特集 2026年2月12日

母が亡くなったので母の作品展を開催することにしました

先日、母が亡くなりました。あとに残されたのは母の趣味であった大量の手作りの土器でした。
こんなもの残されても…と途方に暮れた私たち姉妹。そこで母の最初で最後の作品展を開催することにしました。

私たちは50代の姉妹のユニットです。父は恭治(享年80歳)母はみさ子(87歳)父母の名にかけてオモロイことを見つけながら生きていきたいです。



MISAKO's 49th day

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Forever みさ子

令和7年11月9日。老衰で母が亡くなった。享年87歳。
父は5年前に亡くなり、母は86歳まで実家で一人暮らしを頑張っていた。しかし認知症を患い施設に入所、のちに療養型の病院にお世話になることになり、そこで息を引き取った。

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THE 実家

母の趣味は陶芸。
60歳を過ぎてから陶芸教室に通い始め、その楽しさに目覚めたようだ。
母のいない実家には、母のこしらえた壺や花器などがあらゆる所に残されている。

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1階の居間。一見どこにでもある「実家」だが⋯
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隙あらば置きまくる!
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2階の本棚にも
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出窓にも
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置きまくる
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あ、ここにもあった

 家の中だけではない。
玄関にもガレージにも。
置くスペースがあれば置きまくる。

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猛々しく生える多肉植物と共に

「壺」なのに「傘立て」になってしまうのは実家であることの宿命か。

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傘立てじゃないのにぃ

そして否応なしに「ペン立て」となってしまう実家マジック。

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オレはペン立てになるしかないのか⋯
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置くだけではない。
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壁にも!

壺や花器だけではない。
普段使いしていた皿や茶碗などの食器類もほとんどが母の作品だ。

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どんだけあんねん

一体何個あるのか?
正直数えることはできない。数えたくない。

せめて売り物になれば良いのだが、所詮素人の趣味。
価値は無い。

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荒々しい

自分の想いを土に込め世界にひとつだけの作品を作り上げる⋯

そんな生ぬるいことは言ってられない。
母の作品はいつも自由で荒々しかった。

陶芸作品、というよりも、発掘された縄文土器だ。

人の真似を嫌っていた母。
それにしても独創的すぎる。
美しさからかけ離れ、実用的でもない。
そしてとても重い。

こんなに大量の土器、一体どうするつもりだったんだ。と、うっすら怒りも湧いてくる。

だが、母は陶芸を愛していたのだろう。
アホみたいに作りまくっちゃって⋯。

出来栄えのことよりも、作ることで満足していた。

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母のmyろくろ

よし、ここはひとつ、無名の陶芸家みさ子の弔いとして最初で最後の作品展を開催しようではないか!

私ら姉妹はそう決意し、開催日時を決めた。

その日は⋯⋯
 

令和7年12月27日、母の四十九日だ!

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出して並べましょう

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ほんの一部です

まずは家のあちこちに散りばめられている土器たちを一同に集めてみた。 

長年置きっぱなしだったので、土と埃にまみれている。
これではお披露目することはできない。

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洗おう  

土と埃をとれば少しは見栄えがよくなるかもしれない。
でも、一つ一つ手洗いするなんて、まるで修行だ。そこで姉が「いいものがある(ことを思い出した)」。じゃーん

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「ケルヒャーだよ!」

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これで一発

姉の家の倉庫に眠っていたスチームクリーナー。ドイツ製。
どんな頑固な汚れもスチームの力でプシュー!ジュワッと落としちゃうって寸法さ。
購入したのは2016年12月23日だ。
どうしても欲しい!と旦那さんに頼み込んで
買ってもらい、使用したのは一度だけだったそうな。

9年の眠りから覚めたケルヒャーの部品をセットして、一気にぶちかまそう!

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給水タンクに水を入れて⋯

あれ?

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開かない

給水タンクの蓋が開かない。

9年も寝かしておいたため、ドイツ生まれのプライドを傷つけてしまったのかもしれない。

(後日無事開きました。ケルヒャーを眠らせている方はご安心ください)

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(気をとりなおして)洗おう

人生は修行だと思う。

洗面所で一つ一つ手洗いだ!

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じゃー
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ごしごし
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ざばー

姉「あ⋯楽しい!」

洗うという行為は気分をアゲてくれると気づいたらしい。

姉「心がキレイになっていくよ!」

よかったね。

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こんなに汚れた壺もあら不思議
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こんなにキレイに!
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仕上げにコイツを
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シュシュッとかけたら完璧

さあ、じゃんじゃん洗っていくぜ!

キレイになった

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ピカピカのピカ

あれ?なんか輝いてきたような。ピカピカになるとなんとなくいい作品に見えてきたぞ。

しかし喜んではいられない。まだまだ大量に残っているのだ!

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汚れがひどいので外で洗おう!
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じゃぶじゃぶ、ごしごし
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うん、輝きを取り戻した!

しかし洗っても洗っても⋯

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終わらない

もう疲れた⋯

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無間地獄

誰だ、母の作品展しようなんて言った奴!

⋯私らだ。

まさかこんなに大量にあるとは思わなかったのだ。母よ、あなたはいつの間にこんなに作品を生み出していたのだ。

とりあえずほとんどの土器を洗い終えることができた私らは最寄りの鳥貴族に駆け込んだ。

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労働に乾杯

労働はビールを最高の味にしてくれる。仕事でもないのに、何故こんな労働をしているんだっけ? 
そんな疑問もかき消してくれる鳥貴族の焼き鳥の旨さよ。

⏩ 撮影しよう

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