合理的な事情があれば、すね毛は剃っていいものなのだ。
ちなみに原稿執筆時点で、妻にはまだばれていない。
人がすね毛剃ってるところとか特に見たくないと思いますが、動画を貼りました。
カミソリを使い慣れてないので(ひげそりは電動派だ)手足あわせて10ヶ所くらい切った。
実験はまだ始まってもいないのに、俺はもう傷だらけだ。
蚊に刺されまくる2時間
ここからが実験本番だ。
毛を剃るという第一関門は突破したものの、次は「蚊に刺されまくる」というミッション。異常に精神的プレッシャーの多い企画だな、今回。
これから2時間、蚊に刺されまくる。蚊に刺された数と、蚊に気づいた数をカウントして、さいごに割り算して発見率(蚊に気づく確率)をだす。その値で「体毛センサー説」を検証するのだ。
場所は会社の近くの公園を選んだ。よく撮影に使う公園だが、そのたびにひどく刺され、「虫除け持ってくればよかった!」って思うのだ。
蚊と、そして幻蚊との戦い
風の強い日だった。左足のすね毛が風になびいているのを感じる。右足は毛がないのであまり風を感じない。つまり体感風速は毛深い人のほうが強いのだ。意外な発見である。
最初のうちは、腕や足に刺激を感じて振り向くと、たいていそこに蚊がいる。でもだんだんその精度が落ちてくる。
いま蚊が止まった!と思っても、さっき刺された部分がかゆいだけだったり、すね毛が風になびいてるだけだったり。(後者は毛あり特有の現象)。
幻覚ならぬ幻蚊。後半はこの現象にさいなまれっぱなしだった。
2時間が過ぎた
2時間はけっこうあっという間に過ぎた。読書に集中していて気づかなかったが、いつのまにか体中がおしゃれな水玉模様である。虫刺されで。
さっそく虫さされ状況を確認してみよう。
計29ヶ所の虫さされがあった。
そして手元の発見数(刺されてる最中に蚊に気づいた数)の記録をもとに、発見率を計算すると…。
毛ありは蚊に気づきやすい!
発見率の値から、「毛深い人は蚊に気づきやすい」ことがわかった!
ただ、記事タイトルの「毛深い人は蚊に刺されにくい」は正しいかといわれると、そうでもなかった。(刺された数が毛なし16:毛あり13)
これはなぜかというと、毛があったほうが蚊に気づきやすいのは確かなんだけど、気づいて追い払ったころにはすでに血吸われてますからね。後の祭りなんですよね。
ということで、毛深い人にもそうでもない人にも、平等に蚊はやってきます。夏の野外では、虫除けを怠らないようにしましょう。