ちょっと聞いてよ 2023年6月30日

エコ除草?ベルリンの草刈りひつじ

毎年春になると、ベルリン市内にあるイベントホールの屋根に15頭のひつじがやってくるそうだ。なんでも、春から秋にかけて屋根に生える野草を除草する、エコな草刈り機としての役割を果たしているのだそう。

今までなかなかお目にかかれなかったが、今年こそはと再チャレンジしてみた。

1986年東京生まれ。ベルリン在住のイラストレーター兼日英翻訳者。サウジアラビアに住んでいたことがある。好きなものは米と言語。

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街のど真ん中でひつじ放牧中

私の住むドイツ・ベルリンは、公園や緑が多かったり、ベジタリアン人口が高かったりと、なかなかエコ意識が高い街だ。

そんなベルリンで、特に環境に配慮した取り組みを行っているイベントホールがあるという噂を聞いた。

ベルリン中心部にあるマックス・シュメーリング・ハレ。スポーツイベントやコンサートなどが行われる場所だ。

外から見たらごく普通のイベントホールなのだが、屋根にソーラーパネルが設置してあったり、野草を生やしてミツバチを飼育していたり、環境を考慮した施設なのだそう。

そんなエコな場所なのだが、春ごろになるとこんな標識が目につくようになる。

オレンジの標識にひつじの絵が描かれているが……
「ひつじ放牧中!犬はリードをつけてください」とある

都会のど真ん中でひつじが放牧中?一体どういうことだ?

自然派草刈り機

実はこのイベントホールでは、2019年からひつじを使った除草対策をしているそうで、毎年春ごろになるとベルリン郊外から15頭ほどのひつじが連れてこられるそうだ。

イベントホールのSNSでも、コンサート情報などに紛れてひつじたちの様子がアップされている。それによると毎年5月から秋ぐらいまで敷地内にひつじが放飼いされているようだ。

去年の5月の「今年もひつじが帰ってきたよ」の投稿。子羊もいるようでかわいい!

ひつじ放牧シーズン中は度々チェックするようにしていたが、タイミングが合わないのかなかなかひつじに会えずにいた。

去年も似たような標識があったが
no sheep.JPG
残念ながらひつじには会えずじまいだった。

今年こそは!と思い、ひつじ放牧シーズンの今、再チャレンジしてみることにした。

ゲートをくぐり
旧東ドイツ時代に建てられたレトロな建物を通りすぎると
一般の人でも通れる脇道が。ひつじはこの敷地内にいるはずだ。
入ってみると、あれはもしや!
ひつじだ!
いったん広告です
ひつじがいた!

今年も会えずじまいかなと思っていたので、すごく嬉しい。 


warning sign.jpg
「餌をあげない」「草むらには入らない(電気フェンスに注意)」「犬にはリードを」などのルールはあるが、近くで見るだけなら問題なさそうだ。
ジョギング中の人も「あ、草刈り用のひつじだ〜」と見に来ていた。結構有名なんだな。

あとで調べてみると、この15頭のひつじたちは3000㎡ほどある面積をゆっくり刈っていくのだそう。

従来の草刈り機と違い、ひつじは草むらに住む虫などを殺さずに除草できるほか、ひつじが歩くことによって地面が踏み固められたり、毛に植物のタネをひっかけて色々なところにばらまいてくれるなどの利点があるのだそう。

ちなみに、このひつじの所有者はは450頭ほどのひつじを飼っており、他にもベルリン市内・郊外の公園などの草刈り用にひつじをレンタルしているのだそう。色んな仕事があるものだな……

bucolic.JPG
牧歌的な風景だけど、スタジアムライトが映り込んでるのが都会っぽい。

かわいくて役に立つ、除草ひつじ

念願の除草ひつじたちにお目にかかれて大満足である。なかなか良いベルリンの癒されスポットだった。

さらに調べると、フランスなどでも「エコムートン」というひつじ除草サービスが存在し、パリ市内でも活躍しているのだそう。日本でも同じような取り組みを行っている場所も結構あるようで嬉しい。

除草ひつじは環境以外にも心を癒す効果もあるそうなので、ぜひぜひさらに色々な場所で活躍してほしいものである。

これは屋久島のスーパーで飼われていたヤギ。
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