シンプルさはパワーだ
まずはシンプルでド直球な故に力強いパッケージたちを見ていこう。別に面白いことは言ってないのに大声なだけで笑いをとるタイプの芸人がいるが、パッケージにもそういうタイプがあるのだ。「みきてぃーー!!!」と同じ構造である。
知っている人は知っている青森のご当地駄菓子マカロニドン。「ドン」の力強さに物理的にグッとくる感じがある。
友達からおもむろに送られてきた画像。
(こっP)
「ピー」のサイズがでかい。絶対にテレビで流せない言葉を書いてしまったのだろうか。そしてこれをおもむろに送ってくる友達が気になりすぎるぞ。
助詞すら省略せずに商品名とするこのパワーよ。有無を言わせぬ感じがある。松尾芭蕉が見たらこの商品名を上の句にして俳句を詠むに違いない。
あと商品のイラストがフォースを宿しているな。赤いからダークサイドだけど。もしかしてフタが立つのは構造とかじゃなくてフォースのおかげなのか?
パッケージハンターの編集部古賀さんがまた見つけていた。古賀さんはグッとくるパッケージを引き寄せる力がある。これこそフォースだ。
困ったらだじゃれでどうにかなる
今回の投稿で一番多かったのが商品名がだじゃれになっているパターン。だじゃれパッケージには独特の味があるし、すべる可能性も背負った覚悟のようなものを感じる。手軽にグッとくるにはもってこいのパッケージだ。
確かに道の駅や直売所は全国チェーンのスーパーよりも自由度が高い分、意欲的なパッケージが多い気がする。
これは商品名をだじゃれにするだけでは飽き足らず、時事ネタとちょっときわどいイラストまで入れている。貪欲なまでの盛りっぷりに「分かった、俺の負けでいいよ!!」という気分になる。
どういう流れで鮭とばのネーミングを考えている時にジョン・トラ・ボルタが出てくるんだ。せめて鳥羽一郎だろうと思って調べたら「鮭とばイチロー」という商品が既にあった。
鳥羽一郎に勝とうと思ったらジョン・トラ・ボルタしかいなかったのだろうか。
「妥協を許さず~」としっかり説明文でも世界観を作っているところにグッとくる。大ほっけみりん干し養成ギプスによって生み出される味だ。
たくさんの大人の承認を経て「サイだぁー」が世に出たと思うと感慨深い。サイダーなのでサイと果物を組み合わせたイラストを描いてくださいと言われたイラストレーターの気持ちを考えながら飲みほしたい。
細部に「グッ」は宿る
説明文をちゃんと読むとじわじわグッとくるパターンも多い。みんなが知らない良さを自分で見つける感覚があって個人的には一番好きなパターンだ。
チーズ入ってるからハイチーズ、代表がタベルスキさんだからって食べるの大好きって書いてみる、挙句「笑顔とチーズの泉わく」とか多分勢いで書いちゃった暴走加減が素晴らしいと思います。
(はら)
「ハイチーズ」の可笑しさだけで満足してはいけない。ちゃんと読めば読むほどツッコミどころが見つかるパッケージだ。
タベルスキさんは自分の写真に「食べるの大好き」というキャプションが入っていることを知っているんだろうか。
めざすは健康 気づけば元気 です。
正のスパイラルを巻き起こす商品名です。かぼちゃの種がお気に入りです。
(くま)
正のスパイラル!
完全に自治体の健康促進課が掲げている標語である。普通に考えると気づけば元気の後に商品名がきそうなものだが「気づけば元気」が商品名になっている。訳も分からず一本取られた感じがする。
今回、唯一2名の方から投稿があった商品。裏面の説明の読者を煙に巻く感じが最高だ。
和菓子界の村上春樹である。来年の芥川賞を取るのは栗らくがんかもしれない。ぜひ静かなるブームの波紋を広げていってほしい。
タカシくんはカカオ成分80%のチョコレートを2.3%使用したお菓子を表示価格の30%引きで買いました。タカシくんが摂取したカカオ成分はお菓子全体の何%でしょう。ただしチョコカスタードクリームはチョコスポンジの中に包まれるものとします。(25点)
733回目にどうなるのかが気になりすぎる。急に餅がくっつくのだろうか。そもそも733個の餅を食べるのにどのくらいかかるのだろうか。
下手したら三世代に渡りもちチンが代々受け継がれている家があるかもしれない。
単体ではそうでもないが、二つのパッケージが並ぶことでグッとくる珍しいパターン。
「貼れない」と言われるとむしろ貼ってみたくなるし、「貼らない」と言われるとそれは自分で決めるよと言いたくなる。いっそのこと「貼れるもんなら貼ってみろ」とかだしてほしい。
えび?かに?惑わすパッケージ
説明文でグッとくるものもあればビジュアル面でグッとくるものももちろんある。
シアン以外の色が出ていない!青は食欲減退色とも言われるのに、このビジュアルでよく踏み切ったと思う。右下の囲みの中なんて何が書いてあるのかよく分からないし。
あとぼちぼちパウダーも気になる。ぼちぼちでいいのか。
「えびっこ」なのに、メインビジュアルは「かに」。
(tosso)
明らかにミスリードを狙っている。同じ甲殻類だしいいだろうということなのか。いやよくないだろう。
食材として身を削ったにも関わらずかににメインビジュアルを奪われるえびの身にもなってほしい。そんなえびの身が使われたお菓子ってことか。どんな身だ。
所狭しと並んだ梅の花の圧がすごい。中身がどんな感じかは分からないが、きっとシンプルなんだろう。中身の地味さをカバーしようというパッケージの気概が伝わってくる。
中南米で流通してるマルちゃんのパッケージが蛍光色な件。
(むう)
日本ではあまり使われない蛍光色のパッケージ。中南米とかアジアとかでは多いような気がする。
海外の商品のパッケージは日本との感覚の違いだけでもグッとくるものが多いのでもっと見てみたい。
鳩サブレーで見るべきはお尻部分の圧着だ
最後はそうきたか!と思わず手を打ってしまう技巧派のパッケージ。このあたりのパッケージを発見したら余韻でその一日ちょっといい気分で過ごせると思う。
冷し和風ラーメンから令和を浮かび上がらせた思わず唸ってしまうパッケージだ。きっと冷し和風ラーメン業界が騒然としたに違いない。パッケージを最大限活かした「作品」である。
漢字の読みをひねるパターンは少なくないがここまで振り切っていると感心せざるをえない。パンダの緩さも「もう好きにやってくれ」と思わせてくる。
ここまでやっといて売り出しているのはカルディなのだ。絶対美味いやつじゃん。
これは発見者のレベルがめちゃくちゃ高い。パッケージを鑑賞するのにとどまらず声に出して読んでいる。これはパッケージを五感で感じていると言ってよいだろう。
メーカー側にその意図があるのかないのかは定かではないが、自分からパッケージを楽しみにいく姿勢が大切だ。
「グッとくる」のではない、「グッといく」のである。
これも普通ではなかなか気付かないと思う。だからこそ気付いた時の感動はひとしおだし、こんなに細かい部分までこだわるメーカーの姿勢に単純にしびれる。
作り手側のこだわりと受け手側の感度の高さがバチッとあった最高にグッとくるパッケージである。
鑑賞スキルは磨ける
というわけで様々なジャンルのグッとくるパッケージが集まった。こうしてみると世の中にはまだまだ面白いものがあふれているなーと実感するし、受け手側の鑑賞スキルを磨くことで光る素材もある。
皆さんの投稿から学んだ着眼点を武器にして、どんどん積極的にグッとしていきたい。
引き続き投稿は募集します!
グッとくるパッケージを見つけた方はぜひ #グッとくるパッケージ のハッシュタグをつけてツイートしてください!随時グッとしにいきます!
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