特集 2020年6月17日

今日だけは餃子の皮を具で包んであげる

いつもは包む側の餃子の皮・キャベツ・卵・餅を、今日だけは包んであげます。


昔、マッサージ師をしている知人が、自身も体のケアのために定期的にマッサージを受けていると言っていた。心理カウンセラーの方も、ときどき他の人にカウンセリングをしてもらうと聞いたことがある。

どちらも他人の痛みや苦しみに寄りそうお仕事。
愛とかやさしさというのは、いつも与えてばかりではすり減ってしまう。たまには自分もやさしさに包まれなければやっていけないのだ。

餃子の皮、大丈夫かな。

1984年岐阜県生まれ。変な設定や工作を用意して、その中でみんなでふざけてもらえるような遊びを日々考えています。嫁が世界一周旅行中。

前の記事:昨日キュウリを買っていれば…!「自宅にあるもの限定しりとり」は家の事情を攻略する遊び

> 個人サイト 平日と休日のあいだ 嫁が世界一周旅行中の旦那

餃子の皮はいつも包んであげてばかり

マッサージ師や心理カウンセラーがときどき自分をケアしている一方で、餃子の皮はいつも具を包んであげてばかりだ。

餃子の皮を具で包む_1.png
白くて丸い。やさしさを具現化したかのような餃子の皮。
餃子の皮を具で包む_2.png
そんな餃子の皮を見つけると、具は当然のようにちょうどいいサイズで近づいてくる。
餃子の皮を具で包む_3.png
そして皮は、何も言わず包みこんであげる。

餃子の皮を具で包む_4.png

 

餃子の皮を具で包む_5.png「餃子の皮」という名で存在している以上、具を包むことは運命だ。
だとしても、いつも包んであげてばかりでは心が悲鳴をあげてしまう。本当はときどき自分もやさしく包まれたいと思っているのではないだろうか。

餃子の皮を具で包む_6.png
焼いた餃子の皮がパリパリしているのは、心が折れそうになっている音かもしれない。

母の日、父の日、勤労感謝の日。日本には、いつも頑張っている人をねぎらう祝日がある。ならば今日は「餃子の皮の日」だ。いつも包んでばかりの皮を、具でやさしく包んであげよう。

餃子の皮を包んであげる

さっそく、こちらのレシピをもとに餃子の具をつくった。

餃子の皮を具で包む_7.png

しかし、レシピ通りに進めるのはここまで。ここからは、いつもと立場を逆転させていく。

餃子の皮を具で包む_8.png
皮は、とりあえず小さい短冊のような形に切ってみる。

 

餃子の皮を具で包む_9.jpg
具をハンバーグのように広げ、
餃子の皮を具で包む_10.jpg
その上に切った皮を重ねてのせて、
餃子の皮を具で包む_11(GIF).gif
包む!

ホフッというやさしい音が聞こえた。

ひき肉をベースにした餃子の具が、その粘りをいかして皮をゆっくり丁寧に包みこむ。皮の側からすると、まるでやさしく布団をかけてもらっているような心地だろう。

見ているこちらも安らかな気持ちになるような包みこみ。
気づけば僕も、包んだ具の上を箸でポンポンとやさしくたたいていた。小さい子に布団をかけてあげた親御さんがやるやつだ。

餃子の皮を具で包む_12.png
ポンポン
餃子の皮を具で包む_13.jpg
形を整え、
餃子の皮を具で包む_14.jpg
フライパンで焼いたら完成。

餃子の皮を具で包む_15.png

中にいる皮はどうしているだろうか。

餃子の皮を具で包む_16.png
いた!

真っ白だった皮はほんのり茶色くなっていて、具の肉汁がしみこんでいることが分かる。良かった、しっかり愛情を注いでもらっている。

そして味はというと、

餃子の皮を具で包む_17.png

笑っちゃうほど美味しい。

中の皮に味が染みこんでいることは食べても分かった。それに、ハンバーグのような肉の中に皮のモチモチした食感があるのも面白い。

そして何より、今回は包んであげる側の具が、その肉々しさをここぞとばかりに発揮している。肉のジューシーさに、ニラやニンニク、ごま油や醤油の味も合わさって、おかずにもおつまみにも最高の味になっている。

よく考えてみれば、具は今までやさしさに包まれてきた一方で、皮1枚へだてた味しか伝えることができなかった。こうやって本当の自分を伝える機会を、具も狙っていたのかもしれない。

やさしさ       :★★★★★
おいしさ       :★★★★★
具の本領発揮 :★★★★★

 

餃子の皮を具で包む_18.png
皮を1枚そのまま包むタイプも試してみたが、これだと食べても皮の存在を感じられなかった。ある程度かさねて包むのが良い。

 

いったん広告です

いつも包んでばかりなのは餃子の皮だけじゃない

こうして、餃子の皮に一時のうるおいを与えてあげることができた。
きっとこれで明日からまた頑張って具を包んでくれるはずだ。餃子の未来が保たれた。

しかし考えてみると、いつも包んでばかりなのは餃子の皮だけではない。

餃子の皮を具で包む_19.png
ロールキャベツのキャベツ
餃子の皮を具で包む_20.png
オムライスの卵
餃子の皮を具で包む_21.png
大福の餅

この3つもそうとう疲れているはずだ。どんどん包んで、癒しを与えていこう。

ロールキャベツ

餃子の皮を具で包む_22.png

まずはロールキャベツ。

切ってみると、絶対に割ってはいけないものを梱包するかのように、キャベツが具を何重にも包んでいた。

守るというタイプのやさしさ。これはなかなか労力のかかることだろう。

そんなキャベツを包んであげるため、こちらのレシピをもとに、ゆでたキャベツと具を用意。

餃子の皮を具で包む_23.jpg

餃子の皮を具で包む_24.jpg
餃子と同じくハンバーグのように広げた具の上にキャベツを置いて、

 

餃子の皮を具で包む_25(GIF).gif
包む!

餃子のときと同じく、具がひき肉の粘りをいかしてキャベツをやさしく包みこんだ。よし、これでキャベツにも愛情を注いであげることができたぞ。

と思っていたら、

餃子の皮を具で包む_26.png
コンソメスープでコトコト煮ること30分

 

餃子の皮を具で包む_27.png
あぁ・・

煮ている間にひき肉がポロポロと崩れてしまい、できあがりではキャベツが少し外にはみだしてしまった。

残念ながら、ロールキャベツの具はそのやさしさを最後までキープすることができなかった。やはりどこかで、本来包まれるのは自分というおごりがあるのかもしれない。

餃子の皮を具で包む_28.jpg
切ってみても、キャベツがはみだしていると不格好

一方で味はというと、中に包まれているのがキャベツということから、餃子のとき以上に肉とコンソメスープの味が染みこんでいて美味しい。

餃子の皮を具で包む_29.png
これまた笑っちゃう

包みこむやさしさは完璧、味も最高だっただけに、最後にボロが出てしまったことだけが悔やまれる。

やさしさ    :★★★
おいしさ    :★★★★★
詰めの甘さ :★★★★★

オムライス

餃子の皮を具で包む_30.png

続いてはオムライスの卵。

普段は、そのフワフワさと色合いで最上級のやさしさを提供している。チキンライスはさぞ幸せなことだろう。でもその陰で、卵にはきっと無数の気苦労があるはずだ。

そんなオムライスの卵は、これまでのひき肉を使った料理とは違うやり方で包んであげる。

餃子の皮を具で包む_31.png
チキンライスと薄焼き卵に加えて、楕円形の型を用意。
餃子の皮を具で包む_32.png
いったんチキンライスを型に詰めてから、
餃子の皮を具で包む_33.png
卵のためのスペースを掘りかえす。
餃子の皮を具で包む_34.jpg
そこに折りたたんだ薄焼き卵を詰めて、
餃子の皮を具で包む_35.png
お皿の上で型を外したら完成!

餃子の皮を具で包む_36.png

完成したものの断面を見ると、卵はしっかり包んでもらえているし、見た目もきれいだ。

ただ、問題なのはそれを作る課程。チキンライスを掘りかえして卵を詰めるのは、包んでいるというより埋めている感じがして、なんだか悪いことをしている気持ちになる。

餃子の皮を具で包む_37.png
チキンライスに穴をほり、
餃子の皮を具で包む_38.png
卵を押しこみ、
餃子の皮を具で包む_39.png
そして埋める。

穴をほり、そこに押しこみ、そして埋める。チキンライスと卵とはいえ、暗い山中でやっていたら捕まりそうな行為だ。

やはりお米は主食のドン。自分を包まない卵なんて用なしだと考えていそうで怖い。

 

餃子の皮を具で包む_40.png

味はというと、卵とチキンライスを一緒に食べられたら、卵がかたまりで口に入ってくるので、その味が強くなってリッチな気分になる。

一方で、普通のオムライスと比べてバランスよく食べることが難しく、チキンライスだけで食べることになる部分も出てくる。

チキンライスももちろん美味しいのだけど、今回はその状態になるとなんだか外れた気分になる。

餃子の皮を具で包む_41.png
チキンライスだけだとこんな顔になる

やさしさ :★
おいしさ :★★★
罪悪感    :★★★★★
 

大福

餃子の皮を具で包む_42.png

最後は大福。

断面を見てみると、はちきれんばかりのあんこを薄い餅がピッタリと包んでいる。餅はまるで、ライブ会場の最前列の警備員のよう。日々はげしく体力を消耗していることだろう。

包んであげよう。

餃子の皮を具で包む_43.png
白玉粉と水と砂糖をまぜたものを、レンジであっためて作った餅
餃子の皮を具で包む_44.png
広げたあんこの上に餅をセットして、
餃子の皮を具で包む_45(GIF).gif
包む!

ネットリしたこしあんを使ったことが功を奏して、餃子やロールキャベツの時のようにやさしく包むことができた。

餃子の皮を具で包む_46.png

ただ、食べてみると、

餃子の皮を具で包む_47.png
あっまい

餅を丁寧に包みこむことを優先した結果、あんこの量が多くなり、しびれるほど甘くなってしまった。

餃子の皮を具で包む_48.png
おいしさだけを考えたら、あんこは餅の表面に塗るぐらいがちょうど良かった

あんことしては、日ごろの感謝を最大級のやさしさで返したかったのだろう。ただそれが裏目に出てしまった。やさしさも、過剰になると毒になるのだ。

餃子の皮を具で包む_49.png

ちなみに今回できあがったものは、伊勢の名物「赤福餅」に似ていた。

今まで何度も食べたことがあるが、同じように餅をあんこで包んだものでも、その甘さにしびれたことはない。

あんこの甘さや、餅とのバランスなど、絶妙な調整がされているのだろう。赤福すごいな。

やさしさ    :★★★★★★★(過剰)
おいしさ    :★★
赤福は奇跡 :★★★★★


餃子の具も感謝を伝えたかった

いろいろと試してきたが、一番きちんとやさしさをお返ししていたのは餃子の具だった。

今まで伝える機会がなかっただけで、いつも感謝の気持ちは持っていたのかもしれない。いい奴だな、餃子の具。

今後は定期的に餃子の皮を具で包んで、日ごろの感謝を伝える機会をつくっていきたい。なぜなら、めちゃくちゃ美味しかったから。

餃子の皮を具で包む_あとがき1.jpg

餃子の皮を具で包む_あとがき2.jpg
これは、ちょっと違うなと思ったけどやってみた「ご飯かけ卵」。自分でやっておきながら、白ごはんの中から生卵がでてくるとビックリする。

 

▽デイリーポータルZトップへ

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

デイリーポータルZを

 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓

 

今日のみどころ