無事に禁煙はできたものの、正直なところ、今度はガムが止められなくなって困っている。
もちろんいずれはこのガムかみ癖もきちんとフェードアウトしていくつもりではあるが、おそらくまたなにか代わりのものを口にして禁ガムすることになるだろう。スルメを噛むとか。
その節にはまたトロフィーを作ると思うので、改めてお付き合いいただきたい。
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実は昨年末から禁煙を始めたんだけど、おかげさまで半年経った現在、タバコを吸いたい気持ちはミリも残っていない。
我が事ながら、なかなかよくやった、誇らしい、という気持ちでいっぱいである。
なので、これはなにか記念碑的なものを残しておくべきではないだろうか?
ちょうどここに、口寂しさを紛らわすのにやたらと噛んでいるガムの空きボトルが大量に残ってる。
これをかっこよく飾ることで、禁煙達成のトロフィーとしよう。
トロフィーといっても、一般的な記念カップとかそういうのではない。もっと勇ましい感じで行きたい。例えば、「ハンティング・トロフィー」みたいなのがいいんじゃないだろうか。
金持ちの家の暖炉のそばに、鹿とかクマとかライオンとかの首だけがぶら下がってるアレ。あれは狩猟の獲物を「俺、こんなすごいのを獲ったんだぜ」と見せびらかすためのものである。
個人的には良い趣味であるとは思えないが、とはいえ、見せびらかしたいものを壁に吊して堂々と自慢する、というスピリット自体は嫌いじゃない。
なんでハンティングトロフィーの話をし始めたかというと、単に食べ終わったガムの空きボトルの口をパクパクと開閉させていたら、「なんか動物っぽいなー」と思ったから。
このボトルを生首にしてかっこよく壁に飾れば、禁煙の記念になるんじゃないだろうか。暖炉の前で安楽椅子に腰かけて、ガムボトルのハンティングトロフィーを愛でながらパイプをくゆらす。これは優雅でいいんじゃないか。パイプくゆらしてる時点で禁煙どうなったって話ではあるけど。
ハンティングトロフィーは、ざっくり見る限り、剥製の首+木の台座という構成がほとんど。なんか盾っぽい形の台座から動物の首がにょきっと出ているようなイメージである。
であれば、とにかくなんでもあの盾っぽい台座から生えてれば、ハンティングトロフィーっぽくなると思うんだ。たぶんだけど。
とはいえ木の板からあの形を切り出すのはわりと面倒くさい。
こういう場合、工作のしやすさと入手のラクさで考えると、だいたい素材はダンボール一択だろう。Amazonの荷物の底に敷いてあるやつを貯め込んでおけば、材料不足で困るようなことも無いし。
ひとまず盾っぽく切り抜いて、試作してみたんだけど……うーん、なんか見た目が安っぽいなー。
工作のしやすさと入手のラクさがダンボールのメリットだとしたら、デメリットは「ダンボールはダンボールにしか見えない」というところ。なので、どうにも安っぽい。そりゃ粒ガムの空きボトルとダンボールなんだから、その組み合わせで高級に見えるほうがおかしいんだけど。
ハンティングトロフィーっぽさにおいて、木の台座の重厚感の占める割合、思ったよりデカいなという印象である。
かといって、今さら「じゃあやっぱり木を切るか」って進路変更は無いだろう。
うーんなにか良い手はないかなーとネットを見ていたら、まさに今欲しいものをピンポイントで見つけてしまった。
簡単に木目風の塗装ができてしまう「ウッドグレイニング・ツール」というものを使えば、ダンボールを木材に偽装できちゃうんじゃないか。
これは曲面に年輪のような同心円が彫り込まれたゴム製のへらで、もともとは芝居のセットや大道具に木目を描き込んで雰囲気を出すように考えられたものなんだとか。
どう使うかというと、まず木目を作りたい場所に塗料をベターッと塗って、それが乾かないうちに ウッドグレイニング・ツールを押し当てる。
あとは曲面とダンボールが当たる角度を変えたり、波打つようにウネウネさせつつ端から端まで動かせば、木目調のできあがり……!
同心円の溝で余剰な塗料を掻き取ることで、この木目っぽさができているらしい。不思議。
塗料の量やツールの動かし方になんらかのコツはあるっぽいけど、とはいえ適当にやってるだけでも、そこそこ木目のような感じになるのは面白い。
たとえ失敗しても、上から塗料を塗り直してしまえば何度でもリトライ可能なので、「こうやったら木目っぽさアップする?」みたいなのを大胆に試せるのも良いのだ。
乾燥したら、あとは試作と同様に台座へと組み上げる。側面からほの見えるダンボール感はちょっと気になるものの、なかなか立派な台座っぷりと言えるんじゃないか。
ここにガムボトルの生首(という表現で正しいのか)をホットボンドで接着してしまえば、存外にきちんとトロフィー風味の出た「俺のハンティング・トロフィー」が完成である。
さあ、これが!俺が禁煙を成し遂げた!勝利のトロフィーだ!(ジャアアアン)
……という感じになるかと思ったんだけど、えー、これどうなんすかね。
いや、それなりにちゃんとハンティング・トロフィーっぽく作れたとは思うんですよ。
ただ改めてこうやって飾ってみると、「ん?なにこれ?」という疑問の方がやや大きい。
いくつか並べて飾ればもしかして説得力が出るかも……とまとめて作ってみたけど、やっぱり分かんないな。
しかし、やはり台座を木目塗装したおかげで、なんとなく「いいもの」感が出たことには満足している。
そして上の画像の何となく既視感あるな?と振り返ってみたら、一昨年にミニ額専門店を取材して額に小物を入れて飾ったのと、ほぼ同じビジュアルだった。
これはどうやら僕個人の嗜好として「しょうもないものを立派に飾ると楽しくなってしまう」というのがあるようだ。
ともあれ、あとはこれを飾りつづけて、今後も禁煙を継続していけるように誓うだけである。
無事に禁煙はできたものの、正直なところ、今度はガムが止められなくなって困っている。
もちろんいずれはこのガムかみ癖もきちんとフェードアウトしていくつもりではあるが、おそらくまたなにか代わりのものを口にして禁ガムすることになるだろう。スルメを噛むとか。
その節にはまたトロフィーを作ると思うので、改めてお付き合いいただきたい。
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