まだまだある、餃子の王様たち
今回は6店を紹介したが、東京にもまだまだ餃子王という名前のお店はあるようだ。それに、京都や大阪にも、餃子王は存在する。
戦国時代は続いていくのだ。
淵野辺、あまり降りたことがなかったけど、大学が多いのと米軍基地が近いからか、思った以上に居酒屋やバーの多い街だった。
そんな繁華街のすこし外れの方にある餃子・王。
外から店内は見えないけど、お客さんのにぎやかな声が聞こえてくる。
ここは四川料理のお店なので、マーラーとかスーラーとか、辛いメニューがたっぷりとある。
餃子メニューもシンプルな焼き餃子や水餃子だけでなく、スーラータン水餃子、羊肉焼き餃子、四川激辛餃子まである。
野菜もたっぷりなのだが、肉もたっぷりに感じる。ジューシーだ。ジュースがあるのだ。それも肉汁ドバッではなく、噛むごとにじゅわっと肉汁が出てくる。ひき肉の粒が大きく、肉を噛みしめることができるのだ。
何もつけなくてもしっかり餡に味がついているところが北京風なんだろうか。
鼻水、涙、汗、美味さ。
ジェットコースターに乗った後のような達成感がある。
中国語が聞こえてくる店内だが、スピーカーからは「襟裳の春は~♪」と歌謡曲が流れてくる。
中国語を話す常連さんもいるば、その横で宴会をしている年配の団体客も盛り上がっているし、学生さんの一人客はガッツリ夜飯を食べているし、カップルは辛い辛いと楽しそうだ。懐の深いお店なのだろう。
ちなみに、ここは王(ワン)さんのお店だから餃子・王なんだそうだ。餃子王ではないんだな、王なんだけど。
さて、最後は冒頭で紹介した餃子の王さまだ。
1954年創業、王様界の老舗である。
ここでは餃子を包むではなく、握るというらしい。注文があったら、握って油で揚げるようにして1~2分で完成するという。
すごい。カリカリを超えたクリスピー感のある揚げと、皮のモッチリとした食感が共存している。
そして全然油っこくない。
舌触りがなめらかで、つややかだ。
舌触りがよい餃子ってはじめてだ。テクスチャーを感じる。意味わかってないけど。
クリスピーでモッチリでテクスチャー。
そのバランスが絶妙だ。これぞ普通の王様なのだろう。
これなら、何皿でもいける。
1週間餃子を食べ続けていた自分にとっても、いくらでも食べれそうな味。
肉々しいメンチカツを食べているような、一粒でたしかな満足感のある餃子だった。これは毎回どっちも頼みたくなる味だな。
このお店、創業当時は「餃子や」だったが、常連さんに「餃子の王様」だと褒められたことから今の店名になったというエピソードがあるそうだ。
自称ではなく他称から生まれた餃子の王さま。王の中の王である。
どの料理もスッキリしていて、毎日でも食べられそうな味。
混んでいるのに、待たされることなくスッと出てくる餃子たち。
これが江戸の粋なんだなあ、としみじみ思った。
帰る際、こじんまりとした店内なので、店員さんが「後ろを通りまーす」と声をかけてくれる。そうすると、カウンターのお客さんたちが体を前に倒してスペースを作ってくれる。
そういうところも、文化だなあ。
餃子の王は浅草にいるのだ。
今回は6店を紹介したが、東京にもまだまだ餃子王という名前のお店はあるようだ。それに、京都や大阪にも、餃子王は存在する。
戦国時代は続いていくのだ。
| <もどる | ▽デイリーポータルZトップへ | |
| ▲デイリーポータルZトップへ |